クマさんのバイク専科

長く乗って分かることもあります!

ロードバイクの試乗会って、1人が30分も乗れればいいくらいです。一緒にライドしている仲間のバイクに乗せてもらうチャンスがあって10分とか20分が多いでしょう。メーカーや卸屋さんや輸入元は、短い時間で試乗バイクに好印象を持ってもらうために、変速やブレーキの調子を整えておくだけでなく、サドルの高さを合わせてなるべく乗りやすい状態にして、グリップ位置の調整は時間の関係でほとんどしませんね。バイクの試乗はフレームの特性を感じるのがメインの目的ですが、事実上はホイールを含めての試乗になります。走行感を大きく左右するホイールにも気を使います。

 

サイクルショーの試乗会や、ショップ単位のプライベート試乗会などを開催して、試乗に力を入れているブランドは、数百台の完成車やフレームを販売するために、試乗車を1台か2台下ろして投資すわけです。試乗車にはファーストインプレッションの大切さを知っているブランドは、剛性の高い軽量なホイールをセットします。何故なら、試乗するライダーのほとんどが、低速からの踏み出しの軽さを気にするからです。パワーロスの少ない剛性の高いホイールで、リム周辺重量が軽い決戦用のホイールをセットしているブランドのバイクは、軽い走りを本気でアピールしようという試乗モデルです。

 

セットされているホイールのモデルもタイヤもチェックして、ホイールとタイヤの重量も気にしましょう。タイヤ空気圧も重要でクリンチャーやチューブラータイヤなら、7気圧以上に設定して、バイクの剛性の高さを連想させる硬い乗り味を演出しています。チューブレスやチューブレスレディタイヤの乗り味の特性は、5気圧から6気圧の低圧設定でショック吸収性が高く転がり抵抗が小さく、グリップ力が高く、ロングライド派にアピールできる乗り味に設定できます。

 

試乗は150ワットから200ワット以上のパワーで走ることが多いので、どうしてもフレームの剛性感を強調して、しかもホイールも踏み出しが軽く、高速域への加速がいいものが、好感触を演出できます。短時間での試乗のアピールには適した設定で、試乗バイクは用意されている可能性があります。ホイールの種類によってもバイクの乗り味は大きく変化します。ホイールのブランドとモデル、リムの重さやホイールの重さを試乗前や試乗中に気にしてください。

 

タイヤにも構造上の転がり抵抗やショック吸収性など、乗り味の違い、タイヤやチューブの重さによる加速性の違いがあります。装着されているタイヤの太さは、23mm、25mmが一般的で、最新モデルは25mmタイヤが多くなっています。エアボリュームによるクッション性の違いや、横方向の設置面積が増して、コーナーでバイクを倒した時や、ブレーキングの時のグリップ力やバイクが止まるまでの安定感にも関係しま

 

短時間での試乗はどうしても高速走行域での走りになりがちです。加速感やフレームの剛性に意識が集中しがちです。でもロングライドに使うとしたら、100kmで4時間、平均時速25kmとして、平地で速く走っている時で時速35kmくらいになると思います。100kmの1日のライドでペダリングは2万回くらいになります。フレームの剛性は加速感を左右しますが、長く走った時には、踏み込む脚へのダメージに関係する重要な要素です。30分間の試乗で、頑張って1時間走った時のことや、4時間走った時のことを想像する必要があります。

 

剛性の高いフレームは、パワーロスは少なくよく進むフレームですが、クランクを踏み込んだ反力が脚へのダメージとして蓄積して来ます。走行距離が70kmを越えたあたりからは、それまで気になっていなかった路面からの振動がストレスとして感じられるようになります。ライドの後半は荒れた路面や段差などを避けて走りたくなります。フレームやフロントフォークのショック吸収性やハンガー周辺の剛性感が気になります。それにホイールのショック吸収性ですね。長く乗ってみると感じられる特性もあります。

 

ライダーは自分のバイクで走り込んでくると、サドルの上げ下げや前後位置、クリートの位置の調整、グリップ位置の調整などで、ポジションも最適化されて快適に走れるようになって、自分のバイクの特性に慣れてしまう面もあります。加速の良さ、フレームやフロントフォークの剛性、ブレーキの利き、ハンドリングも、空気圧の設定によるグリップ力やショック吸収性も、それが普通になってしまうので、違うバイクに乗ることで自分のバイクの特性を再発見できることもあります。ではでは。