クマさんのバイク専科

737MAX復帰?、航空業界の常識を理解できない!

飛行機は最初は木材や布で作られて、アルミ合金に変わり、高弾性で破断特性も追求された日本製のカーボンファイバーに変わりました。アルミ合金製の機体の時代から、合金チタン製のボルトやタービンのフィンやシャフトも採用されています。ハイグレードのカーボンフレームのスポーツバイクと素材が重なりますね。開発コンセプトも空気抵抗を減らすエアロロードとか、軽量化とか似ている気がします。違うのはスピードと、バイクは落車で、飛行機は墜落っていうアクシデントの違いでしょう。気になるボーイング737MAXという最新鋭機の墜落事故が続きました。

 

アメリカの航空機産業は、世界の人や物の移動に影響する巨大な力を持っています。特にボーイング社は旅客機の生産に特化している航空機メーカーで、数年先まで複数モデルの旅客機の生産やリペアのスケジュールが決まっていて、各国のカントリーエアー、メジャーキャリヤやローコストキャリヤの航空会社や、各国政府からの受注数や納入数から見ても、EUのエアバス社がライバルの旅客機業界の巨人と言えます。ヒットした飛行機は747ジャンボジェットがあります。航空機メーカーの再編も盛んです。

 

しかし、400人規模の座席の機体は、稼働率を上げる営業も大変だし、空気抵抗が大きく4発ジェットエンジン装備で、燃費や温暖化ガスの大量発生の問題もあるので、メジャーキャリヤもLCCも、アルミ合金製の大きな機体は、メイン機の座を譲ろうとしています。エアバスみたいに新素材採用の巨大な機体を人気路線用に売り込んで、ANAは今期からハワイ路線へ投入していますが、空飛ぶラウウンジとして話題性はありましたが、やはりいくら省エネタイプのジェットタービンエンジン4基採用でも燃費の問題と、繁盛記は問題なくても、閑散期に700席の稼働率を上げるための、チケットのダンピング問題を抱えることになります。

 

燃費などの経済性や、国内便や国際便の航続距離など、ニーズに合わせて運用しやすい200前後の座席数の中型機、777、737などを世界の航空会社が採用しています。航空機製造は継続的にあらゆる産業を巻き込混むので、アメリカの経済界の牽引役にもなっている企業といえます。日本の企業もカーボンファイバーなど、高品質のボディや翼などの素材を供給しています。リチャージャブルの高性能電池も、パナソニックやデンソウなどの軽量タイプが採用されています。日本航空電子の小型高性能レーダーシステムなど、日本企業のハイクオリティの素材や機材の安定供給がなければ、旅客機も防衛用の機体も製造が滞ります。

 

日本の三菱の航空機部門は、自衛隊へ納入している練習機や戦闘機の開発から量産やメンテナンスの実績や、ロッキード・マーチン社の戦闘機のライセンス生産や整備の実績があります。航空自衛隊の主力戦闘機のF16Jシリーズなど、スクランブル発進の頻度が高い酷使される機体のメンテナンスのスピードやクオリティの高さ、デリケートな電子機器のメンテナンスを含めて、機体の稼働率は世界最高と言われています。最新鋭のF35Aの組み立てや整備も担当しているし、まだ未配備の垂直離発着性能を持つ、F35Bも担当するはずです。

 

そんな三菱航空機でもプロプジェットのYS11以来の、スペースジェットという、久々の国産旅客機開発にエンジニアの経験が途絶えているせいなのか、手間取っています。新型の中型ジェット旅客機機の開発で苦しんでいるのを見ると、量産にこぎつけて、航空会社への売り込みまで、かなり厳しいビジネス環境らしいです。パーソナルジェットの分野では川崎のUMシリーズが双発プロペラからジェット化されているし、ホンダエアクラフトの小型ジェット機がビジネスとしてスタートしています。三菱航空機の中型ジェット機は引き渡しが先延ばしになっています。開発開始から時間が経過してしまうと、基本設計そのものが古くなってしまうのではないかと心配です。

 

堅実で丁寧な仕事をする、日本人エンジニアだけでは旅客機の開発は手に負えず、ボーイングやカナダのボンバルディア、ブラジル国営のエンブラエルなど、ライバルメーカーの新型旅客機の開発経験者をリクルートして、足踏みしていた体制を見直したという。旅客機の開発は資金力だけでなく、旅客機の型式承認まででも、相当大変な総合力がいることを示しています。果たしてこの機体は売れて採算が取れるのかな。航空機メーカーの総合力とは、どういう事かと言うと、時代のニーズにあった魅力のある売れる飛行機を設計して作るために、金属、複合素材、コンピュータ、インテリアデザイン、安全装備、組み立て、整備など、ありとあらゆる業態を巻き込む総合産業で、社会インフラとして重要な役割を果たすハードを作り上げる産業と言えます

 

でも、航空機は墜落すれば大勢の人が死んだり怪我をします。空を飛ぶと言う事は、船や電車とだいぶ違うのは、事故率がいくら低くても、墜落事故が起これば乗員や乗客の死に結びつく可能性は、航空機のウイークポイントでもあります。しかも、最新の航空機は、単に空飛ぶ機体を作れればいいと言うものではなくなっています。機体は複合素材やアルミ合金、合金チタンを使うことを前提に設計して、燃費向上のために推力があって燃費のいい優秀なジェットタービンエンジンを選び、時速200kmから800kmがターゲットの機体を設計します。

 

高速流体力学の空力をベースにしたフラッシュサフェース化により、トータルでのCD値を最小化しながら、低速から高速までの操縦安定性や、運動性能のバランスが追求されます。価格は150億円から200億円くらい。もちろん営業用の機体ですから、省エネ性能も静粛性も整備性も耐久性も追求されます。200人から250人が搭乗する国際線の中型の機体ともなると、離陸できるペイロードは800トンくらいで、航続距離は6000kmから7000kmとなります。ドラム缶40本から50本の航空燃料が搭載されます。燃費に重要なのがジェットタービンエンジンで、小型軽量で高出力で燃費がよく、静かな、いいエンジンが2基採用されます。

 

最新素材の特性を把握した高強度で軽い機体の有限要素方を取り入れたコンピュータ設計。機体とエンジンの出力や燃費や大きさのバランスの調整。素材や機材調達ルートの確保や安定供給。操縦システムの安全設計。自動操縦システムと手動操縦システムの設計と操縦支援プログラムの作成。乗客や乗員の意見を取り入れた内装やギャレーのシステム設計などやることだらけです。LCCなどの参入により、キャリヤによる座席数やフォーメーションの変更のフレキシビリティの確保。内装の設計や施工。信頼性や強度試験。パート別の作動確認や機体認証のための空中テストなど。膨大な仕事が航空機の開発にあり、世界の航空会社へ売り込むセールスには、整備要員の教育や補修部品の供給など、納入後のバックアップ体制も問われます。オーダー内容の確認、製造の順番を確保する仮契約があって、本契約になって、納入となります。

 

そのほかにも、翼やボディなど、工場の組み立てラインのシステム設計。パイロットプロトタイプや認証機体の製造や、分解組み立てによる、作業者の熟練度のアップ。量産型のライン設計の見直しなど、機体を作るための試行錯誤が行われて。機体の型式認証のテストに入ります。同時に、機体購入の契約航空会社の、パイロットのフライトシュミレータによるトレーニングや、実機でのトレーニング、テストパイロットにより自動操縦システムの動作確認、非常時の対処マニュアル作り、ランニングチェンジヶ所の認識や開発も同時進行されて、営業飛行に移行しています。

 

737MAXの新型機はキャリヤへの納入後も、改善の通知や作業は順次行われています。ところが、最新鋭の737MAXの導入したばかりの定期便が、2機続いて墜落して、400人が死亡しました。離陸後の数分での墜落事故でした。陸上への墜落だったのでデータが解析されて、2機の事故調査で、乗員の対処行動や、自動操縦システムのセンサーの信号による、機首上がりによる失速防止の、機種を下げるコマンドが優先されるソフトや、左右センサーからの信号の誤送信や、緊急時対応のマニュアル通りにしても、機首下げの姿勢を変更できないで墜落したことが判明しました。

 

この事故発生を受けて、ボーイング社の自動操縦プログラム開発の担当者や、この操縦系統の開発を担当したエンジニアが、次々に退職しているそうです。機体の前面に埋め込まれた姿勢を感知する機首に埋め込まれた、左右のセンサーからの異なる数値のどちらが正しい数値かを判断するプログラムが働かず、機首が上がっているという度重なる誤審号が優先されて、機体が前上がりの姿勢になっているとコンピュータは判断して、失速による墜落を防ぐために、自動的にメインの油圧系統で、手動操作より優先して、水平尾翼を作動させて機首を下げるように、プログラムされていたのです。

 

機体の姿勢を感知する機首に埋め込まれた左右2つのセンサーのデータの誤差により、失速を予測したコンピュータが、水平尾翼のフラップを自動的に動かして機首下げを実行しました。墜落の危険を感じたパイロットは、ボーイング社の緊急対応マニュアル通りに、自動操縦を2段階の操作でカットオフして、手動操縦に切り替えて、水平尾翼の角度変更を試みましたが、空気抵抗が大き過ぎて、手動では水平尾翼のフラップを動かせず、機首下げの状態のまま墜落したのだそうです。そういう機首下げ状態になる自動操縦のプログラムの傾向と、手動による水平尾翼を動かすのが難しいことは、ボーイング社により対応マニュアルが作られていることから、テスト飛行の時から認識されていたわけです。

 

離陸して数分で2機ともそういう状態に陥り、対応マニュアル通りにやっても墜落したわけです。墜落事故後、ボーイング社は、いくつかの機首下げの信号の対応策を提案して、世界的な737MAXの運用停止状態からの打開策として、パイロットの操縦が優先されてメインの油圧系統が働く、新プログラムのインストールと、パイロットの再教育で機首下げに対応できるよう、トレーニングに取り組んで、もうすぐ営業運行を再開したいと申請しているようです。新型機を信用していた400人の乗員乗客の命を奪っておいて、機首下げプログラムの間違えでした。2つのセンサーはカバーを強化してデータを安定化したし、今度は新型の失速対策プログラムに変更しましたから、もう大丈夫というわけです。

 

落ちてしまったのだから仕方がない。こんなに重要なことでもランニングチェンジで許されるのだろうか。運用しながら不具合が分かったら直せばいい、というのが航空機産業の常識というのだろうか。737MAXはすでに多くの機体が納入されていて、ボーイング社としては、対応策の発表で運行停止や生産停止や、機体の引き渡しの停止状態から抜け出したいということでしょう。机の上のラップトップコンピュータのソフトの不具合なら、フリーズくらいで済んで、修正ソフトのインストールで解消できるけど、航空機の操縦ソフトの不具合じゃ結果は墜落だから、もっとチェックを徹底して慎重に作ってほしいよね。

 

パソコンの普及とともに、基本ソフトの細部が未完成の状態で発売されて、不具合が見つかると修正ソフトがユーザーに提供されて、ランニングチェンジが当たり前という風潮が当たり前になった気がします。車もとりあえず作っておいて、不具合が発生したらリコールを発表して、エンジン停止、エアバッグ爆発、ブレーキの不具合など、乗員の命に関わることなのに、回収したり、交換して無かったことにすれば、文句ないでしょ、くらいの感覚になっていないだろうか。航空機の開発も、飛び始めたら命を乗せているんだからとういう緊張感をもっと高めるべきで。不具合が出たら対処するということが、普通に行われています。事故の発生確率の低さの問題じゃないと思うけどな〜。ではでは。