クマさんのバイク専科

リムの幅とタイヤの太さのバランス!

ヒルクライム用のタイヤとリムの組み合わせの相談をルックを駆るOさんから受けました。リムには内幅と外幅があります。内幅はクリンチャータイヤ、チューブレスタイヤ、チューブレスレディタイヤの太さに関わる重要な数値です。タイヤの太さはエアボリュームを増してショック吸収性を高め、トレッドゴムの接地幅や縦の長さを広げて、直線やコーナーでのグリップ力を高めます。ただし、ヒルクライムという特殊な状況でパフォーマンスを発揮するとなると条件は絞り込めます。

 

タイヤの変形によるパワーロスがないこと。タイヤがなるべく軽くて公道走行でもパンクしにくいこと。変形しにくい高圧設定にも耐えること。リムに接着したチューブラータイヤが細くてグラグラ動かない、リムのアールとタイヤの太さで収まりがいいこと。旧モデルのホイールのクリンチャーやチューブレスのリム幅は、だいたい内幅15mmから16mmの幅でしたが、数年前からプロのロードレースでも25mmタイヤが多くなって、リム内幅も17mmのモデルが多くなっています。ワイドタイヤの変形が出にくいワイドリムとの組み合わせの流れができています。

 

ロードタイヤの規格は700Cサイスが主流で、タイヤの太さは18mm、19mm、20mm、23mm、24mm、25mm、28mmがあります。これはあくまでも呼び寸法で、実際に推奨空気圧に設定して幅を実測すると、メーカーやモデルによって太さに誤差があります。この間までスタンダードサイズだった700・23Cは、700Cサイズで23mmの太さという意味です。でも、空気を入れて実測してみると、21、5mmが一般的な数値でした。25mm表示のタイヤも17mm幅のリムで、23、5mmから25mmまでありました。

 

タイヤ本体のベースになるタイヤカーカスは、タイヤコードが平行に並べられた布地が、タイヤコードがバイアス(交差)になるように、2枚重ねでゴムで接着され、路面と接地する部分にトレッドゴムが張られています。タイヤコードの材質は湿度を吸いにくく、高圧に耐えるポリエステル系の繊維が一般的です。2、54mm当たり2層に重ねられて300本のタイヤコードが並べられているのが、しなやかなタイヤのスタンダードです。

 

これがタイヤカバーと呼ばれるタイヤの本体です。タイヤカバーの中にはクリンチャーはブチルチューブが入ったり、高級チューブラーはタイヤカバーの中に薄い軽量ラテックスチューブが縫い込まれています。チューブレスはチューブ層がコーティングされて、推奨空気圧の空気が入りタイヤが膨らみます。それぞれのタイヤに対応した専用リムや兼用リムが用意されていて、クリンチャータイヤのビードがリムのエッジに引っかかったり、チューブレス系ではチューブ層がコーティングされているビードが、がっちりリムのエッジへはまり込んで、空気の漏れを防ぎます。

 

クリンチャー、チューブレス、チューブレスレディタイヤは、リム幅が直接タイヤの太さに関係します。しかも、タイヤの規格として表示されている、呼び寸法と実際にリムにセットした太さには誤差があるモデルがあるので、太さへのこだわりがあるなら実測した方がいいですね。チューブラーの場合は、リム幅が変化しても、タイヤそのものの太さには変化はありません。19mm、20mm、24mm、28mmの太さのリムがありますが、24mmと28mmのリムへと移行がはじまっています。ワイドタイヤとワイドリムが流れになっています。

 

公道レースの決戦用と言われる転がり抵抗、ショック吸収性、グリップ力の優れたレベルのタイヤでは、23mmが250g、25mmが280g、28mmが310gという重量増になります。1本30gの差は、リム周辺重量ですから、踏み出しの軽さとしてはっきり感じます。ヒルクライムの決戦用として採用される可能性があるのが、220g、180gクラスの軽量タイヤです。18mm、19mm、20mmの太さのモデルがあります。上り区間の走行だけですから、細いタイヤを変形させてパワーロスしないように、上限空気圧に近い設定にして使います。

 

チューブラーリムの幅よりも問題なのは、タイヤを張り付ける面のアールです。28mmの太いモデル専用に設計されているモデルはほとんどありません。25mmがメインで、28mmにも対応できますという形状になっています。ということは23mmにも対応しているんですね。リム幅が広がっているのだから、リムテープも16mm幅から20mmにして、チューブラータイヤを接着すれば、接着強度も上がり、普通に空気圧を設定すれば、24mmでも28mmリムでも、接着面のアールが合わないモデルを除いて、23mm、25mm、28mmも接着して使うことが可能です。

 

ヒルクライム用の軽量な細いタイヤをワイドリムにチューブラータイヤを接着して使いたい場合は、やはりリムの接着面のアールと、20mm、19mmのタイヤの断面のアールが合っているか、リムテープやリムセメントで接着しても、タイヤがグラグラするようでしたら、いくら軽いタイヤでもパワーロスになるので、その組み合わせはやめた方がいいと思います。20mm外幅のリムのホイールにした方がいいでしょう。ではでは。