クマさんのバイク専科

高校野球の監督の方が賢くなっている!

日本で高校野球は歴史があって、特別な人気を誇っているスポーツです。甲子園での大会は、朝から夕方まで、ほぼ全試合キー局で地上波放送されるほどです。統括している日本高校野球連盟のヘッドスタッフは、これまでも、いくらもチャンスがあったのに、肩関節や肘関節や、周辺の靭帯や筋肉への負担に関わる、球数の制限や連投の制限に踏み切らなかったし、トーナメントで毎日試合するスケジュールの管理など、ほとんど再検討も決断もしないまま、16歳から18歳までの若い選手の体を守る、決定的な手を打っていないことに、憤りすら感じています。

 

準決勝や決勝後の、中1日の休養で連投が許されているのが本当に改善なのか?。スポーツドクターにそれでいいのか諮問しているのか。野球の既成概念を思い切り棄てて考えてみました。高校野球は教育の一環というなら、体を傷つけてまで野球する必要なんかどこにもない。安全なルールの中で集中して全力を発揮すればいいんじゃないか。ジュニア世代の試合は、延長戦もいらない。世の中には引き分けという局面も存在するのだ。9回で同点なら先に点を入れ、より多くとったチーム、三振が少ないチームが勝ち進めるルールにすればいい。

 

それでも同じなら、高校ラグビーみたいに抽選でどうだろう。それがダメなら試合前や終了後にチームを代表してホームラン競争でもして、最終的なアドバンテージを決めればいいのでは。サッカーのペナルティーキック合戦のようなイメージだ。でも、落球して負けた選手のように、個人に責任がのしかかって教育上よろしくないか。同点で試合終了の時のアドバンテージを得るために、初回の1番打者の立ち上がりから先制点獲得に必死になる、締まった試合になるだろう。先頭打者ホームランなんて最高の殊勲賞もので、同点お時のアドバンテージになって、チームに勢いをつける貴重な1点になる。ホームランバッターが4番打者ではなく、1番に起用されることになるかもしれない。

 

球数制限や連投制限をすると、優秀な投手が複数必要になって、体育特待生としてスカウトできる私立高校が優位になるというなら、予選は5回とか7回で終わりでいい。決勝戦だけ9回まででいいのでは。世界統一ルールでジュニア世代の野球は、そういう集中力やチーム力を体への極限の負荷をかけることなく競うスポーツだと思えばいいのだ。いつまでも、疲労困憊で痛々しかったり、怪我おしてでも頑張るという、高校生投手が投げる野球に、共感とか感動しているのは違うと思う。いいコンディションでプレーする姿こそ本来あるべき姿ではないのか。

 

横浜のプロ野球選手からの提言を無かったものとしたし。高校野球の地方組織の先進的な提案を却下して、大幅な改善を真面目に検討しているとは思えないまま、現状に至っている。熱中症対策の給水タイム、9回同点の時のタイブレーク採用などは、先進的なことも取り入れてますよという、日本高野連のパフォーマンスに過ぎません。WBC、オリンピックやアジア大会などの、シニアのインターナショナルな野球の試合にも、選手の体を守る、根本的な試合のルール、選手の運用ルールが、採用されています。

 

1試合の球数制限や、その球数を投げたら、連投の禁止などのルールを、ジュニア世代の選手がプレーする、高校野球はそういうルールを取り入れていないのです。ジュニア世代の育成を考えると、程遠いルールがまかり通っています。昔はどうだったという偉大な成績を残しているプレーヤーが、日曜日のモーニングショーで、高校野球の注目のエース投手が地方予選の決勝戦に連投しなかったことに、苦言とも取れる持論を展開していたけど、大リーグに所属する現役の日本人投手に、カウンターオピニオンをくらっていました。

 

その投手こそ、高校野球時代に連投していた経験を持っていて、大リーグで活躍していたものの、肘の痛みと違和感を感じつつ登板していて、靭帯の炎症や一部断裂で、肘の靭帯の自分の靭帯を移植修復手術の、トミージョン手術を受けて、2年を棒に振っているし、今も違和感を感じつつ、スピードを取り戻そうとしている選手だから説得力がある。投手の利き腕の酷使は昔からの課題で、ストレートだけならまだしも、肘への負担が増す変化球による、加速とねじれで、関節の軟骨遊離だけでなく、その周りの靭帯や小さな筋肉群への負担は、昔の投手よりも飛躍的に大きくなっています。

 

肘や肩に関する手術数も、スポーツドクターの学会のデータによると、アマチュアやプロも含めて手術数と故障数が増えている。しかも、体格や筋力の発達で、球速は150km台が普通になって、160km台到達者が登場している。時速140km台と150km台の球速の差でも、バイオメカニクス的な解析によると負荷は相当に大きくなっている。さらに160km台となったら、その負荷の大きさは今までの指導者の経験則では想像のできない領域に突入しているから、その選手の運用方法と体のケアは慎重に取り組む必要がある。注意していたはずの2刀流の大リーグ選手でも、トミージョン手術を受ける羽目になっていることを考えると、事態は本当に深刻だ。

 

球数制限は必要ないという元阪神や南海で活躍した元投手の解説者も、あれは大リーグで、球団と代理人の間で、科学的な根拠のない契約により生まれたものだと主張した。彼は高野連のルールの制定に関わる委員会のメンバーにも選ばれている。では、18回まで延長戦を戦って、翌日も投げる連投が許されていた経緯がある。現在も延長14回のタイブレークを戦って、翌日の試合でも投げることが容認されているし、準決勝で投げて決勝戦との間隔は中1日で、何球投げていても決勝も投げられるルールです。高校生投手の体がそれで大丈夫という、球数や連投が問題ないという、科学的な根拠は何なのか示してほしい。

 

個人としては、ヨーロッパのスポーツ界の選手や指導者で定着しているアンダー23歳という考え方がいいと思っている。特罰な才能を誰もが認めた場合だけ、ジュニア選手でもトップリーグやプロに転向できたり、エリートクラスでも成績が出て、体が出来上がってからプロに転向するという制度だ。19歳から20歳までのジュニアというカテゴリーわけも効果があると思う。21歳になったら、試合時間や頻度に制限が解かれて、自転車競技なら、重いギヤ比や、コースの傾斜制限や、走行距離などの制限など、体を守る制限を解いて、全力を発揮して戦っていいよ、という考え方だ。

 

ジュニアクラスに当たる高校野球の選手たちの体を守るルールを制定してこなかった高野連は、投球数無制限肯定派の元プロ野球選手を、ルール制定委員会の委員に選定したり、まだ体を守るルールの制定を先送りしようとするのか。高校野球の統括団体の役員は全員辞めた方がいいね。高校野球は高校生の限界を超えたところでの悲劇を目撃して、感動をするというパターンが続いていました、18回投げて引き分け、翌日再試合というようなことが、平気で実施されていました。試合の終盤、外野に入っていた選手が、パンパンになっている腕のテーピングのキネシオテープを引き剥がして、マウンドに駆け上がって投球していましたよね。

 

その選手も、大リーグに行ってからトミージョン手術を受けています。その後2年でフリーエージェントになって、日本の球団に戻って2年ファーム暮らしをして、今年、やっと1軍の試合で投げて数勝していますが、スピンのかかった伸びのあるストレートボールは復活していません。有力選手が地方の決勝大会で監督さんの判断で、投げさせてもらえなかったという件で、その高校に、なんで投げさせなかったんだという多くの抗議があったとか。投げさせない決断をした監督さんは、批判があることを百も承知で決めたことでしょう。

 

色々な意見はあるでしょう。高校野球で燃え尽きろとか、100%で取り組めとか。でも、野球選手の終着点はプロを目指すならそこじゃないでしょ。高校野球を頂点と考えている人でも、体を壊していいというなら別ですが、ジュニア選手の限界を越えさせる可能性がある、無制限のルールは、やっぱりおかしいと思わないのかな。この監督さんの判断は、高校野球の予選突破には繋がらなかったけど、高野連よりはるかに高い次元で、将来もどこかで野球をする選手のことを考えていますね。甲子園の高校野球の本戦を見ていると、ルールをいいことに、エースをフル起用で勝負をしている監督さんのチームもありました。

 

でも、高野連のルールを超越した選手の運用で、高校生の選手の負担を考えて戦っている監督さんとチームもいるなと思いました。プロ野球や実業団野球や大学野球への選手供給システムと言われようと、身に付けた力を発揮して頑張っていますね。高校野球はそういう面もあることを理解した上で、選手はそれぞれの夢を持って戦っています。プロに入って即戦力として1軍の試合ですぐにパフォーマンスが通用する選手も稀にはいますが、18歳で体が出来上がっているという選手はいません。プロで通用した選手も、数年で体ががらりと変わって頑健になっています。

 

そうなると筋肉量が増えて、投球スピードが上がったり、速球の球数も増えて、変化球を投げた時の、肘関節や肩関節にかかる負荷も飛躍的に大きくなります。100球を投げた投手の筋肉や関節へのダメージは、アイシングやマッサージやストレッチングや、超音波や高出力レーザー治療などの処置を適時に受けて、投球フォームの確認などを経て、メディカル的な解析によると、回復には中4日か5日は必要と言われています。150球を越えた選手の筋肉や靭帯や関節の炎症が治るまでに、7日は必要になり、シーズンの登板可能回数が少なくなります。

 

大リーグのチームの監督やコーチは、1シーズンのトータルの戦い方をイメージして、投手数を用意して起用します。投手の体に深いダメージを与える投球数に注目するのは当然で、試合を作る先発、追加点を許さない中継ぎ、勝ちパターンならクローザーで終わらせる、という分業システムが生まれました。そのダメージが少なく球威をキープできる球数がおよそ100球が指標にされています。高野連のルール制定委員の解説者は、その科学的な解析に基づいた合理性を追求した大リーグの投手起用システムと、高校生の体を守ることと、を結びつけて、球数制限は必要ないと批判しているのは、飛躍しすぎです。

 

世の中は球数制限などの、高校生の体を守るルール作りに向かって動いています。そこに、元プロ投手の解説者の結論は、球数制限は科学的な根拠もなく、大リーグの投手の契約の影響を受けたまやかしで、球数制限はいらないという。今、そんなカウンターオピニオンを発言する根拠はなんなのか。そうすれば注目されて、書いた本の宣伝に利用しているとしか思えません。そんな人をルール作りに従事させていいのか。どうして手術を受けた選手や、指導者から事情を聴取して、手術やリハビリなどの治療に当たったり、故障の発生の調査を実施したスポーツドクターの意見を真摯に聞いて、既成概念を捨てて、ルールに反映すべきだ。高野連は本気で取り組んでいるのだろうか。ではでは。