クマさんのバイク専科

12段とディスクブレーキへの移行はどうなるの!?

カンパニョーロは12段フリーのコンポーネントを130mmリヤエンド幅でリリースしています。日本でのカンパニョーロのメカニカルのリリースで始まった12段コンポーネントの普及状況はどうなんでしょ。12段フリーに興味はあるし、今までのホイールやフレームが使えるけど、まだ12段はカンパニョーロだけだからな、いくらカンパファンでも、12段のレコードもスーパーレコードのメカニカルもEPSも、フルコンポーネントとなると、なかなか手を出せる価格帯ではありません。ちょっとハードルが高いので、ここで12段化にためらいますよね。

 

ロードコンポーネントのフリーの段数が増えるとき、いつも繰り返されるのは、12段フリーなんていらないんじゃないの、いや欲しいな、という意見の交換でしょう。リヤエンド幅は120mm、125mm、130mmとフリーの段数が増えるごとにフレームも変わりました。今までの多段フリー化への歴史は12段が必要かどうかではなく、コンポーネントパーツメーカー1社が増やせば、数年後にはその段数が普通になってしまうという現象が継続しています。8段、9段、10段、11段の時もそうでした。

 

130mmリヤエンド幅ではもう歯が入る隙間がなくて、外装変速機のもう限界の段数と言われる12段に到達した感じです。いくら歯先間隔を詰めて、歯厚も薄くして、12段以上にできたとしても、今度は強度が低下するでしょう。そして、またエンド幅を広げて段数を増やしたとすればどうなるのか、チェーンが斜めにドライブするようになって伝動効率が低下したり、クランクを逆転するとチェーン外れが起こったりします。と言われながらも、フリーのスプロケットの歯厚の削減や、スプロケットの歯先間隔の削減、チェーンの幅の削減、後輪のスポークフォーメーションや、アシンメトリックリム形状の見直しなどで、スペースを生み出して、13段も可能なのではというまことしやかな噂もあります。

 

とにかく老舗のカンパニョーロが12段のコンポーネントをリリースしちゃったんですから、ロードバイクも12段化の方向へ向かうでしょう。フリーの歯数は多い方が細かく最適なギヤ比を選べますから、わずかな重量増よりメリットがあると思います。そこでロードレースの世界で困るのが、11段から12段への移行時期に、サポートカーやニュートラルホイールなど、スペアホイールの供給です。たまたまなのか、11段フリーの時は、カンパニョーロ、シマノ、スラムもフリーの歯先間隔は同じで、20mm、24m m、28mmとリム幅の違いはありましたが、事実上、後輪も互換性があり、インデックス変速が可能でした。もちろん12段フリーに3社が移行しても、130mmエンド幅なのか、果たしてフリーやホイールの互換性が保たれるのか、ということが気になります。

 

最悪の状況として考えられるのは、142mmリヤエンド幅のカンパニョーロの12段でディスクブレーキの後輪、142mmリヤエンド幅のシマノやスラムのの12段でディスクブレーキの後輪、100mmディスクブレーキ前輪、前後輪のディスクローターサイズ違いも発生するかも。そのほかに、130mmリヤエンドのリムブレーキ仕様の12段、130mmリヤエンドのリムブレーキ仕様の11段、100mmフロントエンドのリムブレーキの前輪というような、混走状態になったらチームのサポートカーやニュートラルホイールカーやモトはどう対応するんでしょう。

 

チームのサポートカーはホイール単独での交換がマネージメント的に面倒なので、チームの戦略として前を走る可能性が高いエースとアシストの予備バイクを用意して、単純なパンクでも、バイク丸ごと交換が時間短縮や間違いを起こさないためにもバイク交換での対応でしょう。油圧ディスクブレーキのスルーアクスル化したら、さらに交換に時間がかかりそうです。やはりバイク交換が行われるでしょう。一般ライダーにはそんなこと関係がないので、欲しくなった時に12段コンポへするかしないでしょう。カンパニョーロの場合は、メカニカルでも、EPSでも、カンパニョーロならフリーボディもホイールをそのままだし、フレームも130mmエンドなのでそのまま使えます。

 

だけど、カンパニョーロの12段コンポーネントへの載せ替えのオファーはまだまだ少ないでしょうね。シマノが2019年にどんな動きをプロロードレースの機材で展開するのか、2020年へ向けてどんな構想を打ち出すのかが注目されます。シマノの新型コンポーネントの規格の展開次第で、ハイエンドバイクのトレンドが左右されるのではないでしょうか。もちろん油圧のディスクブレーキに興味を持っているユーザーは多く、完成車を買う人のディスクブレーキ採用車は増えています。

 

でも、どういうわけか完成車メーカーが油圧ディスクブレーキ採用車のラインナップに過熱しているほどには、普及がゆっくりで、2020年へ向けてデュラエース、アルテグラ、105の12段コンポーネント化も始まるでしょうから、ディスクブレーキ化は加速されるかな。2018年のプロロードレースチームのマスドスタート用のバイクへの油圧ディスクブレーキの目立った採用はありませんでした。主流はダイレクトマウントのリムブレーキでした。でも、2019年こそプロロードレースへ普通に登場するのではと思っています。

 

だけど、なんで2018年に油圧ディスクブレーキがプロチームのバイクとして普及しなかったのかを探ってみたいと思います。サプライヤーとしてプッシュが緩やかだったのか、どうしてリムブレーキより全天候型のディスクブレーキを採用しなかったのか、メカニックが拒否したのか、選手がブレーキフィーッリングが変わるのを嫌がったのか、何が採用のネックになったのかな。考えられるのは前輪の剛性、ブレーキフィーリングの違い、フロントフォークやフレームの片側にストレスが集中する構造、油圧ラインの管理かな。ではでは。