クマさんのバイク専科

Di2のトラブルシューティング!

カンパニョーロEPS、シマノDi2、スラムeタップと登場して、かなり普及して、もうそろそろ電動変速機に対するアレルギーもかなり少なくなっているだろう。だけど、これだけ普及しているにも関わらず、取り扱いと調整のマニュアルはユーザーに把握されていない。それは日本のユーザーも、Di2アルテグラが売れている北米のショップのユーザーも同じようなものだ。Di2はかなり普及しているが、何らかの原因で動かなくなった時に、対処方法が思い出せなくて、動揺してしまうユーザーが多いという。

 

特に、Di2は電源オフモードが想定されていないので、自転車を分解して車で輸送した時などに、リヤ変速機に力がかかると、異常を検知して、緊急モードに入ってしまっていることに気がつかないユーザーは結構いるのが現状だ。冷静になって、トラブルシューティングして、自分で解消できるユーザーは少ない。プロのメカニックでDi2の扱いに慣れているはずのプロでも、Di2ユーザーのお客さんのバイクに作動不良が起きると、ちょっぴりブルーな気持ちになる。

 

普段は問題なく動いていたのに、トライアスロンの会場や、ロードレースの会場でメンテナンスを受けて、作動不良や、電池の消耗がやたらに早くなることがある。Di2には前後の変速機に、、プーリーやチェーンケージのオーバーストロークを防止する、ストローク調整ボルトが付いている。このネジの締め具合が非常に重要なのだ。本来動かなくてはいけない範囲の手前まで、ネジを締めすぎてしまうと、モーターはプーリーケージやチェーンケージをもっと押さなくてはと、電力を使ってしまい、早く消耗してしまうのだ。

 

Di2の前後の変速機は、よりスムーズに変速させるために、自動的にオーバーストロークさせて、素早くチェーンをリードして、スプロケットにチェーンが移ると、真下に戻すシステムになっている。さらに、リヤ変速機には異常を感知するセンサーが組み込まれていて、トラブルを起こすようなオーバーストロークをさせない設計になっている。だけど、オーバーストロークしなければいけない手前までストローク調整ネジを締め込みすぎると、異常を感知して作動停止モードに入ってしまうのだ。

 

オーバーストロークさせる作動幅の限界の位置から2分の1回転緩めて隙間を開けて設定して、インジケーターのボタンを5秒以上長押しして解除する必要があるのだ。だけど、メカニックは、ケーブルで作動させるメカニカルの変速機を長年扱ってきているので、チェーンの落下やオーバーストロークによる接触のトラブルを警戒して、ローギヤ側のストローク調整ネジを、締め込むイメージを持っているので、ついつい締めすぎてしまう人もいるのだ。ローギヤに変速した時に、L側のストローク調整ボルトが接触していると、異常を検知して突然動かなくなることがあるのだ。

 

それまでDi2が問題なくインデックス変速していて、レース会場などでメンテナンスを受けるとしたら、前後の変速機のストローク調整ボルトはそのままでいいですと、言っておく方が変速トラブルを防げると思います。ストローク調整ネジを動かしてしまうと、ローギヤに入れて、最初から異常を検知して作動停止することもありますが、ウオーミングアップの時に、何度目かの変速で発生することもあるので、もし停止したら、L側のネジを半回転から1回転緩めて、インジケーターのボタンを長押ししてみてください。

 

シマノの電動メカは12段対応へ向けて開発が進んでいるはず。もう直ぐ確かに11段からバージョンアップすることは間違いないだろうけど、ただ1枚フリーのスプロケットが増えるだけで済ませるわけがない。Di2の第2段階のDi2アルテグラで、開発スタッフに他業種からリクルートした新メンバーが加わり、エレクトリックコードは1芯になり、パソコンによる故障箇所診断や、機能の拡張ができるなど、初代のオーバースペックが見直されて、すでにガラリと中身が変わっている。電動メカの最初のモデルは、トラブルを避けるために、入念なテストが繰り返されて、デュラエースとして市販された。ありとあらゆるリスクが考えられていて、雨の中を走ることを考慮して、モーター組み込みの変速機にしても、充電池のホルダーや、エレクトリックケーブルのプラグも、強力な防水構造が採用されていた。

 

電動メカ装備のロードバイクでプールを走っていたという話もあったほどの厳重なテストを行なっていたようだ。シマノのフィッシングタックルの電動リールやプラグのノウハウも投入されていたという。接点がリークしたら変速しなくなってしまうので、かなり神経を使っていたはずだ。ヨーロッパのプロチームへ供給されるとなれば、選手からも、メカニックからもアレルギーが出ることは必至だから、メカニカルと違った気の使い方をしないと、受け入れてもらえないだろう。Di2の充電式の電池はリチウムイオンタイプで、ハードに使っても800kmから1000kmくらい使えるので、毎日充電する必要はない。

 

200km走っても4日から5日走れる。それでも1日走り終わったら電池残量を、インジケーターのLEDの色とか点滅で確認しておく必要がある。最新のDi2ではサイクルコンピュータか、スマホでも電池残量をチェックできる。週末に走るライダーは充電を忘れていることがあるので、リチウムイオン電池を2つ買っておいて、専用のチャージャーで1個を充電しておいて、定期的に交換して使うと、充電回数を分散して長期間使えるし、充電に1時間くらいかかるので、電池切れで走れないことを無くせる。

 

内蔵タイプの充電池の場合は、インジケーターのプラグに専用のACアダプターでチャージすることになる。電池残量が気になるライダーは、リチウム電池はメモリー効果がないので、充電してしまえばいい。ただし、リチウム電池にも充電回数の限界がある。数年間使っていると、フル充電したはずなのにすぐに残量がなくなる傾向になったら交換時期だ。これは外付けも、内蔵電池も同じだ。リチウム電池には、低温下での性能低下が起こるので、厳冬期のバイクの外置きは避けたほうがいい。

 

電動メカが動かない場合、まず電池切れをうたがおう。充電をいつしたか思い出そう。左右のシフトスイッチを押して前後どちらかが動かない場合は、デュアルコントロールレバーのプラグ抜けの可能性が高い。ラバーフードをめくり上げて、専用工具でプラグを押し込んでみる。転倒した時などにデュアルコントロールレバーが曲がった時に、 プラグが抜けてしまうことがある。エレクトリックケーブルを迂回させて組んでいても、時々起こるトラブルだ。エレクトロリックケーブルが傷ついていたり切れたり、も起こる可能性があります。

 

フロント変速機のプラグは抜けにくいですが、リヤ変速機は後輪の着脱の時や、集団走行などでバイクが絡んだ時に、プラグが引き抜かれたり、で走行不能になってしまうことがある。落ち着いていれば気がつくことだが、意外と見落としてしまうものだ。転倒事故などや、立てかけておいたバイクを転ばされても、リヤ変速機が異常を感知して、緊急停止モードに入ってしまい、シフトスイッチを押しても動かなくなることがある。インジケーターのボタンを5秒以上長押しすると、解除できる。

 

メカニカルにはない気がかりが増える部分もあるが、そんなことは坂間メカニックにお任せしちゃえば、お気楽にDi2のスパッと変速する、快適チェンジを味わうことができる。マニュアルを忘れてもスマホでわかるし、坂間メカニックへ電話して聞いちゃえばいいのだ。プログラム変速も、スマホでのモード切り替えも、最新のサイクルコンピュータや、シマノのMTB用のサイクルコンピュータとのコンビネーションも、それぞれのメリットもデメリットも熟知している、血中IT度の高い坂間メカニックに丸投げしちゃえば「心配ご無用!」。というわけです。

 

僕は電動メカを採用するなら、シマノのDi2をプログラム変速などの機能と性能で選びます。自分で組むならワイヤレスのスラムを選ぶかも。格好良さならカンパニョーロを選びます。でもね、僕はもう秒を争う走りをしないので、自分で操作している感のある、メカニカルを愛用しています。Di2はモーターによる強制的な変速の速さや確実性がすごくて、メカニカルとは全く別世界です。プログラム変速にしたら、もう人間の能力を上回っていることを感じてしまい、じじいはついていけないと思いました。快適自転車生活を求めるのなら、絶対にDi2しかないのはわかっちゃいるんだ。日本ブランドという安心感もある。

 

電動メカはスイッチを押すだけで作動する。車にはねられて、肩や手が動きにくい時も、スラムのEタップはすごく助けてくれたし、鎖骨を骨折した時も、楽に変速できて、その効果をしみじみ味あわせてくれた。でも僕は、古いホビーサイクリストだから、メカニカルだと見たままでシンプルでブラックボックスの部分がないから、なんだか使っていてホッとするんだよね。パソコンもワープロ、メール、検索くらいで、機能の1000分の1くらいしか使いこなせていないので、基本、電子機器は超苦手ときている。人力のみで動かすはずのスポーツバイクも、電子制御だ油圧ブレーキ導入だとどんどん変わっていて、体験してみると、驚くほど進化している。

 

Di2が登場した時、組み上げて乗って、こんなにすごいのかと体験した時に、これは後戻りできなくなると思った。上り変速も下り変速もさがなく、リヤの変速は確かに速いし、フロント変速機のチェーンタッチもオートトリムで自動回避される。フロントの変速も驚異的にスムーズになっている。トップライダーの変速テクニックを、Di2が再現しているのだ。目的のスプロケットの歯先をわずかにプーリーがオーバーストロークして、チェーンが移ると同時にプーリーが戻って、変速を完了する。フロントも全く同じで、内外へモーターで強制的に動かしている。

 

チェーンラインが斜めになった時に、フロント変速機のチェーンケージとの接触が起こらないように、素早くオートトリム操作を行い、Di2では接触が全く起こらない、こんなことはメカニカルならプロでもノータッチは不可能だ。人間ではできない技を発揮しているのだ。最新のDi2のデュラエースとアルテグラは、プログラム変速が普通に組み込まれて、モードチェンジも簡単になっている。拡張機能が広がりを見せているし、メカニズム的な追求も外装変速機の究極のところまで煮詰められている。チェーンの移動など研ぎ澄まされている。次の12段もきになるな〜。

 

メンテ本でカンパニョーロ、シマノ、スラムの組み付けや調整、トラブルシューティングを解説していて一通り知っているはずだけど、3モデルの組み付けや調整が頭の中がこんがらかることがあって、時々手順を忘れたりするのでライド中の電動メカのトラブルが起こると、困った時は坂間メカニックに電話して操作を確認している。いつまでたっても、電動メカが動かなくなると、ブラックボックスの部分があるのでドキッとするね。ではでは。