クマさんのバイク専科

他チームから機材は借りられないのか!?

車のレースでもルマン24時間耐久レースのレギュレーションは、解釈が最も難しいとされていて、前輪の車軸の位置、トレッドのセンターの幅、オーバーフェンダーの寸法など細かい規定があって、レーシングカーの車作りの段階からレースというか、ルールをかいくぐる競争になっていると言われています。フランスらしいですよね。現地で実施されるレギュレーションに合わせて車が作られているかのチェックの段階で、違反が言い渡されて、現地で大改造ということもあるので、新規参入のワークスチームでも解釈で悩まされるというので、ルマン24時間耐久のレーシングカー開発経験者をヘッドハンティングして設計に対応しているそうです。

 

ルマン24時間耐久レースは、世界耐久レース選手権シリーズの中でも特別な存在と言われていて、メルセデスベンツ、ポルシェ、アウディ、ジャガー、フォード、マクラーレン、トヨタ、マツダ、日産にとって、ワークスチーム体制でも、プライベートチーム体制でもほぼワークスという力の入れようで、特別な資金投入が行われています。公道を閉鎖して一部使用するフランスの片田舎のサルテサーキットで開催されている、ローカルな1つの耐久レースでした。代々コースマーシャルとして旗を振ることが自慢という人々もいます。車が時速400kmに達し、スポイラーが破損した車が空を飛んだことで知られる、直線路に面した耐久性と速さのホテルのオーナーもそんな人でした。

 

モータースポーツが単なる車の開発の実験場ではなくなり、ルマン24時間が速さと耐久性のブランディングの一環となっても、各国を代表するメーカーが莫大な投資をしてでも欲しがるルマン24時間のタイトルでした。車にはエンジン排気量や形式、ポルシェ、マクラーレン、フェラーリなどのベースの車を改造したクラスと、シャーシから作り上げたメーカーの力を結集したクラスの、別カテゴリーがあり、どちらも車作りのレギュレーションの把握から難しい耐久レースです。

 

ルール通りに作り込んで行ったはずのレーシングカーです。地元で開催される事前のレギュレーションチェックで、構造そのものがルールに抵触すると、大改造を余儀なくされてバランスを崩してしまう車もありました。年々、燃費の規制も厳しくなって、1Lの燃料で830m以上走るエンジン性能が必要ということが始まります。6000CCとか8000CCというノーマルアスピレーションのエンジンとか、インタークーラー&ターボチャージャー、ツインターボ、マルチローターのロータリーエンジンには不利になりました。高出力で低燃費のエンジンが開発されましたが、現在ではハイブリッドとか、Eカーとか、水素エンジンの優勝もあり得ます。

 

ルマンの24時間のレギュレーションと同じく、ロードレースのルールの解釈も運用も難しいですね。生真面目な日本人だと、ルール違反とか禁止というと、やってはいけないことということで思考停止させてしまうというのが普通の考え方と言えます。海外のチームのやり方を見てこんなのありなのかというのがあります。海外のプロ自転車チームは、罰金もペナルティーもルール内という考え方ですから、選手へのタイムペナルティは順位が下がるから困るけど、罰金を払っても、選手やチームに何らかのメリットがあるなら、違反も禁止も平然と破るということがあります。

 

特にプロのロードレースは、時には罰金さえ払えばいいんでしょ的な運用も行われています。ルールには違反しても、反則をしてもレースが有利になるなら、プロとして目立つなら、UCIのコミッセールに違反を取られても、個人やチームのタイムペナルティーにならないなら、あえてルール違反もするというのがプロです。選手には選手の個人的な付き合いがあって、来年はチームメートかもしれません。勝負している選手がパンクした時に、他チームの選手が車輪を貸すということも発生します。他チームの選手やサポートカーから機材を借りるのはルール違反で罰金の対象になります。チームはその罰金を払ってでも、選手を先に進ませます。

 

補給食の手渡せる区間も指定されています。取り損ねた場合はコミッセールに依頼すれば審判車やモトで選手へ届けてくれます。サポートカーでも届けることができますが、補給区間外での手渡しは罰金が課されます。ハンガーノックさせないために罰金覚悟で手渡すのが普通です。ボトルや補給食がサポートカーから手渡されているシーンをよく見ますが、通常ならサポートカーからの補給が認められている区間での補給となります。補給区間外でも手渡すシーンはいっぱいありますけど、ほとんど罰金は課されていないでしょう。

 

パンクやメカトラブルでの後退後の集団への復帰も、ボトルや補給食やウインドブレーカーの供給も、サポートカーのドラフティングを利用して上がっていきます。車に捕まって坂を上るとか、あまりにひどいドラフティング走行は罰金が課されますが、そんなことはほとんど適用されません。フィニッシュして30分以内に、プレス向けにその日のレースのリザルトのペーパーと一緒に、総合順位、各種のポイント、そして、タイムペナルティ、降格などの通達があって、チームや個人への罰金のペナルティがユーロで表示されます。

 

チームには登録したメールに、リザルトや翌日の注意事項などが送信されてきます。ドーピングチェックの1、2、3位のフィックスと、ランダムな順位のチェックが表彰やフィニッシュ直後にあること、ラボへの立ち寄りが必ず通知されます。通知された罰金はチームが実際にUCI振へり込んでいるかは分かりません。毎年のプロチームのUCI登録の時に何らかの措置があるのかも知れません。世界で走るとなるとルールに対する考え方が変わります。ではでは。