クマさんのバイク専科

見れば見るほどカンパのホイールはすごいね!

しかし、なんでカンパニョーロはカーボンリムのロープロファイルホイールのハイペロンを止めてしまったんでしょう。前輪リム幅は20mmで、高さ19mmのカーボンリム断面です。後輪リム幅は20mmで、高さは20mmです。横方向の剛性があって、縦方向のしなりがある台形のアルミリムのホイールのような剛性バランスを狙っている製品です。ロープロファイルホイールの時代じゃないってことなのでしょうか。確かにバイクへセットしてもホイールの迫力はないので、ルックス的なアピール度が低いので人気がないのかもしれません。ほぼ同じ値段ですからボーラの35mmとか、ボーラ50mmの方が見栄えはいいですからね。

 

でも、カンパニョーロユーザーのプロチームは、ハイペロンをロードレースで使ったことがあります。クリンチャータイヤホイールが全盛の時代、カーボンディープリムにチューブラータイヤの組み合わせを主要ステージやタイムトライアルで使っているチームや、特定の選手がいました。特別に山岳ステージでは、数チームが前後輪にハイペロンを採用していました。このモデルの廃盤は、リムやタイヤのワイド化対応などが理由でしょう。次世代の軽量で高い剛性が確保されたロープロファイルモデルが出ないかな〜。

 

リムへのタイヤのリムセメントや宮田の両面粘着のリムテープによる接着などが、チューブラータイヤのネックと言われています。でも、果たして、クリンチャータイヤ、チューブレスタイヤ、チューブレスレディタイヤのホイールが、高性能チューブラータイヤのショック吸収性、路面への追従性、転がり抵抗、踏み出しの軽さという走りの面の性能を凌駕しているとは思えません。完組みホイールやタイヤメーカーなどのスポンサー企業の意向で、主役の座を失ったことがあるチューブラータイヤですが、結局は走行性能の総合力が認められて、プロの現場の主要タイヤになっています。

 

2019年のシーズンはマヴィックのチューブレスレディタイヤと、それに対応したホイールを採用するチームも登場するでしょう。マヴィクはチューブラーリム仕様を廃盤にするようです。社運をかけてのプロジェクトです。でも、思惑通りに行くかな。チューブラーリムホイールの構造からくる軽さと剛性や、チューブラータイヤのしなやかさによる転がり抵抗の小ささや、ショック吸収性などにアドバンテージを感じている選手目線で選択するとすれば、スポンサーが許すならチューブラー仕様だと思います。

 

ハイペロンのチューブラー仕様の走行フィーリングは、確かに軽さほどの高速域や上り坂でのスピードの伸びはないけど、スタートからの踏み出しの軽さと、長く走ったときに、横方向の剛性の高さのわりに、縦方向の振動減衰性による体への優しさは魅力的だと思うけどな〜。リムの幅は20mmで23mmや25mm太さのタイヤに対応できる、チューブラータイヤ用とクリンチャータイヤタイプが用意されていました。愛用しているのはチューブラータイヤ仕様で、カーボンリムの重量は分解して測ると初期モデルは375gでした。

 

ハイペロンのスポークの分解と組み立ては大変でした。破断の可能性を抑えて、高いテンションで張れるストレートスポークの組み立ては、カーボンハブにスポークをセットして、根元をスナップリングで止めて、エアロスポークがよじれたり、回るのを止めて締め込んでテンションを上げるのが大変でした。初期モデルのハイペロンは、スポークをハブから外してからでないと、圧入されているボールレースのカップの着脱ができない構造になっていました。最終型では改善されていて、スポークをセットしたまま交換が可能になっています。カンパニョーロのハブは、特殊な構造のカップ&コーン形式の回転部が採用されています。鋼球のベアリングと、セラミック球のカルトベアリング採用のウルトラがあります。

 

カップや玉押しのリングのボールの当たる部分がダメージを受けると、ゴロゴロとした玉あたりになって、ベアリング、カップ、ボールレースのスペアパーツとの交換で、なめらかな玉当たりが復活できます。1年に1度はグリスアップが必要ですね。スポークはリムの中にセットする長方形の金属製ワッシャーと六角形のニップルで張られます。タイヤを剥がして、専用のニップルレンチでの振れ取り調整になります。表からはニップルが見えない構造で、メンテナンス性度返しの発想が思い切りがよくて面白いですね。

 

スポークフォーメーションは前輪が22本、15番のエアロのストレート引きスポークで、カーボンハブからラジアル方向へ張られています。カーボンリムの内側には四角い補強ワッシャーがセットされ、六角のナイロン弛み止め付きのニップルがセットされて、高いテンションで張られています。後輪のスポークは24本、フリー側が14番エアロストレートスポークで12本のタンジェント組みで、反対側は15番エアロストレートスポークで12本のラジアル組みです。ホイールの剛性は前輪はがっちりしています。頼りになる感じです。

 

後輪はご存知のように、10段、11段、12段のフリーボディとスプロケットが収まりますから、当然左右のスポークを張る角度が違い、オチョコになります。普通ならフリー側のスポークが強く貼られ、反対側が緩く張られます。当然左右の剛性バランスが大きく違うのが常識でした。カンパニョーロのホイール設計の思想と、実際に測定した変形量のデータはすごいものでした。前輪が左右で同じ構造なので、左右で同じ剛性なのは当然です。後輪は左右で違う構造なので、今までの常識では剛性が違うことが当然でした。

 

左右で違う太さのスポークを採用、フリー側をタンジェント組み、反対側をラジアル組にしている。アシメトリックカーボンリム採用して、フリー側をラージフランジにして、左右とも12本のスポークでトータルのテンションを揃える。そんな工夫を重ねて、なんと左右の剛性バランスを同じに調整しているのだ。後輪ハブのフリーボディの構造も、旧型のフリーハブの時代から構造が一貫していて、フリーボディはカンパニョーロ用と、シマノ用が用意されていて、ナットを1つ緩めるだけで交換ができます。とりあえず1セットお蔵入りしていた新品同様を手に入れたので、これから10年は乗れそうです。ではでは。