クマさんのバイク専科

本気でギヤ比のこと考えてみよう!

マサローさんは、忌野清志郎さんの「ツールド奥の細道」というロードバイクで10日間走り続ける番組のディレクターさんでした。一緒に走るようになったのは清志郎と一緒につくばを走るライドからでした。福岡に転勤になって、東京へ戻って、久しぶりというより。清志郎さんが亡くなってロードで走らなくなっていたそうで、8年目のブランクを経て、去年の佐渡にさそって、いきなりの210kmをリミットタイム数分前というギリギリで完走したのを見て驚きました。

 

ほぼ8年振りという本格的なライドというのに、この体力は何なんでしょう。ういう人は体力に自信があるだろうし、いざという時は踏ん張れる人なんですよね。そういう体力の限界に近いところで働いている経験があるか、パワーを出し続けないといけない現場で現役で働いている人の踏ん張り方です。でも、いきなりの210kmの完走は尋常なことではないです。しいだろうな〜というのが、最終エイドステーションを通過した時の正直な気持ちでした。ところがひょっこりフィニッシュに現れたわけですから、これには一同驚きました。

 

機材の選択でワイヤレスの電動メカの超ワイドギヤ仕様など、助けられたことは、色々な完走に結びついた要因としてあったと思います。その時はきっと大変さより、走行距離へのチャレンジする気持ちの方が大きかったんですね。それにしてもすごい走りでした。8年近いスポーツバイクとのギャップがあったにも関わらず、この走りの原動力は本当に何だったんでしょう。お尻が壊れたと2週間ぐらい不調でしたが、これで何かが吹っ切れたのか、100km以下のライドをつくばで楽しんでいたし、時間を作って、パレスサイドのサイクリングも楽しんでいたみたいです。

 

ギヤ比のこと考えさせられました。僕の世代の自転車乗りは、フリーのスプロケットのローギヤが、21T とか大きくても23Tとか、小さい方が「男前」という気持ちがどこかに残っています。スポーツバイクつくばマツナガの女性スタッフのもりみちこさんは、デローザ好きで、最新のモデルにも乗っていますが、「フリーのローギヤは23Tくらいのがかっこいい」と言っています。「ツールド奥の細道」で、日光街道の杉並木の上り坂を先頭に立って、マツナガ店長や清志郎さんを引いていたのがみちこさんです。

 

当時はフルマラソンをザブスリーで走り、映像を見ると筋肉がモリモリでした。男前なギヤ比で走れたわけです。だから今だにフリーはクローズドレシオがかっこいいと言うんでしょうね。あれから13年以上が経過しているんだから、体力も筋力も変化しているのですから、コンパクトドライブクランクはもちろん、ワイドギヤのフリーも視野に入れてくださいね。52T・39Tや52T・32Tに、フリーは12T〜23Tがレーシングギヤだった頃、一般ライダー向きのロードバイクも、ほぼ同じギヤ比が装備されて市販されて走っていました。

 

プロライダーと一般ライダーがロードバイクだから同じギア比で走るのが当時の常識でした。でも、実際には1時間に発揮できるパワーは2倍から3倍の差になります。同じギヤ比でいいはずはないよなと思っても、僕自身が既成概念でレーシングギヤがかっこいいという思いもありました。でも、実際に峠道を走れば、踏み踏みのペダリングになって、乳酸が爆発的に発生して、筋肉が収縮しにくくなって、立ち止まったり、歩いてしまうことになります。まだ世の中にコンパクトドライブクランクという考え方がなかった頃。乗って上れるギヤ比を実現しようと思い立って、雑誌でキャンペーンをしていた時でも、小さいローギヤがかっこいい、そういう気持ちはありました。

 

カウンターオピニオンをぶつけてくる他誌のコメンテーターの元レーサーとか、卸屋さんの目利きの人たちの、コンパクトドライブクランクや、超ワイドギヤなんかいらない、トレーニングすれば踏めるようになる。へなちょこギヤというご意見ももっともだとは思っていました。だけど、トップ選手と一般ライダーや、年取ったライダーの体力を比較すると、1時間に発揮できるワット数で2倍から3倍の差があって、瞬間的に到達できる最高速度の差が20kmから30kmくらいあって。登坂での速度差も10kmから20kmくらいあるので、やはり、これはギヤ比を考え直すべきだと確信しました。

 

電動メカと同じように、アレルギー症状はあるだろうけど、体力の差という現実は、やはり受け入れて対応しないと、上り坂が登場するたびにローギヤでも重すぎて踏めなくなって、バイクを降りてテクテク歩いて登っていたのでは、挫折感ばかりで、乗って登りきったという満足感や達成感がなく、走るのが楽しくなくなってしまいます。自分自身の体力が衰えることを予感して、現に26歳から以降はレースへ向けた苦しいトレーニングも止めて、走りたい時にいま出るスピードを試すために、100kmくらいのライド中に、決まったポイントで8回くらいのもがき合いをするというような走りをしていました。

 

最高到達速度が平地で60kmくらい、もがけるのは500mから700mで、距離はもっとありますからいつでも途中でへこたれて、ズタボロになって脚が動かなくなって、最後尾というパターンでした。今ではそんな身を削るような高負荷の走りは全くできません。コンパクトドライブクランクになっても、アウターギヤの選択で迷いました。50T、48T、46Tなどで、フリーのトプギヤで、国道18号線の下り坂で、80km近くを出しても脚に引っかかるギヤ比が必要と思っていました。だから50Tかけるトップギヤ11Tの組み合わせでした。

 

黒姫高原の道を快適に走るには、インナーギヤに34T、ローギヤに32Tが必要で、カンパニョーロにもシマノにもラインナップがなければ、MTB用のスプロケットからバラしてローギヤへ取り付けて、ワイドギヤで走っていました。そして、現在ではローギヤはロード用コンポーネントでも34Tが用意されている状況です。マサローさんやお赤飯好き好きさんが、躊躇なく34Tのローギヤのスプロケットや、14Tトップのジュニアギヤとの組み合わせで、14〜34Tのスプロケットを採用したりするのを見て、僕はまだ昔のロードのギヤの既成概念に縛られていたことを感じました。

 

かっこいいとか、軽量化とかいう問題じゃなくて、フロントはインナーギヤ32T、31T、30Tなどが可能な超コンパクトドライブクランクで、リヤは下りで脚に引っかからなくてもいい14Tのトップギヤで、ローギヤは32Tでも34Tでも、クランクを毎分80回転以上、くるくる回して走れるローギやで、乗って上れるギヤ比が必要だと、2人に教えてもらいました。プロ選手との体力差も、年齢とともに踏めなくなったりする衰えもあって、コンパクトドライブもクランクも、超コンパクトドライブクランクの効果も、超ワイドギヤの選択も、頭ではわかっていたつもりでしたが、2人のつくばでの走りや佐渡での走りを見ると、必要性を痛感しました。

 

マサローさんは、すでに福岡へ単身で転勤してしまったようですけど、くれぐれも博多のネオン街に撃沈し続けないように、体に気を付けてください。移動早々から勝手知ったる福岡ですからハードに仕事しているらしいですが、体に気をつけてください。そうそう、つくばのブルーベリー、メロン、スイカなどの果物とか、クーロンヌのパンを留守宅にお送っておきますね。お赤飯好き好きさんも、遠慮なく走れそうな日をメッセージでもメールでも、電話でも教えてください。土曜日なら朝ピックアップに行きますし、日曜日なら事前にバイクを預かって、TXのつくば駅でピックアップしますから。一緒につくばを走りましょう。

 

オリーブさんも新しい仕事で緊張の連続でしょう。ルーティーンが落ち着いたら、黒姫合宿もつくばのライドも、一緒に走りましょう。さくらんぼさんも、せっかくオーバーホールしたのだから一緒に走りましょう。相変わらず土曜日は10時にさくら運動公園へ集合、日曜日は8時30分にショップ集合で走っています。6月や7月の装備は、保冷ボトルは2本、指付きのサマーグローブ、日焼け止めのアネッサ、UV カットのアームカバーをお忘れなく。のんびり美味しいお昼ご飯を求めてのライドですから、問題なくフィットすると思いますよ。一緒に走れることを楽しみにしています。ではでは。