クマさんのバイク専科

どうも葉巻型の潜水艦の形状が気になる!

軍需技術の機材の形の中に妥協はほとんどありません。命がかかっているものだからそのデザインの中には遊びもなく。その時代の最高の素材と生産技術が投入されて開発されているのです。殺風景な面白みのないデザインと感じる人もいるだろうけど、シンプルに機能を追求しているからこそ到達するデザインとも言えるでしょう。遊びの道具だからデザイン優先で、消費者にアピールしたほうがいいという製品開発とは全く違ったものです。

 

日本の潜水艦の造船技術は世界一と言われています。ドイツのUボートも有名ですが、実は戦時に備えての緊急増産体制の流れに合わせて乱造されていたそうです。日本の潜水艦は1930年代に構想された大型化計画で、飛行機まで収納できるものが登場します。エンドウ豆のような形状の旧型の潜水艦も、最新の通常型のディーゼルエンジン搭載モデルも、原子力タービン装備の原潜も、ハッチの形状は重要機密で、専門家が見ると最も深く潜れる深度がわかってしまうそうで、どんなドキュメンタリーだとしても、撮影は許可されません。

 

旧型の潜水艦は圧搾空気を利用したタンクの排水装置で船体のバランスをとって、姿勢を制御して航行していました。最新型の潜水艦も姿勢制御の基本構造は同じです。ディーゼルエンジンで発電したり、乗組員の呼吸のために、空気の確保も重要な航行継続のテクニックで、シュノーケリングによる深度の浅い航行時間が長い艦船でした。燃料補給や食料の確保も重要な課題でした。最新型の潜水艦には真水を作ったり、海水を分解して酸素を作ったり、チルドや冷凍で保冷できる装置を搭載しているので、長時間潜行も可能になっています。

 

船体の合金素材も変更されて耐圧性能も飛躍的に向上して、さらに耐圧性を向上させる葉巻型にデザイン変更されて、潜行深度も飛躍的に向上して、潜水艦の特性である秘匿性も高まっています。横須賀や浦賀の軍港に行くと、海上自衛隊の通常型の中型潜水艦も、米軍の大型の原潜もわずかに船体を見せて係留されているのを見かけます。真っ黒な船体の表面はツルツルかと思えば、よく見ると吸音樹脂パネルが細い通路からボディ全体に敷き詰められています。もう1つの最高機密がスクリューの形状で、螺旋を描くように髭が伸びたようなスクリューが水中に潜んでいます。高速回転することでエアーを後ろへ引いてスクリュー音を大きくしないための構造です。船体は原潜で時速100km近く、ディーゼルでも時速50km以上が出ると言われています。

 

スクリューとモーターの回転方向の反力の影響を避ける船体の安定化のためと、航路のずれの影響を、リアクティブの自動スタビライザーによる補正が常に行われています。高性能なソナーでの居場所の探知が行われる対潜水艦戦では、潜水艦のエンジンやスクリューなどのメカニカルノイズなどの静音化は、昔ながらの課題で、特殊な吸音と滑り止めのマットが敷き詰められていて、乗員の移動にも注意が払われています。

 

水中での高速移動は、空気の800倍と言われる水の抵抗に打ち勝って進ませる大きなパワーだけでなく、低速流体力学や高速流体力学に基づくコンピュータシミュレーションから生まれた、抵抗の少ないデザインや表面材料の賜物です。潜水艦にとって重要なのは秘匿性で、潜水艦の居場所を特定する軍需探知衛星のセンサーの追尾から逃れるために、外洋に出ると深度を深くとって航跡を断つオペレーションが出港後に行われます。その時の水深が潜水艦の能力によって違うわけです。

 

もちろん戦闘中の対応深度も速度も急速回避の舵角も、スクランブル状態になった駆逐艦や潜水艦から発射される、最新の10km以上も離れていても発射可能な、追尾装置付きのホーミング魚雷から逃れるには重要な性能です。深度によってかかる水圧に耐えること、対潜水艦機雷の衝撃に耐えるのも潜水艦の船体強度の性能の1つです。ということで、水の抵抗を避けるために船体は、先端が丸く、葉巻型で船尾が細くテーパー状になって細長くなっています。断面形状はもちろん水圧に最も強い丸い断面です。唯一出っ張っているのが艦橋ですが、ティアドロップ断面で水の抵抗を減らしています。

 

エアロロードバイクは水の抵抗の800分の1の空気抵抗の中を走ります。もともとが前衛投影面積の小さいバイクのフレームですから、どの空気抵抗を減らして、10ワットに相当する空気抵抗の軽減をできるのでしょうか、そういうエアロダイナミクスを意識したデザインのバイクのアピールをコマーシャルしているブランドがありましたが、本当なんだろうか。ロードバイクで平地を走る抵抗でライダーのパワーは消費されるわけだから、低速流体力学を無視することはできないけど、前衛投影面積が大きいのはバイクではなくライダーだ。だから、乗車フォームは空気抵抗の軽減に影響するので、上半身の曲がり、腕の開きは重要なのだ。

 

風を巻き込んで、後ろに乱流を作ることで空気抵抗が発生するので、ペダリングする脚の動きで生まれる乱流は仕方がないが。上半身を地面と水平に折り曲げるとか、腕を折り曲げてドロップバーの上の特選部分のステムよりをグリップする。もしくはカンチェラーラが得意としていた、腕を肩90ど、肘90度で折り曲げて、肘近くをドロップバーの上の直線部分に乗せて、背中を地面と平行に深く曲げて、まるでDHポジションという感じで走ると空気抵抗をわずかに減らせますが、ハンドリングは不安定になり。それなりの転倒リスクが発生しますし、交通への対応が遅れますからから、一般公道での走りではおすすめしません。

 

エアロロードやTTバイクのフレームのエアロ形状は果たして有効なのだろうか。エアロ形状に認めのデメリットはないのだろうか。実は近頃気になっているカーボンフレームは、エアロ形状で最先端を行くサーベロが出しているカーボンフレームがあります。エアロダイナミクス形状とは真反対の、オーバーサイズのクロモリチューブくらいの太さの、丸い断面のカーボンチューブを採用したクラシックデザインのフレームです。構造力学的には、葉巻型の潜水艦の形状から考えても、丸い断面が応力には最も合理的だが、セミモノコック製法の形状の自由度の高い、今時のカーボンフレームとしてはアピール度が低い、でも、その乗り味には興味があります。ディスク台座付きも用意されているしね。ではでは。