クマさんのバイク専科

ロードバイクの方向性、どっちがいいのかな!

自転車生活を楽しく過ごして行くには、バイクの進化がどこまで行くのか、どんな方向へ向かって行くのかを見守る一方で、自分の自転車生活に仲間入りさせるのはこれとこれ、というように選んで行く必要があります。 しかし、3年か4年に1回あるコンポーネントのアップデートで、ガラッと変わってしまうこともあります。1990年に手元シフトレバーのシマノのデュアルコントロールレバーが登場した時に、「ストレスフリー」の標語とともに、自転車のコンポーネントの手触りや性能など、解剖学的にもバイオメカニクス的なアプローチでも、人間への歩み寄りが積極的に行われるようになりました。 

それまでの自転車コンポーネントも、インデックス変速機の登場など、じわじわとはライダー側へにじり寄ってくれてはいた気がしますが、昔の軍隊じゃ無いけど、1970年代までは、制服に合わせて、でかくなれ的な思想、根性論的な部分が色濃く残っていたような気がします。 つまり、スポーツ用の自転車はこうなんだからという既成概念が開発者の思想の中にあって、筋肉や操作テクニックなど、ライダー側が技術や体力を上げて使いこなせばいいんだ、という感じが漂っていました。だから、シマノのSLRブレーキとか、ダウンチューブのインデックス機構の組み込まれた変速レバーとか、どこか、変速操作やブレーキングで、恩恵を受けるはずの選手にも軽視されていた気がします。 

15年以上前に雑誌でコンパクトドライブクランクや、ワイドギヤレシオのスプロケットを、トップライダーと一般ライダーの体力差を見直して、ライダーの体力に合わせて採用しようと考えた、提案をする特集記事を展開した時も、賛成してくれる意見も多く寄せられましたが。カウンターオピニオンもありました 他の自転車雑誌は、元選手とかをコメンテーターにキャラクターを設定して、惰弱なギヤ比だ、踏めばそんなワイドギヤはいらない、体を鍛えれば必要ないという、カウンターオピニオンを展開しました。当時はMTB用に開発された、リッチーロジックやTAのPCD110mmで、最小インナーギヤ34Tが付くクランクくらいしか、ロードバイクに使えるダブルギヤのコンパクトドライブクランクしかありませんでした。 

シマノの開発スタッフの当初の見解は、うちはトリプルギヤで30Tローギヤがあるからダブルギヤのコンパクトドライブクランクのラインナップは必要ないというものでした。しかし、トリプルではQファクターが広がってしまうし、重量も増します。ファースト・ピナレロがグランフォンド用にFSAにコンパクトドライブクランクを発注したりしました。 FSAがカーボン5アームでカーボンクランクのコンパクトドライブクランクをリリースすると、市場では奪い合いになり、しばらく品薄状態になりました。カウンターオピニオンを雑誌で発表していた元選手が経営していた卸屋さんも、FSAのカーボンクランクを輸入して販売するようになりまた。 

カンパニョーロの開発部門のスタッフも、日本の自転車雑誌に広告を出していたので、コンパクトドライブクランクの特集記事を翻訳して読んでいて、いろいろな問い合わせがありました。その半年後にアステロイドデザインのCTカーボンクランクを発表しました。それから2年してノがコンパクトドライブクランクを発表しました。 広告クライアントが一斉にコンパクトドライブクランクを発売したことで、自転車雑誌は手のひら返しで、特集を組むようになりました。ロードバイクはレーシングクランクと、コンパクトドライブクランクとの併売の時期がありました。 

しかし、売れるのは一般ライダーの体力に合わせて、コンパクトドライブクランク装備のバイクばかりとなり、こちらがスタンダード化しました。最適なギヤ比を選べ流用になったというメリットもありますが、チェーンの曲がりが急になって伝達効率が悪くなったなどのデメリットなど色々ありますが、トップライダーと体力が2倍も3倍も違うので、最適なギヤ比の採用の方を選んだ方が、上りをくるくる回して快適に走れると感じた一般ライダーたちの、本音が選んだのだと思っています。 

道具の仲間入りを考えるべき新材料は次々と登場しています。フレーム、12段フリーの変速システム、ホイール、電動アシストのロードEバイク、ディスクブレーキ、チューブレスレディタイヤなどがあります。SNSでは色々な噂話が飛び交っていますね。雑誌ですら手のひら返しがあるのですから、ネットの世界の話はさらに吟味しないといけませんね。 ロードEバイクみたいに、自転車生活の取り組み方を大きく左右するような製品も登場しています。電動メカもプログラム変速の導入で、インデックス変速や手元シフトレバーの登場並みに、変速のイメージを大きく変えています。 

そういう製品を手に入れて、フレームに組み込んで、使い始めると、自分の保守的なこと、心配性なことがはっきりと分かります。パワーメーター付きクランクの電池の充電、組み合わせるマルチ機能を持つサイクルコンピュータの充電、電動メカの充電。バッテリーを使い切ったらどうしよう、気になって仕方ありません。 最新の機材を使い始めているライダーのために、バイクのトラブルシューティングを把握しようと色々チャレンジしたり、仲間のメカニックにトラブルの経験や解消方法を聞いて回ります。見えてきたウイークポイントをどうカバーして行くかが課題です。 

ブラックボックス化している部分も色々出てきていますが、なるべく原理を把握して、作動不良や停止の原因、メカトラブルの対処方法を考えているのが楽しい時間になっています。でも、だんだん電気屋さんかパソコンショップの店員さんなった気分を味わうことが多くなっています。 分かってしまえばなんてことがないことでも、どうも電動メカやサイクルコンピュータや、アプリを獲得してのモード切り替え、インデックス変速のズレの解消、電動メカのセットアップなど、電気ものは苦手意識があるな~。 

3社から4社の全てモデルの取り扱いマニュアルを頭に入れておくのは難しくなりました。そういう時に誰かさんが書いたいいメンテ本が手元にあると、見ながら作業を進められて便利なんですけどね。スマホでディラーズマニュアルを見ながらの作業はけっこう大変です。 そこに行くと、昔馴染みのメカニカルの変速システムは、ブラックボックスという部分がまるで無くて、メカトラブルの症状を把握すれば、ほとんどの対処方法が思い浮かんできて、メカトラブルをたいがいは解消することができます。どうとでもなるという安心感があります。 

毎日充電とか、数週間で充電とか、電池残量の確認の手間もかからないし、そんな気遣いもいらないし、バイクに乗ったらそのままほったらかしで保管しても、次に乗る時にタイヤへ空気さえ入れれば走ることができます。今でもメカニカルを常用しているのは、インデックス変速の切れ味などの性能は多少劣っていても、この使い勝手の気軽さ、手間のかからないことが、メカニカルを使い続けさせているんだなと思いました。ではでは。