クマさんのバイク専科

新しいバイクを欲しくなるのはなぜ?

ロードバイクは、乗り換えてみるとびっくりするほど乗り味が違うことがあります。フレームメーカーのノウハウの違い、設計の違い、素材の違いなのだろう。気持ちよくイメージ通りに走れると感じるバイクとの出会いは、試乗会とか、一緒に走っているライダーのバイクを借りて乗った時、ファーストインプレッションで味わえることもあります。そういう時はポジションの多少のズレはあっても、それを乗り越えて加速感とか、フレームの剛性感、ダンシングのしやすさ、直進安定性、コーナリングなど、短時間の走行でも感じることができる。すくなくとも自分が普段乗っているバイクとは、こことここが違うなという感覚は感じられるはず。

 

期待して、どんなだろうと思って試乗するわけだけど、最初は何がいいのか分からないわけ、巡航速度での走り、最高速度までの加速、コーナーからのダンシングでの加速、スラローム走行、ブレーキング、重めのギヤ比での加速などでバイクの特性を感じ取ることができます。試乗は短時間のことがどうしても多いので、ワット数の大きい状態で走っているので、フレームの剛性感やハンドリング特性は中速から高速域でのフィーリングが印象に残ることがあるので、ロングライド派のライダーは、気持ちを抑えて、時速30km前後で走ってフィーリングを確認しましょう。

 

アマンダスポーツ、ジップ、ズノウ、アンタレス、ナガサワ、サンレンショウ、プロトン、キヨ・ミヤザワ、ビアンキレパルトコルセ、ロッシン、ジャン二モッタ、マジー、チネリ、コルナゴ、レニャーノ、タイムやピナレロやデローザのフレームや完成車を手に入れて乗ってきました。ここんとこ乗っているのはタイムのVXRSアルチウムに、カンパニョーロのスーパーレコードのメカニカルのコンポーネントに、ハイペロンの後輪に、ジョバンニのアマンダスポーツオリジナル設計の木リムを前輪にセットしたバイクです。

 

カーボンチューブにカーボンラグ接着の1050gの、剛性の高いフレームに、しなやかで踏み出しの軽いホイールの組み合わせです。タイヤはしなやかさで定評のあるヴェロフレックスのクリテリウムの23mmの250gを7気圧前後にセットしています。主に乗っているバイクは5台くらいですけど、フレームは、それぞれの乗り味の違いがあって、それに、組み合わせるホイールでも乗り味が変わります。もうそんなことしないけど、目を三角にして走るとするなら、後輪はパワーロスがなくスピードの乗りがいいボーラの50mm、前輪は横剛性が高いハイペロンの組み合わせでしょう。最近ではサーキットエンデューロでのんびり走るのに使ったくらいですね。

 

上りセクションの多いコースなら、踏み出しの軽さで、前後ハイペロンが最適でしょう。ロングライドなら前輪にショック吸収性が高くて転がり抵抗が小さいジョバンニの木リムホイール、後輪には脚への反力がなく踏み出しが軽いハイペロンを組み合わせています。ロードバイクの乗り味は、フレームの剛性やハンドリングの特性の違い。ホイールのショック吸収性や、剛性や軽さによる加速性能や慣性によるスピード維持性能の違い。サドル、ペダル、ハンドルやステム、クランクの長さ、ギヤ比の設定などで走りが変わります。

 

いつでも乗れるようにしているタイムのVXRSアルチウム、タイムのエッジ、タイムのRXインスティンクト、ピナレロのアルミ&カーボン、チネリのヌーボスーパーコルサ、チネリのMSレーザー、スチールのキヨ・ミヤザワの7台は全く乗り味の違うバイクです。タイムのフレームはサイズがホリゾンタル換算で515mmくらいになるXXSなので、トップチューブが515mmと短めで、自分が理想と思っているホイールベースや、トレイルより短かめなので、クイックなハンドリング特性で、ステムを73度ヘッドアングル対応などにして、安定したハンドリングに設定しています。

 

ハンドリングが安定して乗りやすいと感じたのは、イタリアのムラカというメーカーが作っていた時代の、ピナレロのプリンスでした。トップチューブが長めでフロントセンターが580mm以上あって、リヤセンターも415mmで、比較的長いホイールベースのフレームです。ハイドロフォーミング加工された肉厚のあるアルミ合金製チューブの前三角と四角い断面のアルミ合金製のチェーンステーはティグ溶接で、独特の曲がりを持つオンダのカーボンシートステーが接着されています。オンダのカーボンフォークで組んだフレームです。見た目のボリューム感で剛性の高さを想像していましたが、予想以上のマイルドな乗り味に驚きました。

 

何より気に入ったのは、ブラケットに軽く手を添えるだけで、バイクが真っ直ぐ走ってくれる、適度な直進安定性です。リラックスして一般公道を走るのに適しています。ロングライドにはこの特性がぴったりです。ホイールベースとかヘッドアングルとか、トレイルってやはり大事なんだな〜と思わせてくれるフレームです。コロンブスのウルトラフォコという肉薄の熱処理スチール製のチューブを低温ロー付けで組んだフレームが、チネリのヌーボスーパーコルサです。なんとフレーム重量は950gで、ライダーの体重制限もあるし、鋼のような乗り味の賞味期限は3ヶ月から12ヶ月くらいで、肉薄チューブは金属疲労でクラックが入る可能性があると言われました。

 

フロントフォークはコロンブスのカーボンフォークでしたが、パワーロスしている感じがあったので、タイムのアヴァンスティッフに換えて乗っていました。オーバーサイズのクロモリフレームの乗り味は踏み込めば熱処理チューブらしくシャキシャキして反発が早く、軽く前へ進むフレームでしたが、急加速や高速巡航ではもう少しハンガー周辺の剛性感があってもいいと感じていました。次のタイムのフレームはエアロロードか軽量モデルのいずれかでしょうけど、ディスクブレーキ用台座付きになるでしょう。となると油圧ディスクブレーキのコンポーネントに、カーボンリムのディスクブレーキ対応の軽量ホイールの組み合わせになるでしょう。

 

今のところ、油圧のディスクブレーキは、キャリパーもディスクローターも、ブレーキパッドも、シマノがブレーキフィーリングはお気に入りです。ただし、ブレーキレバーのストローク調整や、ブレーキの利き始める位置の調整などがきっちり調整できるのはスラムレッドでした。油圧のディスクブレーキの凄さは、天候が悪くなった時のフィーリングの変化が小さいことで実感します。しかも、ながーくブレーキングする時でも、指1本でスピードコントロールが可能です。女性ライダーでも問題なくダウンヒルを楽しめます。

 

25mmの太いタイヤと7気圧以下の低圧設定で、油圧のディスクブレーキと組み合わせると、ダウンヒルもコーナーリングも、安心感がはっきり違います。エアボリュームが大きい分、6気圧台の低圧設定で転がり抵抗も小さく、ショック吸収性などキャパシティの大きいバイクにできます。フレームもパーツも自分の物として使い込んでみると、なるほどな〜と納得できる部分が次々に顔を見せてくれます。誰もが買えるロードバイクですが、リアルレーシングカーからスポーティーセダンくらいの乗り味の差があります。

 

走り込んでくると、もっといいポジションがあるんじゃないかと、ポジションを動かせる工具を持って走って、クリートを動かしたり、サドルやステムやハンドルやブラケットを動かしたくなることがあります。散々動かしてしまい、どれがいいポジションなのか迷ってしまうこともあります。パワーを引き出せるポジションは低くて遠いグリップ位置や、脚が伸び切るようなサドルの高さとか、維持するのが苦しくなることが多く、その1歩か1歩半手前の、ゆとりのある寸止めポジションに収めるのがいいような気がします。

 

マイバイクを乗り込んでくると、最初は感じていた特性ですが、その乗り味が当たり前になって特性を感じにくくなる傾向があります。ルックスやスペックなどを見たり、試乗してみて、バイクに求める走りのイメージに近くて、いい感じだな!、この特性はマイバイクを上回っているなー、このバイクがマイバイクになったら、走れるようになるかな、どうかな〜という好奇心がつもり積もった時に発注しちゃうんですね。ではでは。