クマさんのバイク専科

「自転車生活」これからが面白いんですよ!

転勤先の福岡から大型台風が接近する東京へ、「家族を守るためにやってきた」というマサローさんでした。忌野清志郎さんの「ツールド奥の細道」という、松永店長、スタッフのもりみちこさん、僕も出た番組を作ったディレクターさん(当時)です。この番組のをきっかけにデローザに乗り始めました。210kmを完走できる体力があって、欲しい機材があって、最高のものを手に入れているし、最高の機材を体格や体力や走り方に合わせてポジションを最適化できているし、転勤先の福岡のライドコースもいい感じだし。後は、適当に刺激しあえる走り仲間も見つかりそうだし。「自転車生活」を継続できそうです。

 

しかし、この台風騒ぎの中、3時から雨が降りそうな怪しい天気予報なのに、つくばへ来て走る情熱というか、遊び心はすごいな〜とリスペクトするしかないです。自転車生活って魅力的だけど、いい機材を持つ喜び、快適に長く走れるポジションを認識して追い求めること、快適なコースを見つけて走る爽快感。全てを実現するのは簡単じゃないけど、ちょっと敷居が高く感じて難しいからこそ、趣味として取り組んでみると奥が深くて、なるほどという、いくつもの気づきがあって面白い要素だらけです。

 

速く走る楽しさと、日常とは少し違ったヒルクライムなどのチャレンジングな走りで得られる達成感。そして。ストレスがない仲間とのゆとりを持って走る楽しさを知った時の豊かさと心地よさ。不思議な自分と向き合う時間を作れて、体力や健康のありがたさをじわじわと実感します。忌野清志郎さんのライドに付き合って、メカニックやマッサージをしていて、50歳になって、自分の息子を助けに行ける体力をキープしたいと始めた「自転車生活」について、温泉に浸かりながらとか、食事をしながら、車で移動しながら、よく話しました。

 

体格や体力、自分にぴったりのフレームの剛性や、快適に長く走れるポジションのバイクを手に入れることは重要だし、自分にとってどんな走り方が合っているかを見つけることがまた楽しいと言っていました。好奇心の塊だから、筑波大の運動生理学のラボで、エアロバイクやランニングトレッドミルで、呼気分析用のマスクを付けてVO2MAX(最大酸素摂取量)を測定して、心肺機能を高めるLSDレベルの走りの重要性を知って取り組んでいました。とにかくロードバイクで長く走ることが好きでしたね。

 

ステージで歌っている時も胸に心拍センサーのバンドを付けて、腕時計型のハートレートモニターを付けて心拍数を測定して、「おっ!、ちょうどLSDレベルだ」と喜んでいました。ツアーになると、ホテルから2時間ぐらいバイクで走ってライブの会場入りして、2時間セットリスト通りにリハーサルで歌って、2時間のステージ本番をこなしているわけ、風を受けないでローラー台でLSDトレーニングしているのと同じだから、汗だらけになります。

 

リハーサルから本番のステージでの水分補給は、水やBCAAウオーター入りのバイクボトル4本から5本になり、喉への影響を配慮してわずかに冷たく感じるように温度調整して手渡していました。1日に6時間のLSDトレーニングをしていることになります。消費キロカロリーは基礎代謝も含めると4400キロカロリーでした。これだけのカロリーやミネラルやビタミンなどを食事で摂取するのは大変ですから、明治乳業のザバスのラボの管理栄養士さんにサポートをお願いしていました。

 

マネージャーとかミュージシャンとか、大勢の人に囲まれての音楽生活の中でサバイバルして来た清志郎さんですが、スポーツバイクでのライドは、新しいことが次々に現れて、好奇心の塊のような清志郎さんを刺激して面白がらせていたようです。そして、ライドになれば自分で決めて行動できる。何ができるのか、どこまで走れるのか、そういう自分と等身大で向き合える貴重な時間だと言っていましたね。

 

僕は、もちろん、清志郎さんみたいに、そんな深いことを考えてスポーツバイクに取り組んだわけでもないし、ロードバイクやピストバイクで走り込んで、競争する中で速く強くなりたいと思って、トレーニングの本を読んだり、大宮や花月園や西武園や松戸のバンクを走らせてもらったり、森幸春さんや山崎敏正さんなどのトップ選手にトレーニングのやり方や、ピストバイクのギヤ比やホイールなど、機材選びを教えてもらって、自転車雑誌の記者時代に高校時代の自己記録を破ろうと、夢中でトレーニングしました。メカニズムや、自分のバイクの分解や組み立てや、変速やブレーキやホイールの調整が面白くなってハマってしまいました。

 

デローザ、コルナゴ、アマンダ、アンタレス、ズノウ、プロトン、ナガサワ、サムソン、ヴォーグ、ズーロ、ペゼンティ、チネリ、ロッシン、片倉シルク、ナカガワ、タイム、アンカー、ロードもピストも何台か自転車を乗り換えて、あまりの乗り味の違いの振り幅の大きさに驚きました。これは何が違っていることが原因なのかに興味が湧きました。フレームチューブの違い、フレーム素材の違い、フレームやフロントフォークの違い、スケルトンによる違い。ホイールの違いなど、自転車業界で曖昧だった部分を、専門家に教えてもらったり、バイクをオーダーして検証しました。

 

マサローさんは体力もあるし、デローザ、プロジェクトM、タイムというメインストリームを乗り継いでいい経験をしていると思います。ボーラ50mm、ボーラ35mm、ジョバンニの木リム、チューブラータイヤ仕様を採用していて、ホイールの軽さと剛性バランス、グリップ力、ショック吸収性などの重要性も感じていると思います。それを選んで来ている感性の鋭さはさすがです。好奇心やこだわりは清志郎さん以上にありそうだし。ネットワークも持っているし。「自転車生活」楽しんでください。宿は確保してあるので、佐渡ロングライドを来年も一緒に楽しみたいです。今回のチャレンジングなライド楽しかったですね。ではでは。