クマさんのバイク専科

タイムは工場をスロバキアへ移すそうです!

タイムはビンディングペダルのブランドとして設立され、フランスに生産組み立て拠点を置くブランドでした。TVTというカーボンフレームのブランドを吸収して、フレームの製造に参入します。アルミラグにカーボンチューブとの接着から、カーボンラグとカーボンチューブの接着に進化して、前三角はパート別に成型されたものを協力工場で組み上げたセミモノコック工法になり、RTM工法の後ろ三角と接着されて、RTM 工法のカーボンフォークとの組み合わせになりました。

 

フランスに組み立てやパーツの製造拠点を運営していたタイムスポーツ社は、イタリアのスキー用品ブランドグループのロシニョールに売却されました。そのロシニョールも実際には中国の投資グループが運営していると言われています。2020年まではフランスのファクトリーで生産されますが、順次、治安が良くユーロ圏で、言語はスロバキア語ですが、スロバキアに生産工場を移転して行くとインフォメーションしています。

 

フランスの労働基準法の環境に沿ってカーボンフレームや、ビンディングペダルやカーボン製のハンドルやステムを生産していると、生産に時間がかかって、納期が遅くなったり、生産コストの高騰につながるわけです。この工場の移転で、フランスの労働者の仕事は奪われてしまい、国内の工業の空洞化につながります。工場を移転して、生産のノウハウを指導するフランス人スタッフがスロバキアの工場へ派遣されると思います。特に問題になる可能性があるのは、技術的に難しいRTM工法で製造される、フロントフォークやチェーンステーやシートステーの製造工程でしょう。

 

カーボンフレームやパーツを作る方法としては手間のかかる工法で、今やユニークとも言える成型方法です。製品の形状に近い形にカーボン繊維やケブラー繊維を、ウールのセーターを編み上げるようにしてカーボン繊維を編み上げて、固めるエポキシ樹脂を含ませてから、型に入れて真空引きしながら、熱処理炉で加熱して成型する方法です。カーボンフレームの前三角は、中国の協力工場で成型されたパートを接着して組み上げたものを、治具にセットして、RTM 工法で製造したチェーンステーやシートステーと接着します。

 

熱硬化処理されて組み上げて、塗装工程でロゴが貼り付けられて、ポリウレタン塗装で仕上げられます。タイムは品質管理体制はフランスの工場と変わりがないので、スロバキア工場に移転しても、高品質のカーボンフレームを、納期を早めて供給できるようになると言っています。これまでの半年待ちや1年待ちが改善されるというわけです。心配されるのはスロバキアの工場で生産されたカーボンフレームのクオリティです。

 

フランスの職人さんだって最初は上手くできなくて、だんだん熟練していったのでしょうから、スロバキアのタイムのスタッフにも、頑張って生産モデルのクオリティを守ってもらうことを期待します。肝心なのは、今までのタイムの乗り味を作ってきたノウハウを、蓄積してきた開発スタッフやプランナーがどうこれ以降のタイムのフレームに関わって、プロデュースするのかということでしょう。これを機会に新しいスタッフも加わって、新しいタイムの方向性も示されることも期待したいな。

 

ジロやツールに参戦できるレベルのプロチームへの機材供給も、小さなファクトリーのタイムでは苦しかったけど、ロシニョールの体力なら可能でしょう。そういうステイタスの部分でもこのチャンスを生かして獲得して欲しいですね。もしスロバキアの生産工場が軌道に乗って、生産量も増えて納期も短縮されて、価格も抑えられたら、タイムはもう少し普及するでしょうね。完成車販売などの復活も望めるかも。輸入代理店のポディウムの引き受けなきゃいけないノルマも大きくなるかも。

 

タイムの代理店リストに掲載されるには、それなりの1年間の買い取り量の契約が必要です。リストに掲載されていない、買い取りの量が少なく、掛け率が低く利益が少ないショップでも、取り扱っているところはあります。今までは、新型や新カラーが発表されて、すぐに発注して、最初のロットが手に入ることはまれで、半年待ちや1年待ちということもありました。でも、利益率の低いタイムのフレームを在庫しているショップは少ないですね。

 

2019年のカーボンフレームは、現行モデルの継続となります。アルプデュエズ01、アルプデュエズ21、サイロン、フルディティの4ラインです。カラーもバラエティが絞り込まれています。タイム好きの坂間メカニックも言っていますが、フランスもののタイムのカーボンフレームを手に入れたいならお早めに決断して発注してください。まだ間に合うはずです。カンパニョーロもブルガリアにカーボン成型やパーツの製造工程を移転して軌道にのっています。タイムもスロバキアへの工場や技術移転がスムーズに行くといいですね。2020年以降はどんなタイムが登場するのかな。ではでは。