タイムのフレームを乗り継いでいます。VXRSアルチウム、エッジVXR,
VXRSのワールドスター、フルディティまでは、シートポストはラウンドタイプの純正品が付いている。シートチューブがラウンドタイプで、VXRSが27、2mm径、シートポストもシートチューブも薄いカーボンチューブで、シートポストは280mmの長さがある。VXRSアルチウムの場合は、その長いシートポストを差し込むことで、シートエクステンドタイプ(トランスリンク)のフレームを補強しているのだ。だからシートポストを短く切ることはできない。
シートチューブがシートラグを通過して延長されている構造で、サドルの高さに合わせてシーチチューブの上端を切って調整する。アルチウムは最小サイズで950gというカーボンラグとカーボンチューブの接着モデルです。フロントフォークはカーボンコラムのストレートフォークで、コラム径はスタンダードで、ヘッド小物も上下ともスタンダードです。フロントセンターが573mmと短めで、ストレートブレードなので、初めて乗った時は、コーナーでのハンドリングがクイックで、切れ込んでいく感じだった。ベンディングフォークと全く違うハンドリング特性だった。
VXRSの走りで驚いたのは踏み出しの軽さと、低速域からの加速の伸びだった。重めのギヤ比でスタートして、ぐいぐい踏み込んでいくと、どこまでも伸びていく感じで、しかも踏んだ反力で脚のダメージになりにくいのだ。エッジなども同じようなフィーリングがある。パート別に精密成型して接着している、セミモノコック工法の軽量モデルが650gですから、比較するとだいぶ重いですね。
成型する形に合わせてカーボン繊維を編み上げて、エアバッグを入れて、型に入れて、カーボン繊維に熱硬化型の樹脂を含ませて、炉で加熱して硬化させるという、RTM工法で成型したチューブや高圧成型したラグと接着する、手間のかかる工法で作られている旧型のタイム。それでも軽量化のため薄いチューブが採用されているのだ。シートポストの径とシートチューブの内径が、差し込むと空気も漏れにくいほどの精度で作られている。
特殊なアルミ合金製の専用クランプ金具の2本のチタンボルトを指定トルクで締めると、シートポストはしっかり固定できる。シートチューブにはクラックの原因になるので、割は入っていない。初期モデルのVXRSアルチウムや、世界選ロード優勝アニバーサリーモデルのVXRSワールドスターのクランプ金具のボルトはチタン合金製だった。後年、300台の限定発売されたVXRSは、クランプボルトがスチールに変更された。シートポストはラウンドタイプだった。僕の乗っているのは、XXSサイズで、トップチューブは50mmのスローピングで、ホリゾンタル換算だとハンガー中心からのフレームサイズは515mmに相当する。シートチューブのアングルは75度相当なので、サドルを最適な位置に設定しようとすると、付属のシートポストでは後ろへ引ききれず、最適な位置を出せないのだ。
そこで採用しているのが、イタリアのカーボンパーツヤフレムブランドのWRのRSRというモデルだ。75度のシートチューブに付属の2本ボルト止めで固定すると、サドルのセンターが74度がギリギリでした。あと10mm後ろへ下げたい。この位置での1度は、ちょうど前後位置で10mmに相当する。RSRシートセットバックのヤグラなら、シートポストとしては少し重いけど、73度の位置へヤグラを加工することなくサドルを後ろへ引けるのだ。しかも、2本ボルト止めでサドルの取り付け角度も細かく調整できる。前後共6mmネジのヤグラ小物が採用されている。
エッジもカーボンラグカーボンチューブ接着フレームで、このモデルませはアヴァンスティッフという、カーボンコラムのベンディングフォークが採用されている。このフォークのベンディングとストレートの中間的な素直な乗り味が気に入っている。シートポストは短いアルミ合金製の2本ボルト止めがセットされている。シートポスト径はなんと28mmという特殊径です。エッジはシートチューブの肉厚があるので、短いシートポストを使えます。シートチューブ角度は75度なので、WRにRSRを特注することになって、手に入れるまで3ヶ月かかりました。
次の代のインスティンクトから前三角がセミモノコック構造になって、シートチューブがエアロ断面になって、シートポストがエアロの形状のカーボン製で、ヤグラは2本ボルト止めになりました。後ろのヤグラが6mm径ボルト。前が7mmボルトに変更されました。後のタイムの上級フレームは、フルディティのみがラウンドチューブです。
ヘッド小物は締めこむだけで調整できるマイクロセットで、熱処理されたケーシングに、樹脂製のリテーナーにじんたんサイズより小さいサイズのボールベアリングが内蔵されています。この熱処理されたケーシングが時々割れるので、2〜3年に1度は交換が必要です。
フレームの剛性追求のために、ZXRSからヘッド小物のベアリング径は上がスタンダードで下がオーバーサイズになり。フロントフォークのフォーククラウンやブレードがボリュームアップしたり、シートステーが強化されて、ZXRS以降のフレームは最新のタイムはより強化されて、ブレーキのストッピングパワーをより活かせるせるようになりました。もちろん、フランスからスロバキア生産になって、油圧のディスクブレーキ対応のフラットマウント装備のモデルが充実しています。
フロントフォークはスタンダードのストレートフォークと、振動減衰性を追求した7万円高いモデルの2種類から選べます。シートチューブの形式もトランスリンクと、シートラグまでの2種類が用意されています。資本金の小さいスキー用品ブランドとして知られるロシニョールの傘下に入ったタイムですが、スロバキアに生産拠点を移して生産能力をアップしたと思ったら、販売不振と身売りの噂が立って、どうなるのか注目されています。
最後のカーボンラグ接着モデルのZXRSもエアロ形状でした。それ以後のセミモノコック工法の、エアロロードの流れで、シートチューブはエアロ形状になり、エアロシートポストが採用されました。シートエクステンドモデルも、シートラグまでのモデルもエアロ化されました。シートクランプ金具はアルミ合金製で左右から絞り上げて固定するタイプでしたから。上下の2本のボルトを、少しでもトルクオーバーで締めると、エアロ断面の軽量で肉薄なカーボンシートポストへ食い込んでしまいます。ティアドロップ断面の、後ろの直線部分にクランプ金具の力がかかって、ひび割れることがあるので、クランプボルトの締め付けはトルクレンチで管理したほうがいいです。
エアロのシートポストのヤグラでは、普通のサドルを後ろへ引くことができないので、ヤグラを加工するしかないと思いました。多分、レールの直線部分が長い、SMPのサドルしか後ろへ引けません。そこでヤグラ金具を色々集めました。丸いテーパー状の金具ですが、この小物だけを売っていないので、シートポストごと何本も買い試作しました。ところが、このヤグラ小物のネジは6mm径ばかりで、前のボルトが7mm径なのでネジを7mmに切り直さなないと使えません。大きなホームセンターの工具のコーナーで、ネジを切るタップを探しても7mm径の単品売りのタップは、ほとんど見つかりません。それでも諦めずに探しました。すると台湾製のタップとダイスのセットの中に7mm径のタップがありました。
ヤグラの小物を万力に固定するか、バイスに挟んで固定して、7mmタップでネジを切り直すと、問題なく使えました。使いたいサドルをどのくらい後ろへ引きたいかを見極めます。ヤグラ小物にまるヤスリでサドルのレールが収まる溝を削り出します。サドルのレールは先端よりは狭くなるので、1個1個レールの幅に合わせながら削ります。レールが狭くなって横からヤグラの小物がはみ出すので、その部分をM4トーチャンにプレゼントされた、歯科技工士用の強力なグラインンダーで削り落とします。こうすると、サドルを後ろへ引いた状態でヤグラに固定することができます。アルミのヤグラ金具と、カーボンレールやスチールレールが滑らないように、接触する部分にわずかにゴム系ボンドを塗って乾かしてから組み上げます。
こうしてスリップ止めをしておくと、振動でヤグラが緩むことがなくなります。もうすでにこのシートセットバックの加工は、黒姫合宿にきたタイムユーザーのために10年前から取り組んでいます。サドルに合わせたレールの幅に合わせたモデルをいくつも作ってあって、スモールパーツケースに前用と後ろ用のヤグラ小物を用意しています。フィッティングの時に、サドルに合わせてその都度削っていると時間がかかるので、ポジションの最適化へ、すぐに対応できるようにしてあります。ではでは。