クマさんのバイク専科

ボーイング787の8・9・10バージョン

機首に左右2個組み込まれた、自動操縦の失速防止のセンサーと、失速防止のために空気抵抗を減らして、自動的に機首下げを優先するプログラムによる、2機の墜落事故を起こした737MAXの運行停止が、プログラムや緊急マニュアルが改修されて、パイロットのトレーニングも行って、運用が再開されようとしています。フライバイワイヤー操縦システム採用。カーボンファイバーボディと翼、1気圧に近い室内与圧や高性能の空気清浄システムの採用で、乗り心地が良く快適と評判の高い777も、初期の連続したリチウム電池の発煙騒ぎも改修されて、安定した運用期に入っています。

 

最新鋭のボーイングの787は、超好燃費の足の長い国際線向きと言われる機体です。中が広いワイドボディの双発エンジンの中型旅客機です。空力特性やジェットエンジンそのものも燃費に優れ、時速850kmの高い巡航速度と、1万7000kmの長い航続距離があって、各大陸間をノンストップで飛べることから、国際線向きの機体とされています。乗客数の増減に対応したバージョンや、大型コンテナの複数搭載などが可能なボディで、欧州のエアバス300や350が強力なライバルです。

 

ジェットエンジンも機体の空力特性においても低燃費を実現しています。経済性も徹底追求されているし、座席を埋める営業面でも無理がない200席クラスの787・8があり、230席クラスのボディ延長バージョンの9、そしてさらにボディ延長タイプの260席クラスの10へとバージョンアップして、日本のキャリヤにも採用されています。787の国内便仕様も用意されて導入されています。

 

777と同じく、エンジン周りの金属以外はほとんどが複合素材で作られている機体で、787は100%が東レの高弾性で破断特性も高いカーボン繊維が採用されて、1機あたり30トンものカーボン繊維で、翼とボディが日本の愛知県の企業で製造されています。ある経済系の新聞記者が、日本の航空機関連企業の技術力が低く、製造に関与が少ないとか書いていましたけど、それは機体製造の参入に失敗して日本企業の参入が限定的だった737の段階の話で、さらに大きな間違いは、日本企業の航空機製造や素材製造の技術は世界最高峰です。787シリーズにおいての記事は全くの勘違いのフェイクニュースです。

 

787に関与している日本企業は、機体の主な部分の製造を担当しています。三菱重工、スバル、川崎重工などが、ボディや翼の製造やパートの接着の担当会社で、愛知県のセントレア空港から、専用のジャンボジェットでアメリカのボーイング社の組み立て工場へ翼やボディが運ばれています。ボーイング社では787を月産50機から40機くらいのペースで製造しています。受注残が2年分とか、世界のキャリヤから4000機を超える受注数に、旅客機の量産体制とはそういう経済規模で進行しています。広大な製造工場と4000mクラスの滑走路があり、多くのエンジニアが計画的に配置されて働き、製造のタイミングに合わせて大量の物資が流通することになります。

 

しかも、ほとんどの組み込み作業は、熟練のエンジニアが、離着陸のギヤ系統、角度や速度センサーの設置、フライトコンピュータの作動確認、777から全面導入されているフライバイワイヤーによる操縦系統の組み込みはもちろんのこと、コマンドの発信とフラップ作動の点検、機密性の点検、エアコンや空気清浄装置の設置、燃料の供給系統、ジェットエンジンの組み込みなど、気が遠くなるような分厚い確認書に沿って、時間と神経を使って組み込みと作動の確認作業が行われます。

 

内装は、納入先のキャリヤの仕様書に従って、組み込まれます。食事や飲み物を提供するギャレーや、ウオシュレット付きトイレ、内装、座席、テレビや音響や、ワイハイや電話、収納、エンジニアが高度な知識と技量で組み込んで行くことになります。ボーイング社が信頼を寄せるのが、日本企業の翼の精度や強度や納期の厳格さです、重量などの均一性などのクオリティの高さは、世界の航空機製造メーカーに定評があるところです。エックス線で確認しても、余分な接着剤のはみ出しが少なく、接着ミスがないなど欧州や中国やブラジルのメーカーの製品と比較して、驚異的な品質だそうです。

 

日本製造の翼やボディのカーボン製の機体は、内装を立て込む台座の埋め込み位置や、ナットやシャフトの埋め込み位置など、巨大な翼やボディを、巨大なオートクレーブで焼き上げたあとでも、設計図とネジやナットの位置の誤差が1mm以下で、ほとんど位置合わせの修正作業の必要がないと高評価です。787には、ジェットタービンエンジンはイギリスのロールス・ロイスと、アメリカのジェネラルダイナミックスの高性能モデルから選べて、機体とエンジンを接続するインターフェイスが共通化されていて、運用中にエンジンの燃費がバージョンアップした場合など、載せ換えることも可能という。いずれのエンジンも三菱重工やIHIや川崎重工などの日本のメーカーも参加した、国際共同開発したものなので、究極の性能が追求されています。

 

ロールス・ロイスのジェットエンジンはチタン合金製のタービンの欠陥や取り入れ口のコンプレッションシステムの不具合が発覚して交換されたり改修されています。787の操縦システムは、フラップを動かすのに油圧システムに変わって、フライバイワイヤーになっています。コマンドの信号をデジタルや暗号化して無線で送り、モーターで動かす電動式に切り替わっている操舵システムで、搭載される充電池は、小型軽量化され、高出力と安定化電源の性能が求められ、最新鋭機ほど、電池性能はより重視されるようになっています。パナソニック、ユアサ、デンソーなどの最新のリチウム系電池が注目されています。

 

エンジン始動システムや、機内環境を整える電源となるジェネレーターシステムと組み合わされていた充電池の不具合が発覚して、世界的な運用停止期間があったが、ユアサバッテリーのリチウム電池への切り替えなどがあって、運用が再開されています。カーボン製の機体は、1万mまで上昇する機体への圧力調整による金属疲労の配慮もほとんど必要なくなり、湿度による金属腐食の配慮も軽減されて、より快適な機内圧力の調整も可能になり、体への負担を軽減しています。湿度の調整も快適さが増して、エアフィルターによる除菌や粉塵の回収もバージョンアップして、乗員や乗客の健康面にも寄与しています。

 

旅客機は空気抵抗の少ない1万m上空を巡航しています。ほとんど空気がない気圧の低いところを飛んでいます。中には乗客が乗っているわけですから、ほぼ1気圧に保たれています。すると機体には内側から外へ膨らむ方向へ圧力がかかります。飛行機は飛び上がって降りるたびに、こういう圧力の変化が機体にかかっています。1万mでは紫外線や赤外線の太陽光だけでなく、宇宙線も降り注ぎます、機体の太陽の当たっている側が50度近く、影側がマイナス50度になります。機内温度はエアコンが働き、23度から26度に保たれて、与圧がかけられてほぼ1気圧が保たれています。カーボン製の機体の場合は、金属腐食を配慮して室内を乾燥させた空気で満たす必要がないので、湿度もベタベタしないように40%から60%前後にコントロールされて、喉が乾きにくい人工環境でフライトしているわけです。

 

国内便の離発着が多い機体ほど、0mから1万mの圧力変化の繰り返しになり機体へのダメージとなります。ジュラルミンボディの飛行機の機体の出入り口部分をよく見てください。ドアの収まる四角い部分の角をみてください。窓なども応力集中が起こりやすい部分です。亀裂が入ってアルミの補強板がリベットと接着止めされていませんか。それが金属疲労の広がりを防止する修理の痕跡で、機体の気密性低下や警報信号点灯の原因になります。ハワイアンエアーが昔、飛行中に機体の一部が吹き飛んだ事故は、ドアや窓の金属疲労によるクラックが原因でした。

 

アルミ合金製の機体はそういうことを配慮して、機内の圧力を調整しているので、低圧室で暮らすようなもので、体調がおかしくなる人が発生する可能性があるのです。カーボンボディの機体なら強度が高いので、より1気圧に近い気圧に調整できるので、快適なフライトが可能になるのです。そして、フルカーボン機体の飛行機は、エンジンの振動や乱気流による機体が叩かれているような振動も、しなやかなカーボン素材の翼やボディの振動減衰性により軽減されるので、静粛性も独特で、乗客が快適なのだそうです。777からのフルカーボン仕様の機体のこの噂は本当なのかな〜。ではでは。