クマさんのバイク専科

やっぱりシャロータイプがいいですね!

ドロップバーは基本的に、上の直線部分、肩の部分、ブラケット、ドロップバーの下の4点をグリップできて、グリップ位置の高さや遠さで姿勢を変えて走り、ストレスを分散したり、体重や上半身の筋力を利用してペダリングできるマルチグリップポジションのハンドルバーです。ライダーとバイクが接触する重要なポイントで、ハンドリングやブレーキングにも関わります。主な4点以外にもグリップ位置はあって、ブラケットの先端、ブラケットの上と肩と位置の間、肩の位置、上の直線部分も広く持ったり、ステムのクランプ近くの狭い位置を持って走ることもあります。

 

ドロップバーのドロップ部分や肩の形状や、左右の幅やバーの断面形状、バーの取り付け角度やグリップ位置の高さや遠さは、走りを大きく変える可能性があります。ミクロ的に見れば肩の部分やドロップ部分の下のグリップ位置の握りやすさ、ブラケットの上の面と肩の部分やドロップ部分が作るスロープも握りやすくて、痛くならない取り付け位置の調整が必要で、快適に長く走るには重要です。手のひらや指の股が痛くなっているライダーは、設定を見直す必要があります。

 

色々な形状があるドロップバーは、ロードバイクのインターフェースとして、かなり重要なパーツの1つです。使った経験があるドロップハンドルは、ニットーの105、チネリのジロ・デ・イタリア、チャンピオンドモンド、シマノのAX、スコット、タイム、デダエレメント、スペシャライズド、フィジーク、ITMのカーボンアナトミックなど、今のハンドルにするまでに、30本くらいのアルミ合金製やカーボン製のハンドルを使ってきています。

 

ここ数年は、イーストンのEC90エキッププロのシャロー、後継モデルのEC90SLXシャローと使ってきて、最近はイーストンのカーボンドロップバーの形状が大きく変化して、愛用していたSLXのショートリーチ&ノーマルドロップのシャローデザインが大きく変わってしまいました。最高峰モデルのEC100は流行のショートリーチ&ショートドロップの、アナトミックへデザインチェンジになりました。ロードバイクに使っている、EC90SLXはショートリーチのノーマルドロップのシャローですが、アナトミックタイプもありましたが廃版となりました。

 

ドロップバーは、ドロップ部分のアールが1つか2つで構成されたシャロー、ドロップ部分の形状の一部が握りやすいようにストレートのアナトミックデザイン、断面にティアドロップ形状などが採用されたエアロバー、最近流行のショートリーチ&ショートドロップ、ショートリーチ&ノーマルドロップ、その2モデルにもドロップ部分はアナトミックとシャローデザインがあります。エアロデザインのバーは迫力がありますが。断面が大きくなったところが握り難く、グリップ位置を制約されると感じる可能性があります。ロードレースやヒルクライムで、4つのポジションをフルに使いたいライダーには向いていませんし、涙滴断面や翼断面の整流効果も疑問です。

 

とにかく各ブランドのドロップバーの形状には色々あります。形状だけでなく幅もドロップ部分のエンドのセンターセンターの計測で、360mmから440mmくらいまで、10mmから20mm刻みで用意されています。もともとドロップバーは平地、上り下りと変化するフィールドで、人間のパワーを引き出し、快適に走るためのアナトミックデザインを追求した形状です。ドロップバーのルーツみたいなもので現在のドロップバーの形につながっています。アナトミック形状がぴったりマッチするライダーもいますが、握る位置をドロップバーの形状が制約してくる面もあります。シャローデザインの握る位置は、ここという制約がなく自由な感じがあります。

 

自分はアナトミック派かシャロー派か、どっちなのかを見極める必要があります。チネリのネオモルフェはアナトミックデザインの代表的な、こことここを握ると快適で力が伝えられますよという形状が採用されて、マッチするライダーはこれじゃなくてはダメという人もいます。だけど、評判を聞いて採用しても、握る位置をここですよとはっきり制約されるデザインなので、ストレスが発生するという人もいます。その日の調子でグリップ位置を10mmとか20mm移動させたい派なので、アナトミック形状が苦手でシャロー派です。

 

コースの勾配や風の強さで、グリップ位置を移動してフォームを変えて走りたい、というライダーの要望で生まれたのがドロップハンドルです。最初のドロップバーの素材はスチールパイプで、当時の技術ではベンディング加工が難しく、左右、深く大きなアールで均等に曲げることが難しかったので、大きなアールの現在の競輪ハンドルのような形状でした。素材はアルミ合金や、高強度のジュラルミンの熱処理パイプになり、ベンディング加工も進化してパイプの円い断面がつぶれることなく成型できて、軽量化されています。

 

アルミパイプの素材も熱処理ジュラルミンや、6000番台のアルミパイプが採用されて、内側から圧力をかける、ハイドロフォーミング加工による断面形状の自由度も加わり、太さの調整だけでなく、涙滴断面とかオーバルなどのエアロ形状も可能になりました。重量も200g台になっています。ドロップバーもカーボン素材が採用されるようになって、成型技術もフレームと同じように、複雑な形状を整形できるように、どんどん進化して、大きいアールから小さなアールまで可能になり、真円からティアドロップ形状など断面形状も変化させることができて、アールの小さいショートリーチやショートドロップバーも可能になっています。

 

カーボン素材の振動減衰性によるショック吸収でライダーへのストレスの軽減と、200g台の軽さでパワーを逃さない剛性や強度を実現しています。個人的な意見ですが、カーボンハンドルになって整形の自由度が高まって、色々なハンドル形状の製品が出て、握りの位置の制約が少ない、シャローハンドルの良さがはっきりしてきました。最初にこれはいいな〜と感じたカーボンドロップバーが、イーストンのEC90エキッププロのシャローデザインでした。アルミパイプのベンディング加工ではできない、肩の部分の小さなアールはすごいと思いました。ブレーキレバーのブラケットとのスロープを作って、手の平を安定させられます。でも、まだドロップ部分の前への突き出しのリーチは長めでした。しばらくはこの400mm幅の26mm径クランプのモデルを使いました。

 

このモデルのマイナーチェンジが、EC90のSLXでした。この段階で26mm径クランプは消滅して、オーバーサイズの31、8mm径のみとなり、10mm以上ショートリーチ化されましたが、ドロップは大きいままのノーマルドロップで、上半身の角度を大きく変化させることができます。シャロー形状とアナトミック形状の2ラインナップは継続されました。シャロー形状を選んでいる理由は、カンパニョーロのエルゴパワーシフターの、ブラケットと作るスロープが絶妙で、握った手が安定すること、ドロップバーの下を握った時にブレーキレバーに指先がかかりコントロールしやすいこと。ドロップバーの下の握りの位置を移動しても、大きなアールのどこでもフィットすることなどが選んでいる理由です。

 

SLXは現在ではイーストンのカタログから落ちているので、シャロータイプを探してみると、3T、リッチー、デダエレメント、チネリなどにありましたが、スペシャライズドのカーボンドロップバーにシャローデザインがあり、形状がイーストンのシャローにそっくりなのでそれを使うようにしています。ドロップバーの幅選びは、ブラケットかドロップ部分の下を握った時に、正面から見て腕が平行になる幅を基準にします。平地の回転重視の高速巡航するペダリングにマッチします。上り坂などの低めのケイデンスの重いトルク重視のペダリングには10mmから20mmプラスを選択するとマッチします。

 

ハンドル幅の表示は、ドロップバーのエンドのセンターセンター計測、外幅の計測などがありますし、表示寸法と実寸が異なる場合もあります。平地を高回転で走っていて、なんか腕の引きと脚の踏み込みのピッチが合わないな〜と感じたら、ハンドルの幅がマッチしていないこともあります。上り坂でバイクを左右に振って、脚の踏み込むパワーを引き出すペダリングにマッチしないな〜という場合も、ハンドル幅が原因のことがあります。僕自身は400mm幅で腕が平行になり。高回転のペダリングに腕を引くタイミングがマッチするので、400mm幅を採用しています。ではでは。