クマさんのバイク専科

トヨタのヤリスのCMかっこいい!

車を持つという価値観が大きく変わろうとしています。車の社会的な意味合いも再検討されています。車を欲しいという若者が少なくなっているのは自動車業界全体に影響する流れだ。収入の少ない層は、ガソリン代、車検、消耗品、保険代、重量税、高速代など、年に30万円も50万円もかかる、車の所有の維持が経済的に負担になり、そのお金をもっとやりたいことに使いたいのだという。そんな世の中の流れの中でも自動車メーカーは生き残りをかけて、省エネやエコのパワーユニットの採用や、自動運転システムの採用などを盛り込んだ自動車を開発しては販売を続けている。

 

このままエネルギーを消費して、スチールやレアアースやゴムや石油を大量消費して、地域ごとに違う規制にきめ細かく合わせて車を作って売っていて、グローバルなエリアをカバーする巨大企業として繁栄できるのだろうか。100年近く発展してきた自動車産業だから、関連してきた鉄鋼、電子部品、パーツを作る企業、多くの従業員、しかも、最高益を上げているわけですから、簡単には方向転換できないでしょうね。近い将来の変化も見据えて、ビジネスモデルの転換も必至で模索しているんだろうな〜。

 

EUを離脱してEUへの輸出の関税の問題を抱えているイギリスでの車の製造や、トランプに従来の貿易協定を破棄されて、アメリカの労働者が作るか、時給15ドル以上の労働者が働く工場で作ることという新協定で動き始めた、旧協定に合わせてメキシコ工場でのトヨタ車の製造にシフトしていたというマイナス要素を抱えているけど、最高益を更新し続けている最近のトヨタの一押しはヤリスで、5人乗りのコンパクトカーだ。

 

省エネカーやCO2の排出規制に、いち早く取り組んだEU は、もう直ぐハイブリットカーすら許容しないで、CO2排出や地球温暖化を気にして、近々、電気エネルギーの車のみに切り替えるという協定が発表される。ヤリスはヨーロッパで発達したサイズダウンカーみたいなコンセプトで、小型高出力の燃費のいいパワーユニット、市街地では狭い路地が多いヨーロッパでもストレスなく動ける小型ボディーのパッケージです。近い将来実施される、新しいEUの規制には沿っていません。

 

日本のでは普通乗用車に相当します。日本名ではビッツと呼ばれていたが、WRC参戦などで呼ばれていた名前はヤリスでした。今年発売のこの車の名前は世界的にヤリスに統一されるわけです。トヨタは系列の販売会社の取り扱い車種の区分を撤廃する予定で動いています。2020年後半までには、トヨペット店でも、ネッツトヨタでも、トヨタテクノでも、86、ハイエース、ランクル、プリウスなど、なんでもトヨタ車を売れるようになるわけです。

 

どこの販売店にも、パッションを感じさせるピカピカツヤツヤの真っ赤なボディカラーが印象的な、ヤリスのカタログが山積みされていました。トヨタの販売網の整備工場では、だいぶ以前からトヨタ車だけでなく、どこのメーカーの車でも原則的には修理や車検をしてくれるようになっていましたから、取り扱い車種のクロスオーバーなんて当たり前か。

 

ヤリスはコンパクトカーでも内装の上質を売りにしています。WRCで鍛えられたという、ボディ剛性の高さや、足回りの良さもアピールしています。ヤリスをベースにした改造車でWRCに参戦しているわけです。トヨタでレースを担当しているガズーレーシングのチューニングモデルも用意されています。実際のレーシングカーは、ヨーロッパでWRCに参戦するトヨタの車を作っていた、デザイナーやエンジニアが再編成されて、車の改造に専念して、エンジニアや現場でサポートするメカニックやタクティシャン、マネージメントスタッフで構成されたチームが莫大な資金が投入されて実働しています。もちろんドライバーやコドライバー、は世界のトップがリクルートされて今年もトップを突っ走っています。

 

だけど、車離れしている若者がヤリスに振り向くのかな、北海道でも開催されるみたいですが、主にヨーロッパで開催されるWRCでの活躍に注目してくれて、ヤリスを購入するほどのシンパシーを感じてくれるでしょうか。かっこいいテレビコマーシャルが流されたり、WRCでのヤリスの活躍が地上波でトヨタの丸抱えで放映されていますが、広報活動の費用対効果は採算が取れるのだろうか。トヨタの販売店もどう感じているのだろう。WRC、ルマン24時間に参戦、エネルーギーをぶちまけて、誰よりも速く走るのも一つの価値観ではあるけど、EUではハイブリットカーでも許容されないのだから。化石燃料時代と変わらなくていいのか?。男のロマンなんて言っていて大丈夫なのか。トヨタのヘッドスタッフや広告代理店は、これしか思いつかないのかな。

 

ところでヤリスのラインナップはどうなのだろう。パワーユニットは化石燃料オンリーなのか、ハイブリッドなのか、EVがあるのか、フロントエンジンリヤドライブのみなのか、雪国向きに耐久性や舗装路の雪道の実用走破性のある4輪駆動の設定はあるのか。安全装備には対応しているのか、自動運転システムは全車対応なのか、オプション対応なのか。かっこいいTVCMからは何もわかりません。

 

若者に買ってもらえる読みはどうなのだろう。ヤリスに10年乗ったとして、車体は年に車体価格を約20万円消費することになります。ガソリン代が年に約20万円。自賠責保険が1万5000円、任意保険が5万円、税金が4万円、それに車検の年は費用が約10万円くらいかかる。駐車場の確保、タイヤも消耗するし、オイル交換も必要です。よくお金がかかります。年俸が300万円を越えない若者に、車の所有に魅力を感じてもらえるでしょうか。

 

どう考えても車を持つのは所得の低い若者向きではないと思う。必要な時にレンタカーを借りたり、カーシェアリングで費用を抑える方が現実的です。車を財産とか趣味と感じて持つ喜びは現実的に難しくなっている。ヤリスの価格帯は若者向きだろうか、単なるファミリーカーじゃないよということなのだろうか。コンパクトカーでも上質とか、速く走ることも得意ですよということなのでしょう。でも、ファミリーカーとして小さなヤリスを買ってくれるかな。

 

ちょっと魅力に欠けていた、コンパクトカーのとんがったデザインの先代のビッツの中途半端なイメージを革新するために、丸っこい印象のヤリスは、ワールドワイドの販売を意識して、ラリーのシリーズに参戦したり、広告代理店を導入しての広報戦略なのだろうけど、日本では今の所、かっこいいコマーシャルだけで、ヤリスのパッケージのコンセプトは、消費者に訴え切れてはいない。人気になりそうな気もするが、投入は成功するのだろうか。

 

この手の車は、価格帯とか、燃費とか、衝突時や事故回避の安全性とか、CO2排出とか、生産時のエコ度合いとかも、気にしているような気もするのだが、それは、詳しく書かれたパンフレットか、ホームページにアクセスして、かっこいいヤリスを確認してねという発想なのかもね。ちょっと見はフィアットのコンパクトカーを彷彿とさせるフォルムで、可愛いとか、おしゃれと思わせるし、ガズーレーシングチューンのモデルは、ちょっとやんちゃなアバルトチューンの車をイメージさせる気もする。

 

ホンダのフィット、日産のマーチ、どれも最新モデルを乗っていて、ブレーキも乗り心地も進化している。初代のビッツの4輪駆動から乗ったことがあるけど、モデルチェンジのたびに、どんどん乗り心地が進化している。ブレーキの利きもコントロールしやすくなった。ヤリスは内装もパワーユニットのレスポンスも、足回りも、ブレーキも、格段に良くなっているんだろうな〜。ではでは。