クマさんのバイク専科

楕円球のパスの投げ方!

楕円級に触れたことありますか、高校ラグビーだと本革を縫い上げたセプターだったかな。まだヘソがなくて、毎日ニードルで革紐を縫い上げたのを解いて、チューブに空気を入れて、チューブの先端を折りたたんでゴム輪で止めて、中に収めて、革ひもで縫い上げる構造でした。空気を入れたままにしておくと、デブの楕円級に変形してしまうので、毎日空気を抜くのが一年生の重要な仕事でした。もちろん昼休みには午後の練習に備えて空気を入れていました。

 

革紐で縫い上げた楕円級は、スクリューボールを投げると、縫い上げた部分が重くて、重心がずれていてワウフラッタが起こっていました。一部が硬いのでミスキックの原因にもなるので、ボールをパスされて、ディフェンスが迫ってくるのに、キックの準備をしながら縫い目を上に向けて蹴ったり、縫い目を中心にして右を蹴るか左を蹴るかは気にして蹴っていました。試合は2チームが1個ずつ試合球を用意して、使用球が決められます。最近の試合はスピードアップのために複数球で運用されます。握りやすい硬さ、蹴りやすい硬さに空気圧を調整して、持っていくわけです。

 

空気を出し入れできるヘソ付きボールになって、ボールの準備は楽になりました。蹴る時もあまり気にしなくなりましたが、プレースキッカーはいまだに向きを気にしてボールの向きをセットしています。ボールを握って投げるので、滑りやすさは気になります。ノンスリップ加工された人口皮革のモルテンのボールもありましたね。軽くて飛ぶなー、投げやすいなーというのが公式球のギルバートでした。イギリス遠征した早稲田が持って帰って来て流行りました。公式試合球にも多く使われました。

 

まだカンタベリーがローカルブランドで、グローバル化していない時代に、ニュージーランドで手に入れたカンタベリーマーク入りも良かったです。そして、動画では存在を知っていた真っ白いアディダスの公式級、ついにフランスで手に入れたアディダスの真っ白なラグビーボールは、グランドで使ってみて驚きました。軽くて蹴るとインパクトが心地よくて、本当によく飛んで、投げやすくコントロールしやすかった。

 

どっしりと重いセプターの公認球とはまるで違うボールでした。硬式野球の公認ボールも基準があるのに、よく飛ぶボールとか飛ばなくなったとか話題になりますが、ラグビーボールの重さ、飛び、滑りにくさの差は大きすぎます。ラグビーのプレーそのものを変化させてしまうほどの性能差です。どうせプレーするなら、ギルバートかアディダスでプレーしたいよな。滑りやすいボールはノックオンの原因になるし、素早いパス回しが不可能になります。ラガーマンも公式球のボールの特性はとっても気にしています。

 

ラグビーの基本ルールにボールを前に向かって投げないこと。常にボールを持ったプレイヤーより後ろのプレイヤーに楕円球を渡して、受け取った選手が前に走らないと、ゴールラインに近づけないという不思議なスポーツです。ルーツは手を使うことを制限したフットボール、いわゆるサッカーでした。ゴールラインにある白い2本のポールは、サッカーの四角いゴールと同じく、城門や街の入り口の門に相当します。サッカーはその四角い中にボールが完全に入ったら1点となります。

 

ラグビーの場合は、ゴールラインを超えてエリア内にボールをホールドしてつければトライで5点、ボールを付けた地点の延長線上にボールを置いて蹴る、コンバージョンキックが成功すれば2点追加になります。2本のポールを結ぶポールの上をキックしたボールが通過すると、コンバージョンが2点、ペナルティとドロップゴールが3点となります。15人制ラグビーはディフェンスの戦術が進化して、トライが難しくなって、ペナルティをもらうと、遠くからでもペナルティーキックで点を取り合う試合になり、観客からつまらなくなったという批判に応えて、協会はトライの価値を高めて5点にルール変更して、コンバージョンキックが2点になり、マイボールスクラムを選択して、トライを取りに行く戦い方も重視されるようになりました。ワールドカップでは勝利に4点、4トライ以上に1点のボーナスポイントも加わります。

 

ラグビーの大元のフットボールのルーツは、中世の支配階級の貴族の遊びで、体を鍛える効果もあったという屋外ゲームでした。人間より大きいボールを領内の野山や畑を、押し合いへし合いして、相手の城門へ巨大なボールを押し込むと勝ちというゲームだったそうです。

農民は苦労して耕して苗を植えた畑を、大勢のフットボールの参加者の足で踏みにじられて、大迷惑だったため、フットボールの開催に反感を抱いていましたけど、領主などの支配階級の貴族がやることなので、あからさまには逆らえませんでした。

 

でも、賢い貴族もいたのでしょう。開催場所を限定して開催したり、95mと70mくらいの平らな芝のグラウンドに、ゴールラインを設定して、城門に見立てたポールや四角いゴールを立てた、フットボールグランドを決めたわけです。距離の表示はゴルフと同じヤードです。1ヤード95cmだったかな。フットボールは手を使わない足で蹴ったり、頭でヘディングするルールのグループと、手を使ったりキックを使えるグループに分かれて、サッカーとラグビーに発展して、グレートブリテン各国や、英国が支配した連邦圏でフットボールとして発展したわけです。後にフットボール協会(サッカー協会)と、ラグビーフットボール協会が設立されます。

 

ラグビーの発症の伝説として、ラグビースクールのウイリス少年が、手を使うことを禁止しているフットボールの試合中に、ボールを手に持って走ったことがルーツとされていますから、サッカーの方が発祥は古いことになっています。ラグビーは、前に投げるとスローフォアードという軽い反則になって、相手ボールのスクラムになります。キックは前に蹴れるけど、相手にボールを渡す可能性が高いプレーです。ボールを高く蹴って味方が前に走る時間を稼ぎ、味方が蹴ったボールを追いかけてキャッチしたり、キャッチした相手をタックルして捕まえるのがハイパントです。

 

キックする選手の後ろにいるオンサイドプレーヤーが全力で走って、キッカーは適度な高さと距離にボールを蹴って、走った選手がボールを受ける、キックパスだけがボールを前に走った選手へ渡すことができる方法です。キックにはグラバーキックという地面にわざと転がして、転がった楕円級が地面とぶつかってポンと浮き上がるように蹴って、前に走った味方の懐に収まるという、手品のようなキックをできる選手もいます。キッカーは何百回と蹴って、弾み上がる場所を意図的にコントロールできるようになります。

 

キックの得意な選手はあらゆるキッックをトレーニングします。ペナルティーゴールやコンバージョンキックの地面に楕円球をホルダーを設置して置いて、ボールを立てて蹴るプレースキックだけでなく、パスを受けて蹴るキック、一旦地面に落として、ワンバウンドでゴールに向かって蹴るドロップゴールのキック、サイドラインを切って陣地を回復する蹴り出すキックもあります。もちろんボールを高く蹴り上げるハイパントもあります。

 

スクラムハーフ、スタンドオフ、フルバックなどの選手は、キックのトレーニングを徹底してする必要がありますが、そのほかのフォアードも、バックスも、試合の動きの中で、左右の足でコントロールの効いた戦略的なキックをできるようにしておかないと、近代ラグビーのプレイヤーとして通用しません。ボールを前へ落とせばノックオンという軽い反則で相手スクラムになります。唯一前にボールを落としていいのは、キックに対するチャージで、キックを防ぐためにキッカーの前へ体を投げ出して飛び出して、ボールを体や手に当てて前に転がった場合のみです。勇気に対するご褒美ということのようです。

 

あの豚の膀胱に模した不思議な形のラグビーボールを触ったこともないのに、ラグビー部に入りました。もちろんパスのやり方も知らないので、先輩から一から教えてもらいました。最初は正面パスから始まりました。体の動きを見て真似しましたけど、先輩のようにボールが真っ直ぐなまま相手の胸元へ飛んで行きません。楕円球を握って、親指で押さえて、残りの4本の指で投げながらボールを押し出すスナップでボールの傾きや動きをコントロールします。正面を向いて、相手の胸元でボールが縦のまま飛んで行き、腕を伸ばせば簡単につかめるように投げます。体を反らせて、しなりも利用して腕の動きに勢いを付けて投げるのです。

 

相手との距離を5m、10mと広げて行くと、正面パスでは届かなくなります。腕を右か左にずらして、腕の振り幅を大きくして勢いを増して投げます。このパスの動作が横パスの基本になります。10mと遠くなってもボールが縦になって、安定して胸元へ届くようになるまで練習します。体を横に向けて、より実践的な横パスに取り組みます。腕を横に振って、相手の胸元にボールが縦のまま届いて、相手が握りやすいように投げます。受け取ったらすぐに握り直して、スナップでボールコントロールして投げ返します。これを左右とも投げられるようにトレーニングします。

 

ここまでは動かないでやるので、何とかできるようになります。受け取ってからなるべく早く持ち替えて、投げ返します。早くてもボールが乱れないようになるまでトレーニングします。さらに早くパスするために、持ち替えをしないでパスできるように、キャッチの段階でそのまま投げ返せるように、ベストな位置を握るようにします。

左右利き腕があるのでパスの左右差は発生します。それでも、苦手な方のパスをトレーニングして、スイッチヒッターのように、普通に左右のパスができるようになるまで地道なトレーニングに取り組みます。投げるパスの他にも、手渡しパス。オーバーヘッドパス。アンダーパス。バックのスナップスローパス。スクリューパスがあります。

 

2人一組の投げ返す横パスから、左右が入れ替わって、左右のパスが均等にできるまでトレーニングします、次は3人一組の横パスで、右から左となるべく早くパスします。2人でハーフスピードで走りながら左右の横パスをして、3人一組でもハーフスピードで左右の横パスをします。スクラムハーフのパスの練習のためにも、ハーフからパスしてもらい、全力に近いスピードで3人が走りながら、素早く横パスします。もちろん左右のパスを何度も繰り返してトレーニングします。3人の距離を狭くしたり、広くしたり、縦方向の間隔も近くしたり、遠くして、試合に近い状況でトレーニングします。

 

3人の並びはスワーブしたり、ステップを切って内側に入ったり、外側へ膨らんでパスしたり受けたりの、より実践的なスクランブル状態のパスを体験します。さらに、アタック&ディフェンスで、パスを邪魔したり、タックルしてくるディフェンスと向かい合ってパスをできるようにトレーニングします。これが基本トレーニングで退屈ですが、試合中に無意識にできるようになるまでじっくり取り組みます。スナップスローもスクリューをかけたりもします。回転をかけてボールを安定させて遠くまで投げられます。回転しているので受ける側はスリップしやすい面もありますが。ボールを縦にキープしたまま投げられるので、けっこう使います。

 

飛ばしパスで、ウイングまでとか、20mとか30mと、本当に遠くへ投げる時はアメリカンフットボールのように、オーバースローでスナップを利かせて、ボールをスクリューのように回転させて投げることもあります。型にはまった横パスだけでは、15人の展開の早い近代ラグビーでは通用しません。キャッチにしても、トリッキーなパスにも対応できるように、手で受けて持ち直すことなくパスするだけでなく。ハイスピードでプレイしているので、体を硬くしてボールに当たると弾いてしまうので、キャッチの確実性を高めるために、ここぞという時こそ適度に脱力するテクニックを身に付ける必要があります。

 

ハーフとスタンドオフ、フォアードどうし、フランカーとバックスなど、全力で走りながらパススピードを高めたり、あらゆるパスのやり取りを、試合の状況を反映して合わせておく必要があります。時にはノールックパスや、スイッチパスなども、100%通るようにシミュレーションしておきます。遊び心のあるパスも試合では役に立ちます。トップスピードでプレイしたり、試合の後半で乳酸がたっぷり発生している状態で、思いやりのある早いパスをできるように頑張ります。キャッチもトップスピードでこそしなやかに対応しないと、ノックオンの原因になります。この合わせは、試合並みに集中力がないと意味がないトレーニングです。

 

もうノールックのバックのスクリューパスなんて投げられないよな。一緒にトレーニングしていると、相手に止められそうになっても、ここへボールを浮かせておけば、あいつがフォローで走っていてくれて、ノールックでもパスが繋がると、確信してボールを離して、なんであれでパスが通るんだというようなことが起こります。サイドアタックではフォローしてくれる味方とも密集、相手もディフェンスに集まってくるので密集です。こういう時はアタックした選手に、ぶつかるくらいすれすれに寄って行って、ボールをもらいに行きます。アタックした選手は相手ディフェンスにコンタクトしながら、ボールをもらいにきた選手が低い姿勢を保てるように、お腹付近に手渡しでパスします。

 

サイドアタックした時には、ぐにゃぐにゃ感のあるディフェンスとコンタクトして、腕がホールドのために伸びてきて掴まれます。体の芯をわずかにずらして体を回転させるようにピボットを切って振り切って前へ進むか、相手の芯を見つけて足をかいて、火事場の馬鹿力を発揮して前へ進みます。この状態でカッカすると、ついつい押せるだけ前へいきがちですが、クールになって、フォローの味方へボールを渡して、攻撃の起点となります。その間もコンタクトしている相手にプレッシャーをかけ続けたり、2人以上のジャージを掴んで、ブレークしにくくして、サイドアタックにしても、バックスのアタックにしても、数的有利を作るように心がけます。スポーツで重要なずる賢さです。ワールドカップ楽しんでください。ではでは。