クマさんのバイク専科

ワンデイならコンディショニングでいけるけど!

2020年の東京オリンピック、テスト大会も終了して、ロードレースの日本人選手の可能性を考えてみました。プロアマオープン化してからのオリンピックのロードレースで、アテネやリオのオリンピックでの日本人選手のパフォーマンスを振り返ると、200kmオーバーのワンデイレースで、トップ集団で走れる可能性はあります。

 

2選手ともオリンピックのロードレースに対応できたのは、数年かけて自分の体格と走りに合わせて、筋肉量と体脂肪量を一桁台に絞って、体をロードレースに最適化して、ヨーロッパに活動拠点を移したり、長期遠征して、参加するレースもトッププロチームやエリートが走る場所でレース活動しています。

 

ヨーロッパ周辺の選手がカテゴリーの階段を上がるのと同じステップを経て、トップシーンへ自力で駆け上がり、年間80レースから130レースを数年間体験するのが理想的でしょう。こういうレース活動を経験している日本人の現役選手は数人います。

 

言葉や人種の壁を乗り越えて、ヨーロッパの各カテゴリーのロードレースに到達して、毎週2回開催のいくつものレースを体験して、レースを通年で走れる体力を付けて、メイン集団や、逃げ集団の中で走って何が起きていて、これから相手にする選手の強さを実感したり。自分はチーム戦略や、強くなるためにどう走ればいいのかを身に付けています。

 

日本のロードレースのトップを走っていてプロを名乗っていても、いきなり、ヨーロッパのエリートやプロの2軍や1軍との混合レースに出れたとしても、集団からちぎれてDNFか、150kmから200kmを完走するのも難しく、勝負どころで、前では何が起こっているのかも見られません。

 

アマプロ混走のレースレベルは、全日本選手権以上の強度です。中3日で次のレースがある感覚ですから、半年や1年は、ダメージの大きいレースからのリコンディショニングが間に合わないことに直面して、体力差や回復力の差を感じます。そこから作り直さないと1シーズンを対応できないことに気づきます。

 

シーズン終了後の、ギヤを落として参加するヨーロッパのプロ、彼らのジャパンカップの走りと、日本をベースとする、そこにコンディションを合わせてきている、日本人プロの走りを見れば、差は歴然です。ラスト3周ぐらいまでは日本人選手の逃げは容認されますが、ラスト2周になったら、底力を発揮して追い上げて、きっちり勝負に出るパターンになっていませんか。

 

レース終盤、もしかしたらと思わせる戦をしているように見えてワクワクしますが、ラスト2周のヨーロッパのプロ選手の、ギヤを1段も2段も上げた走りを見ると、見た目の差は数秒でしょうけど、持っている容量の違いという感じの、レースを支配する力の差を感じませんか。

 

ヨーロッパのプロは、150kmから240kmくらいのレンジで戦っています、ジャパンカップに来日するプロチームは、アシスト陣がフルメンバーでもないし、コンディショニングもしていないので、ジャパンカップでは、エース級でも色々な引き出しを開けて効果を試すような、無駄脚を使いません。

 

ラスト50kmくらいからがレース本番の始まりで、勝負どころでエースやその日に調子のいい選手が、終盤の逃げ集団に追いつけなくなるような間隔を開けるミスはしません。計画通りにメイン集団は距離を詰めて行き、最後の平坦では吸収して、上りゴールのスプリントへ持ち込んでの決着となります。いかにもなプロロードレースの展開で決着しているはずです。

 

そんなプロの走りをできるようになるまでのプロセスは、フランス人だとすれば、小さい時からロードバイクに乗っていて、フランス車連の国内ライセンスを取得して、16歳くらいからクラブチームで本格的なトレーニングに取り組み始めます。

 

エリートやナショナルチームへ直結している、地域単位のピックアップシステムや、年間の運営費が1億から2億の有力クラブチームのスカウティングが行われて、監督、コーチ、トレーナー、メカニックのサポートを受けて、ステップアップしていきます・

 

各カテゴリーのレースを規定通りに勝利して、ジュニア、エリートクラスに昇格して、エリートのワンデイレースも、2日、3日、5日、1ウイーク、2ウィークのラブニールのようなステージレースも走って、プロアマ混合レースも走ってプロ入りをアピールするわけです。

 

日本のロードレースから、日本のスポンサーを抱えて、いきなるりプロのカテゴリーへ飛び込む選手もいます。せめて、エリートクラスのクラブチームかプロの練習生に入って、経験を数年積んだ方が、プロでの対応もスムーズだし、日本のようにレーススケジュールの開く環境ではないので、対応できる体づくりもできると思います。

 

プロアマオープンのレースには、プロへデビューして、トップチームへスカウトされて、ジロやツールを走る、ビジョンを実現させるシリアスなフィールドがあります。エリートから抜け出して、プロチームとの契約を獲得して、ジロやツールに出られる可能性がある、ビッグチームへ移籍するという、明確なビジョンがあって、まぎれもない真の競争原理が存在します。

 

オリンピックも世界選のロードレースも、ワンデイレースで、レンジは240km前後です。アテネオリンピックの田代選手や、リオの新城選手のように、数ヶ月かけて、目標の日にターゲットを合わせて行けば、上りのきついワンデイレースでなければ、コンディショニングして、トップ集団で戦うか、見た目の差がなく戦うことができることもあります。

 

世界のトップ選手や優勝候補の各国ナショナルチームのアシスト陣の能力を低く見ているわけではありません。もし、オリンピックのロードレースがステージレースだったら、そこにはメダルのかけらも見えてこないほどの、有力国のエースやアシストとの能力差が存在します。

 

2020の出場枠の少ないはずの日本選手でも、ワンデイレースだから、体調を整えて、ヨーロッパでのレース経験を生かして流れを読んで、他力本願でも乗っていける力があれば、前で戦える可能性があるということです。でも、残念なことにコースプロフィールの獲得標高が凄すぎて、力勝負になりやすいコースなので、果たして周回に入って、トップ集団に日本選手は生き残れるのだろうか。