クマさんのバイク専科

90kmでオリーブさんと一緒にリタイアしました!

オリーブさんは去年の佐渡ロングライドで、タケちゃんと一緒に、ヨレヨレの体調不良で、いつ回収バスに乗ってリタイヤするか分からないクマジジイを、サンドイッチして走ってくれました。タケちゃんには無駄なダッシュはしないようにと声をかけられて、オリーブさんには脚が動かなくなるから長い休憩はしないように、上り坂では止まらないように、声をかけ続けてくれました。130kmコースを完走できるペースで、大野亀を過ぎてからは、タケちゃんが先頭を引いて風除けになってくれて、100km地点の両津まで3人で1列になって一緒に走ってくれました。自分たちのペースで走れていないので、申し訳ないなーと思いました。もう脚はいっぱいいっぱいでした。 130kmコースにクマジジイもエントリーしていたので、連れて行こうとする2人に、ここで勘弁して下さいとお願いして、両津でリタイアさせてもらいました。本当にヘロヘロでしたし、脚が痙攣しそうでした。そのあと両津のエイドでお弁当を食べて再スタートした2人は、余裕で完走しました。一緒に130kmのコースを完走して沢田浜へフィニッシュしたかったけど、裏小佐渡のアップダウンを考えると、どうみても完走が難しいし、もし一緒に走れば、元気な2人の足を引っ張ることになるから、両津の旅館でみんなが帰るのを待っていることにしました。 オリーブさんはその佐渡ロングライド以来、事情があってライドへ参加できなくなり、2019年の佐渡ロングライドの100kmにエントリーして、両津へフィニッシュして、もし余力があったら、130kmコースを走ってしまおうという計画を立てたようです。クマジジイもそのプランに乗りました。オリーブさんがライドへ来なくなって1年が経過するころになって、ようやく冬眠から復活したのが今週の日曜日でした。いきなり2019年の2回目のライドがアップダウンのある佐渡ロングライドの100kmコースです。無理っちゃ無理なチャレンジでしたね〜。 オリーブさんは210kmのコースを何度か完走しているし、130kmコースも何度も完走しています。もしかしたら走りきれるんじゃないかという思いと、平坦コースの100kmじゃないからな〜、これはさすがに難しいんじゃないかなという気もしていました。まさに復帰戦がこのきついコースのライドでした。クマジジは両津までの残りの距離と残り時間をチェックして、コースのプロフィールは分かっているので、平均時速を計算して、実現可能なスピードか考えながら走りました。「完走を諦めていません」と宣言したオリーブさんが、立ち止まったり、上り坂を歩いてクリアして、ダウンヒルと平地だけ走るようになりました。 プレッシャーをかけないように、30mから100m後ろを走りました。残りの距離と時間を考えるようになって、今回の佐渡ロングライドはオリーブさんの復帰戦にお付き合いすることにしました。自分の完走なんかちっぽけなことです。もちろん、できればサポートして完走させてあげたいと思いました。いよいよ、後残り時間が1時間になって、両津までが26kmとなり、実際の走りは時速20km前後ですから、僕が前を走って空気抵抗を引き受けても付いて来れそうにありません。回収のバスは僕の後ろ20mくらいを走っています。バスとの間には2人の赤いビブスを着た回収を告げるライダーが走っています。 100m先のオリーブさんには、3人目の回収を告げるライダーがぴったりくっついています。何かを話しかけているみたいです。頭の中を26kmという数字が駆け巡ります。これはどう見ても完走は無理だな〜と思いました。でも諦めないで走っているオリーブさんが目の前にいます。バスでの回収を告げたはずのライダーが下がって来て、2人のライダーに報告しています。「まだ時間があるはずだからバスに乗らない」と言っていますと聞こえました。まるで僕に向かって聞こえるように話し合っています。聞こえないふりをして時速20kmでオリーブさんに追いつかないように、ビリを走っていました。 すると2人の赤いビブスを着たライダーが、オリーブさんのところに走って行って、話しかけていました。2人が下がってきて、「バスには乗らないと言っている」と話していました。これはよく黒姫合宿で体験したことがあるのですぐにオリーブさんの行動が理解できました。ここから時速27kmで走れば完走できます。でもそんなことオリーブさんは思っていません。自分でフィニッシュラインの距離を決めたのです。きっとそうです。回収を告げるライダーの一人が、バスに乗らないという行動に困惑して、のんびり走っている僕に声をかけてきました。 「旦那さんバスに乗るように説得してもらえませんか」、「あ〜!私、彼女の旦那さんじゃないです。知り合いですけど、説得するのは難しいんじゃないかな〜。まだ1時間近くあるのでギリギリ完走できる可能性があるんじゃないですか、でも説得にいってみますと」と返事しました。時速40kmくらいで、300mくらい先を走るオリーブさんを追いかけて、「バスに乗ってと言っているよ〜」と声をかけました。すると、「90km地点で止めま〜す」と返事がありました。「サイクルコンピュータが90kmを示したら止まると言っています」と伝えました。 と言うわけでセンサーとナンバーを回収されて、2人で仲良く回収バスへ乗って両津へ戻りました。バイクはその後ろを走っていた自衛隊のトラックに乗せられました。バスを降りて、バイクを受け取って、バスに酔った僕はその場にへたり込んでいました。オリーブさんはお昼ご飯のお弁当をもらいに行きました。余裕で完走したIさんがコーラを持ってきてくれました。100kmの走りを輝く笑顔で話してくれました。心からおめでとうと言う言葉が思い浮かびました。僕も3年ぶりの完走証を欲しかったな〜。オリーブさん、来年は100kmか130kmのコースを完走しましょ。ではでは。