クマさんのバイク専科

何が不具合なのかわからない!

初めてのスポーツバイクで「自転車生活」を始めたけど、お尻が痛いとか、手がしびれたり痛くなったり、肩や首筋が凝ったり痛くなるほど硬直したり、長く走るとひざ関節が痛くなったり。何が良いことで、どうなると不具合なのか、原因も具体的な対処法もよくわか、サドルを交換したらどうですからないまま走っていないだろうか。お尻が痛いのは相談しにくいけど、自転車生活を続けるには切実な問題で、サドルは最も原因として疑わしいけど、「サドルを交換してみたらどうですか」という答えを返してくるショップはありがちだけけど、果たしてそれでいいのだろうか。

 

お尻の痛みの解消問題には、パーツの交換、ウエア選び、ポジションの最適化など、もっと守備範囲を広げて対処しないと、根本的な解決はできないと考えています。お尻の痛みの発生の場所や原因を把握して、お尻の痛みの原因を解消する機能を持ったサドルへの交換も確かに重要です。そのサドルの位置の設定も重要です。脚を踏み込みやすい腰の位置をぴったりサポートする、サドルの前後位置を実現するシートセットバックできる、WRのRSRなどのシートポストへの交換が効果的なことがあります。

 

サドルの前後位置や高さや取り付け角度などの、ポジションの最適化もお尻の痛さに関係します。サドルの高さ、サドルの上の面の取り付け角度による圧力のかかる場所の調整や、腰の位置に関係する前後位置の調整。アソスやでマルキやカステリなど、快適なパッド付きのバイクパンツを組み合わせたり。パッドに塗る摩擦を減らすアソスのシャーミークリームの使用なども、お尻の痛さを解消するポイントです。お尻の痛さを相談したら、パーツ交換だけでなく複数の解消策を提案してくれるのがいいショップです。

 

男性ライダーも結構恥ずかしがり屋が多いので、自転車生活を始めた頃に、お尻の痛さを走り仲間に相談したら、例によって「走り込んで慣れたら大丈夫」と言われ、黙って痛さに耐えて走っていたけど、いつになったら痛くならないようになるの?、と思いつつ、数年間我慢して走っていたというライダーの話を聞いたことがあります。走行距離が50km、100kmになると耐え難い痛さになることもあったそうで、いくつかサドルを換えても解消できなかったそうです。

 

女性ライダーの場合は、「お尻が痛くなる」という表現はしてくれますが、痛くなるのが坐骨の内側なのか、性器なのか、内股なのか。デリケートゾーンなので、男性スタッフには相談しにくい面があります。生理が近づいて体が保水してむくみがちになっても、痛みが発生しやすくなります。生理になると走るのを止めるライダーもいますが、走るライダーもいます。そういう場合はどうすればいいのかは、女性ライダーに聞いたり、女性スタッフに相談してください。

 

女性トライアスリートのオリンピック選手の強化活動をしている時の切実な問題として取り組んでいました。お尻の痛みや生理の問題は、体の構造上、男性ライダー以上に切実な問題で、性器が直接バイクパンツのパッドや、サドルの上の面の圧迫の影響を受けるので、痛みの発生する可能性が高いのです。とにかく性器への摩擦や接触や圧迫を避けることが、お尻の痛さの解消に繋がります。サドルは溝付きや穴あきの構造が性器への圧迫を低下させるのに効果的で、バイクパンツのパッドは男性用と女性用がありますが、パッドの内部に穴あきサドルのようなデザインのパッドを採用しているモデルが、性器への圧迫や接触を低下させるのに効果的です。

 

アソスの男性用のパッドは2層構造で、皮膚と接触する面は摩擦が少ない生地と薄いパッドが入った1層目の下に、尿道への圧迫を低下させるために、穴あきサドルのような形状の存在感のあるパッドが内蔵されていて、実は女性ライダーにも最適な構造です。メーカーでは男性用として販売しているので、手を出しにくいですが、ぜひ試着して採用してみてください。本当に効果的ですよ。

 

LSDトレーニングに取り組んでいた女性トライアスリートがアソスのパッドを見て快適うそうだと気がついて、バイクでの走り込みにはアソスの男性用バイクパンツとシャーミークリームを採用する例が増えています。シャーミークリームにはハーブの刺激がある男性用と、刺激がない女性用が販売されています。シャーミークリームは親指1本分くらいの量を、パッド全体に塗り広げます。バイクパンツやタイツをはくときに、ちょっとべちゃっとする肌触りが嫌ですが、快適なアソスのパッドがより快適にペダリングできるようになります。シャーミークリームはパッドの生地との摩擦を減らすだけでなく、クリームがついたまま洗濯すると、パッドの柔軟性を保つ効果があります。

 

自分のバイクや走りに、なんか違うのではと感じられるライダーはそれほど多くはない。何せ何がよくて、何が悪いのだか知らないのだから仕方がないことなのだ。だけど、もっと良くなるのでは、快適になるのではとか、もっとパワーを効率よく伝えられるのではと、思い続けることが重要です。お尻が痛くなるとか、手が痛くなるなど、不具合があって、「ウン」とうなずいたひとは、不具合の原因がなんなのかを探り当てて、その不具合を解消する方法をアドバイスしてもらい、快適ならライドを実現するために、ショップのスタッフに相談した方がいいと思います。

 

よく聞くのは「慣れれば大丈夫」という言葉だが、スポーツバイクだから、細いタイヤの硬い乗り味など慣れない部分もあるし、心肺機能や筋力やペダリングスキルの向上など、走り込んで体力の向上などで解決する部分もあるので、確かにそういう面もあります。だけど、快適な走りを実現するポイントや方法がたくさんあります。クリートの前後位置の調整は足の筋肉にかかる負担の位置を変えることができて、脚つりの防止や踏み込む足の安定感を増して、効率よくライダーのパワーを伝えることができるようになります。

 

足の内外の設定はクランクの回しやすさに関係します。足の自然な踏み込む向きに合わせたクリートの取り付け角度を調整します。いわゆるクリートの固定角度の調整が、ひざ関節の痛みを解消できることもあります。サンデーライドミーティングやマジカルミステリーツアーで、時々やっている、その場で足踏みやクリート位置の調整は、スポーツバイクとライダーとのパワーを伝えるインターフェースの最適化です。ペダリングで踏み込む脚のひねりの動作がひざ関節、靭帯、筋肉へのストレスにならないように、クリートの向きで調整します。

 

クランクがストレスなく回りやすいように、踏み込む左右の足の幅、Qファクターをなるべく狭くするクリート位置に調整します。バイクシューズの内側が、クランクとギリギリ接触しない位置に設定します。左右の足の幅を狭く設定すると回しやすく、広く設定すると踏み込みやすくなります。走行中に最も長く握るブラケットのグリップ位置を高く設定すると、上半身を起こして、腹部への圧迫も少なくなり、肩や首へのストレスも少なく、体力が未開発のビギナーライダー向きのアップライトポジションになりますが、上半身の重さを利用したり、筋力によるクランクの踏み込みはしにくくなります。

 

ある程度走り込んで、心肺機能や筋力など体力も向上してきたら、上半身の重さや筋力を利用して踏み込むペダリングでパワーアップすることも考えて、ステムを下げてブラケットの位置を低く設定して、上半身を深く曲げるポジションへの移行も試してみましょう。10mm移動すると、下げた効果と疲れのバランスを体験しやすく、グリップ位置の変化の傾向を掴んでから、下げた方がいいのか、もう少し上げた方がいいのかを判断して、5mmの範囲でグリップ位置を微調整すると最適な位置へ調整できます。

 

サドルの高さも、前後位置も、取り付け角度も快適走りには重要です。サドルの上の面を水平にセットします。サドルの中心へ座って、右のクランクをシートチューブの延長線上に止めて、ペダルに足をセットして、右脚を真っ直ぐにして、カカトを下げて、足の甲が水平になるようにサドルの高さを調整します。ドロップバーの上の直線部分をグリップして、毎分80回転できるやや重めの負荷でしばらくペダリングして、自然に腰が移動する位置がパワーを発揮できる腰の位置です。その腰の位置を無理なくサポートする位置にサドルを前後へ移動します。

 

毎分80回転できる重めの負荷でペダリングしていると、お尻にかかるストレスがはっきりしてきます。痛みを発生させるのは尿道なのか、坐骨なのか、性器なのか、圧力を分散させて痛みを解消するために、サドルの取り付け角度も微調整します。もちろん、お尻の痛みを解消するには、サドルの高さや前後位置や取り付け角度などのセッティングだけでなく、ライダーのお尻にフィットする快適なサドル選び、アソスの快適なパッド付きのバイクパンツ選びなど、総合的に取り組む必要があります。「自転車生活」のホームドクターとしてショップと付き合ってください。ではでは。