クマさんのバイク専科

ドロップバーの取り付け角度とブラケット位置の調整

今ドロップバーの使いやすい取り付け角度の調整と、ブレーキレバーのブラケットの固定位置の調整の相談を受けることが多くなっています。長く走ると手のひらが痛くなったり、痺れたり、手首や肩周りや首の筋肉へストレスが集中してキンキンに張って、痛くなったり、集中力を保てなくなったりしているのでしょう。よく走り込んでいるから気になるドロップバーとブラケットの設定です。ハンドルバーを固定して、ドロップ部分の上とブラケットを固定してスロープを作って、バーテープを巻き上げてしまうと、これでいいかと思いがちです。

 

実際に平地、上り、下り坂などのフィールドを走ってみて、もっといい感じのグリップ位置の設定があるのではと思ったら、ドロップバーの固定角度の調整で、肩、ドロップバーの上の部分、ドロップバーの下の部分などの握りやすい位置と角度をサドルに座った状態で探して、ブラケットの上の面の取り付け角度を、腕が真っ直ぐの状態か、深く肘を曲げた状態のライド中に多用するポジションで、手が痛くならない設定を実現するために見直してみましょう。ブラケットとステムのクランプボルトを動かせる工具を持って走りながら、納得するまで調整しましょう。

 

上半身の曲がりや腕の伸びに関係するステムの上下位置の調整や、上半身の曲がりや腕の伸びに関係する、ステムの交換による突き出し寸法の調整になることもあります。真横から見て、ブラケットを握った時に上半身と腕の作る肩の角度が110度以上に開いている場合は要注意です。長く走ってみて、首、肩、腰の筋肉が硬直するようなストレスがかかっていたら、グリップ位置の遠さと低さを見直した方がいいでしょう。

 

短い時間だったらそのポジションを保って、パワーを引き出せるけど、腕が伸びきっている感じがあって、上半身の筋肉がストレスを感じていたら、ステムを短くすることを検討します。ステムは突き出しが長くてより低く設定すると、体重をかけて脚を踏み込めたり、上半身の筋力を使って、パワーを出せるので、それが正解のポジションだと信じて設定するライダーもいます。しかし、遠くて低い苦しいポジションで、パワーを引き出せても、疲労が首、肩、腰、腹部など部分的に蓄積してきて、集中力も保てなくなります。マックスの設定にしてしまいがちですが、そのポジションは長続きしません。

 

ロードレーサー、ロングライド、ブルベライダーには、最大のパワーを引き出せる低くて遠いグリップポジションの1歩から1歩半手前の、ゆとりを残した、ちょっと物足りないと感じるくらいの、寸止めポジションをオススメしています。確かに全力でもがいた時には、もっとパワーを発揮できるのに、と感じるぐらいのポジションの方が、100kmを越えて走るにはゆとりがあって最適なのです。サドルを上げ過ぎたり、グリップ位置を遠く、低く設定すると、可動域が大きくなって、関節や靭帯や筋肉に余計な負担がかかって、疲労や故障の原因になる可能性があります。

 

ハンドリングの安定感に関係する、ステムのライズ、突き出し部分の角度を前上がりから、73度ヘッドアングル対応の、取り付けた時に突き出し部分が水平になるステムへの交換を行うこともあります。73度対応ステムに交換すると、グリップ位置が低くなるので、ポジションを保つにはステムの固定位置を上に移動する必要があります。突き出し部分が前上がりのステムから、突き出し部分が水平になる73度ステムへ交換すると、ブレーキレバーのブラケットに手を乗せただけで、ハンドリングが安定してまっすぐ走れるようになります。ドロップバーの下をグリップした時のような安定効果を発揮します。

 

ハンドリングが軽すぎると感じたら、73度ステムに交換してみましょう。ロードバイクは、アヘッド小物になってから、突き出し部分が前上がりのステムが通常はセットされているので、そのハンドリングの軽さが当たり前になって、感じることができませんが、前上がりのステムでは軽いハンドリングになりますが、腕で支えてハンドリングして直進走行を保って走っています。ドロップバーは肩の部分、ドロップ部分の下の握りの部分の手のひらの収まりや安定感、長く走っても手首に無理のかからない角度に調整する必要があります。ブレーキレバーのブラケットは、メカニカルや電動で形状が違うので、バーの肩の部分やドロップ部分とブラケットの上の部分とが作るスロープの、手に当たる角度など、快適性を追求する必要があります。

 

ブラケットの上の面は1mm以下の移動で手の当たりがガラリと変化します。親指と人差し指の股が痛くなったり、ブラケットに当たる手のひらが痛くなったり、手のひらの小指寄りの神経の束が集中する部分が痺れたりすることがあります。ドロップ部分とブラケットの上の面が作るスロープも最適化が必要で、ブラケットを固定する位置や、グローブのパッドでも痛さを解消できることがあります。シマノ、スラム、カンパニョーロのブランドでも、メカニカルと電動でもブラケットの形状は違います。ブラケットの位置を上に移動させると、ドロップバーの下を握った時に、ブレーキレバーの先端に指がかかりにくくなることもあるので注意しましょう。ブラケットの上の面の快適な取り付け角度と、ブレーキレバーの操作しやすさのバランスが重要です。

 

腕を真っ直ぐにして上半身を支えて走るライダーは、ブラケットの上の面が水平に近い方がストレスになりません。腕をヒジ関節で曲げて、ブラケットを押したり引いてパワーを引き出したり、腰を固定して走るライダーは、ブラケットの上の面が前上がりになる設定がマッチする傾向があります。1mm以下の移動で手のひらや親指と人差し指の股の痛み、手首へのストレスが変化します。重要な調整ポイントです。ドロップバーの取り付け角度の変更と、ブラケットの位置の設定変更で、位置を大きく動かすと、バーテープの巻き直しが必要な場合もあります。ではでは。