クマさんのバイク専科

いい歳こいて娘離れしなくては!

二人の娘がいる。一人は大学時代に剣道で喰って生きたいと、江戸時代みたいなことを言っていた。自衛官か警察官にでもなって剣道を続けるのかとるのかなと思っていたら。卒業が近づくと、部活をアピールして、ちゃっかり人気の流通系の会社に就職して、とっくに嫁に行って二人の子供がいる。孫娘二人は可愛くて、どんどん大きくなって、こっちが疲れれば帰ってくれるから、だから可愛いままで済んでいるんだなと思うようになった。

 

下の娘はこう言っちゃ何だが、僕の子とは思えないほど頭のいい子だった。学校で授業を受けると、今日習ったことは全て覚えてしまうので、予習も復習も必要ないというのだ。学期末の試験の季節がやって来ると、家に友達が集まって来るのだ。娘が出題される試験問題を教科ごとに予想して試験勉強会を開いているのだ。その予想問題がほとんど当たるのだそうだ。

 

英語の単語やセンテンスは覚えてしまうのだが、苦手なのは外国人との会話の経験がほとんどないので、スタンダードスピードの英語のヒヤリングくらいだ。、書道家になりたいとか、声優にないたいとか、情報工学で生きたいとか、アニメーターになりたいとか、自分の思いを実現したいと、いろいろ転進して、とうとうディズニーランド系列のホテルに就職した。

 

自分で声優の学校を探してきて通っていたし、書道家の時は高校で唯一の書道専門課程に入学して、大学も芸術学部の書道課を受験していた。大学の途中でスタジオジブリのアニメーターになって、この業界は人気のあるジブリで、関わりたい夢を持った人は集まって来るのをいいことに、実習生として雇い入れて、事実上制作スタッフとして働かせて、その働き方がブラック企業ぽくて、夢を作る場所じゃないと失望して辞めた。ディズニーのキャラクターデザインスタジオにも関わったらしい。

 

そのうちにホテル業が面白そうだと、1泊数万円というホテルの就職試験を受けて、あの英語力でよく受かったなと思う状態だった。レストランに配属されて5年くらいで止めるのかと思っていたら、会社に言われたわけでもないのに、いつの間にかバーテンダーの資格をとったり、社内の昇格試験も通って、今では10年生になっているという、レストランのスタッフを卒業して、お酒を飲ませたり軽食を提供するラウンジを任されているという。

 

大人しくて接客業なんかできるのかな〜と思っていた。それでも最近は入社して1年目や2年目の後輩たちを大勢預けられて、接客の指導係を担当していて、若いスタッフたちの行動や考え方にギャップを感じるらしく。どうアドバイスすると受け入れてくれて、接客のクオリティをコントロールできるのかるのか、それなりに悩むことも多くなっているという。今時の若い人はとか語るようになるのかな。

 

そして、今年から取り組んでいるのがソムリエの資格で、ちゃんとした権威のある資格を得たいと、かなりの授業料を払ってセミナーを受けているという。世界各国で作られている赤、白、ロゼのワインの勉強をしているのは知っていたが、日本のソムリエの試験は1次、2次、3次と選考があって受かるだけでもかなり難しいという。資格を得てもそこからがスタートで、どんどん経験を積んで、引き出しを作って積み上げて行くしかなく、ゴールの見えない世界らしい。

 

ソムリエの講習を受けるには半端じゃないお金もかかるし、多くの葡萄畑とシャトーのあるフランスには是非行って見たいというイタリアやフランスの実業家は、事業に成功したら、早めに引退して、葡萄畑の土地を手に入れて、お気に入りの葡萄の木を育てて。ぶどう酒の醸造所を作って、ワインを作って、瓶に詰めて、コルクを押し込んで、自分の名前の入ったラベルを貼って、お世話になった人たちに配るというのが、成功者の証らしい。

 

そういうステイタスと誇りが詰まったのがシャトーのワインなのだそうだ。そういう背景や歴史がヨーロッパのワインには秘められているのだ。カリフォルニア、甲州、ポルト、モーゼルなど、どこの国にも自慢のワインがあるのだ。ソムリエの公用語というか、ワインを語る表現の元はフランス語らしく、いまになってやっておけばよかったと言っている。僕が雑誌記者を止めて、ヨーロッパでプロロードチームの運営にチャレンジしていたのと同じ年齢になって、自分に投資して前へ進もうとする娘の姿勢は褒めておいた。

 

今はパンデミックで、肝心のディズニーランドが閉鎖しているので、浦安周辺の関連のハイグレードのホテルも休業中だが、自宅待機中の娘は休む間も無くソムリエの勉強をリモートで続けている。膨大な世界のワインや葡萄のデータを頭に叩き込む必要があるという。何でも覚えられた娘だが大苦戦しているという。浦安へ楽に通えるように都内で一人暮らししているのだが、2ヶ月ぶりに実家へ帰ってきて頑張っているのを見て、僕自身が頑張る勇気をもらった。

 

接客業だし、海外からのお客も多いので、解除されてホテルへ出勤するようになったら、とにかく感染症にかからないで、頑張って欲しい。電車で40分くらいの距離でも日常は会えなくて心配で仕方がない。時々電話やメールはするけどね。帰って来たら娘の好きなお寿司や焼肉を、娘の運転する車に乗せてもらって、食べに行くのが楽しみなのですが。今は安心して行けないですからね。

 

仕方がないので、軽食を作ったり、濃いミルクティを作って、徹夜でがんばる娘とシェアしたり。僕にも説教してくれる娘の成長が嬉しくて、会えるのも楽しいのだが、1週間、実家に滞在して、お寝坊の娘が昼過ぎに自分の部屋から起きて来て、スススって帰っていってしまうと、気配が無くなって何とも寂しくなってしまう。テレビで人情ドラマや、スポーツの感動シーンを見ると、目から汗が出やすくなっている自分に気が付いて、本当にジジイになったな〜、とつくづく思った。

 

しょうがないジジイだなと笑っているだろうけど、もう直ぐ松永店長もそうなるんだからね。しかも、そっちはとっても可愛い娘三人分だから覚悟しておいた方がいいと思うよ。そうそう、嫁さんはもう知っている、かっこいいボーイフレンドを連れて来て、困惑顔で聞いてないよ〜と思っても、その日は突然やって来る。大事に育てて来た娘たちも結婚して、孫なんかできたらもうたまんないから。カーボンフレームを作れる珍しいジジイ道一直線だぜぃ。ではでは。