クマさんのバイク専科

楳図かずおさ〜ん!、元気〜

神田川の近くに自宅兼作画工房のビルがあるのがぐわ〜しで有名な楳図かずおさんの、赤白のストライプに壁が塗られた建物だ。しばらくの間、住宅街の景観にそぐわないと係争中だったが、どんだけド派手な建物が東京中にあるのだか知らないけど、人の家の壁の色にまで文句つけるんだって思っていた。長袖の赤白ストライプのトレーナーにダメージジーンズ、真っ白なスニーカーでヨットにでも乗りに行くようなスタイルで、ひょこひょこ歩いてくる。とても、あのおどろおどろしい、蛇少女や口からぞろぞろゴキブリが出てくる漫画を描いている人のイメージがない。

 

この通りは楳図先生の散歩道で、バイクショップと、隣のゴローという手作りシューズ屋さんに、ツーリングと町歩き用を4足もオーダーしていて、しょっちゅう顔を出していた。楳図先生も散歩の度によく立ち寄っていたので、顔見知りになっていたのだ。おお、楳図先生、今日もお散歩ですかと声をかけると、締め切り終わったんで、何か食べにいかな〜い!、と声をかけられるのだ。モンキーというサイクルショップのドアを開けて、ぐわ〜しをやって、高田の馬場の駅の方へ歩いて行く。

 

駅前のスポーツジムへ行くタイプでもないし、シェーキーズを過ぎて、早稲田大学の学生たちが行く、大衆食堂がいっぱいある路地に入って行く。お気に入りのお惣菜が揃ったお店があるのだそうだ。お魚の煮付けと、ご飯と味噌汁を頼んで、ほうれん草のおひたしと、しらすおろしを棚から取ってきて、うまいね〜と食べている。僕はアジの開きとサンマの開き、おろし、つまみ菜のおひたし、水菜のおひたし、ポテトサラダ、おかか、豚汁を食べていた。おかかは山盛りで半分食べませんかというと、大好きなのだという。焼き海苔と一緒に渡すと、ご飯のお代わりをもらって、海苔段々にして食べていた。体が細いのによく食べる人だった。

 

先生は画材はどこで買うんですかと聞くと、新宿の世界堂という。僕もデザイナーをやっていた時に、パッケージの紙を探してよく通ったお店だった。普通は先生クラスになるとお取り寄せになるのだが、大きな紙筒を持って買いに行くのだという。失礼ですけど、コミックスで年に億単位の稼ぎのある先生が世界堂に紙を買いに行ったら店員さんが驚くでしょう。ぐわ〜しと挨拶してくれるよと言っていた。ところで、なんで赤白ストライプばかり着ているんですかと聞くと、何か特別なエネルギーをもらえるのだそうだ。

 

高田馬場から新宿3丁目まで散歩しないかと誘われた。世界堂に文房具を見に行かないかというのだ。結構距離ありますよ、大丈夫ですかというと。気まぐれだけど歩くのが好きなのだそうだ。一緒に明治りを歩き始めた。ゆるいアップダウンがある。クタクタになって伊勢丹が見えて、世界堂に着いたが、2人ともくたびれて見て歩けそうにない。気になるコーナーはと聞いて、エレベーターでそこに行って、椅子を2つ借りて、ペン先と軸を見せてもらって、店員さんに、ペン先のタッチが紙によって違うだろうと思ったので、いつものケント紙を出してもらって、具合のいいのを見つけて手に入れていた。

 

帰りはさすがにタクシーにした。明治通りに面した風磨プラスワンで美味しいコーヒーとバウルーという焼きサンドイッチを食べて、アウトドアショップや、MTBショップを見学して、A&Fの2階のコーナーにあった数本のラブレスのナイフが気に入ったようで、目が輝いていました。夕方になって高田馬場へ帰りました。高田馬場で夕飯をご馳走しようと、餃子のムロさんに連れて行きました。カウンターに2人で並んで、チーズと玉のままのにんにく入りの焼き餃子、焼きそば、スペアリブの唐揚げ、空芯菜炒め、レバニラ炒め、酸梅たん、台湾料理です。

 

店長は自転車乗りで、店が終わると餃子と焼きそばを焼いて、サコッシュに入れて、高田馬場から八丁堀まで、熱いうちに届けてくれるのです。かなりの距離がありますから、どう考えてもものすごい速さで走って出前してくれていました。自転車雑誌の徹夜の原稿書きをサポートしてくれていました。楳図さんと2人で、いつものフルコースを頼んで、店長のおもてなしでお腹いっぱいになって解散となりました。ではでは。