クマさんのバイク専科

かなり難しい加工が必要なようです!

スラムレッeタップの電動&ワイヤレスメカのレーシングケージで、34Tのローギヤを使いたいという要望のライダーがいて、自己責任での使用でいいから改造して使えるようにして欲しいということでした。前に改造した経験がある旧型のタイムのエッジのリヤエンドの、リプレースタイプのブラケットは2本ボルト止めでした。タイム純正のリプレースエンドはもちろんアルミ合金製です。はっきり言ってタイムのリプレースエンドは、強度や価格や、純正のプラスの固定ボルトの十字の溝はドライバーの先端がスリップしやすいので、着脱のしにくさなど、タイムのウイークポイントの1つと言えるでしょう。

 

タイムのリヤエンドにネジ穴が切られていて、そこにリプレースエンドをセットして、タイムの場合は新型は1本、旧型は2本のボルトで固定する構造です。ただし、このネジは緩みやすい傾向があって、定期的に緩みをチェックする必要があります。タイムのフレームでバイクを組み立てる時には、リプレースエンドの固定ボルトを一旦取り外し、ネジ穴に弱強度のネジロック剤を塗って組むようにしています。固定ボルトも同じ規格と形状の日本製のステンレス製プラスネジに交換して組み付けると、プラスドライバーの先端に十字の溝がぴったり合って、ドライバーをスリップさせにくく、しっかり固定できます。

 

フレームのリヤエンドのリプレースタイプの構造は、アルミフレームやカーボンフレームでは一般的になっています。各メーカーやモデルによって形状が違うので、エンドブラケットの曲がりや折れの発生に備えて、メーカーや卸屋さんに在庫がなく、取り寄せに時間がかかることがあるので、すぐに修理したいなら、予備のリプレースエンドを1つは持っていたいですね。新しいタイムのフレームに、スラムeタップのレーシングケージを取り付けて、なんと11〜34Tのフリーを使えるようにしたいという要望です。もちろん自己責任での使用となります。でも、まだどうしたらこの問題を解決できるのかがわかりません。

 

実はタイムの旧モデルのエッジでは、この加工に成功して、11〜34 T

で使えるようになっています。普通にフルタイムで働いている人は、アップダウンや峠道を走れば、ローギヤに32Tや34Tで、回して上りたくなるんです。最初からロングケージがあればそれを手に入れたでしょう。でも、いち早く電動ワイヤレスに魅力を感じて、スラムレッドeタップのレーシングを手に入れてしまった人は結構います。そうなると、エンドブラケットの延長小物の採用で、上プーリーの歯先とローギヤの歯先との間隔を広げるために、自己責任で加工するしかなさそうです。

 

でも、ブラケット穴に固定する延長小物の評判はすこぶる悪く、上プーリーとローギヤとの歯先間隔が開き過ぎて、うち外の変速を強制的にモーターで行う電動メカと言えども、インデックス変速のレスポンスが低下してしまうそうです。それは避けたいので延長小物の採用は却下です。タイムの1本ボルト止めのリプレースエンドを手に入れて、ハブ軸の中心から上ピボットボルトの入るネジ穴までが、タイム純正より5mm遠いリプレースエンドを探しました。しかもタイムと同じ側が内側に取り付けられる物を探しました。これを削って加工してタイムのフレームのエンドへ取り付ける作戦です。

 

このリプレースエンドは現物合わせで加工中です。構造的には可能な感じですが、精度よく加工するには、集中力が続くかが課題です。リプレースエンドとして取り付けられれば、上プーリーの歯先によるチェーンの噛み込みによるガチャガチャという異音発生を解消できそうです。もっとも簡単に加工できそうなのは、チェーンの長さの調整か、シマノの変速機で言えば、Bテンションボルトに相当する、リヤ変速機本体の取り付け角度を調整するネジを長いものに変えて、リヤエンドのブラケット先端の爪に、ボルトの先端が当たるように調整して、上プーリーとローギヤの歯先とのクリアランスを確保する方法です。

 

スカイロンにぴったりマッチして、eタップレーシングのインデックス変速をローギヤ34Tで実現できるのか、いろいろチャレンジして解決できるか、仕事部屋にバイクを持ち込んで、色々試して一番いい方法を見つけたいと思います。今週末へ向けて色々試して、eタップのローギヤ34T化に2日かかりました!。スラムレッドeタップの電動メカ&ワイヤレスのリヤ変速機がレーシングケージで、11〜34Tの超ワイドスプロケットを使いたいというNさんの要望に応えるために、自己責任での使用になりますが、考えられる方法を色々やってみました。結局は純正品のリプレースエンドでは無理で、ハブ軸と上ブラケットの距離を遠ざける、他社のリプレースエンドから削り出して作って、上り坂でどうしても欲しいという、34Tローギヤに対応できる、eタップのインデックス変速を実現しました。

 

チェーンの長さの1コマ単位の調整、プーリーケージの傾きが変わり、上プーリーとローギヤの歯先との間隔が、接近したり、遠ざかったりします。今回は遠ざけることが必要でしたが、この方法では解消できませんでした。長くするとチェーンがたるんで接触してしまいました。上ブラケットに付いている本体の取り付け角度調整ネジの締め込みによる調整では上プーリーがローギヤの歯先から離れ切りませんでした。長い調整ネジへの交換もやってもましましたが、締め込んでリヤ変速機を後退させても、上プーリーは離れきりませんでした。

 

そして、これは上ブラケットボルトの中心と、ハブ軸との距離を遠ざける、リプレースエンドを作るしかないと確信しました。リヤエンドのブラケットの他社のリプレースエンドからの削り出しでの製造に取り掛かりました。やはり決定打はこれでした。他社のリプレースエンドをいくつも見せてもらい、タイムの1本ボルト止めの純正エンドと比較して、ハブ軸から上ブラケットボルトとの間隔が5mmから7mm遠くなる構造で、しかも、タイムのフレームのリヤエンドへ1本ボルトで固定できるように改造できるものを探しました。

 

他社のリプレースエンドが改造のベースになりました。でも、ラッキーなことに見つかりました。タイムの純正エンドを参考に、リューターで削りはじめました。まずは、フレームのリヤエンドの部分にぴったりフィットする形状に仕上げます。現物を見ながら合わせて削って行くワンオフの作業になります。削り損ねれば数千円のアルミクズになってしまいます。バイスプライヤーに固定されたリプレースエンドから、熱いアルミの削りクズが目に向かって飛んで来ます。純正エンドを見たり、合わせたりして、削る部分を確認しては修正ペンで削る部分に印をつけて削ります。

 

MTB の32Tローギヤを流用して、超ワイドギヤのインデックス変速システムを組んで、自己責任で使ってきた経験から、2歯のローギヤの違いは、ハブ軸の中心からリヤ変速機の上ブラケットの中心までの距離が、5mm違うとチェーンの噛み込みによる、ガチャガチャという異音の発生を解消できます。フレームのエンドに、削り出したリプレースエンドを当てて、ぴったりセットできるようにさらに仕上げて、1本のステンレス製のアレンキー式ボルトで固定しました。リヤ変速機を取り付けて、本体の傾きを調整するボルトを締め込んで、リヤ変速機を後退させました。無事に動いてくれてちょっと嬉しいですね。ではでは。