サイクルスポーツのムック本、メンテ本の撮影が八丁堀の特設スタジオで進行しています。分解や組み付け、そしてパフォーマンスを100%発揮するための調整が、実際にスタジオで作業しながら撮影されています。写真では表現できない部分は、解説を助けるイラストレーションを入れることなどを、アシスタントのケンタくんと話しながら、こつこつと進めています。
シマノのDi2のデュラエースやアルテグラ、カンパニョーロのEPSのスーパーレコードやレコードやコーラスに続く電動コンポとして、ワイヤレス&電動メカで話題になったスラムレッドのeタップです。ワイヤレスは混信しないのかとか、ペアリングという左右の変速レバーと前後の変速機を同調させる作業、インデックス変速の同調やウトローク調整はどうするのか。電池はどれくらいもつのか、知りたい課題はいっぱいあります。
スラムレッドのeタップのキャリパーブレーキタイプの装着されたアルゴンのロードバイクをスタジオ内でばらして、eタップの取り付けとフロントとリヤ変速機の調整、今まで1年間使って来て、考えられるトラブルシューティングを撮影しました。もちろん、50ページに渡るディラーズマニュアルに書かれているすべてを、1日で撮影することはできません。次の日も撮影内容はeタップになります。ホワイトボードに今日撮影する項目を書き出します。組み付け手順を頭に思い浮かべながら、どう撮れば見やすいか、あまりにも小さいLED のランプなので、点灯しているのか、点滅しているのか写真で分かるのかな。
eタップはワイヤレスで変速レバーのスイッチを押したコマンドをリヤやフロントの変速機へ送信するので、混信を防ぎ、変速レバーとリヤとフロントをワイヤレスで同調させるのに必要なペアリングを、組み付ける前に行います。正しくペアリングが終了していれば、左側のレバーのスイッチを素早く1階押すとパンタグラフがモーター音がして動いて、トップギヤ側に1段分プーリーケージがトップギヤ側へ移動します。スイッチを押し続けると、一気にトップギヤの位置までプーリーが動きます。
右側のレバーのスイッチを短く押すと、パンタグラフがモーターで動き、ローギヤ側へ1段分プーリーが動きます。スイッチを押し続けるとローギヤの位置まで一気にプーリーが動きます。フロントの変速は左右のレバーのスイッチを同時に押すと、現在のチェーンケージの位置から移動します。もう一度両側のスイッチを押すともとの位置にチェーンケージが戻ります。まるで生き物のような前後の変速機の動きです。
リヤやフロント変速機に取り付けた充電式電池の残量の確認、変速レバーからのコマンドの発信とリヤやフロント変速機の受信、全てがeタップレバーの変速レバー先端や、リヤやフロント変速機の、小さなLEDの点灯とか点滅で確認できます。リヤのインデックス変速のズレを解消するには、右変速レバーの裏にあるボタンを押しながら、レバーのスイッチを内側へ1回押すと、トップギヤ側へ0、25mmプーリーの位置が移動します。
左変速レバーの裏にあるボタンを押しながら、レバーのスイッチを内側へ1回押すと、ローギヤ側へ0、25mmプーリーの位置が移動します。11段フリーの5段目に変速した状態で、クランクを回してチェーンをドライブしながら、もっともチェーンのドライブ音が小さくなるように、左右のレバーのスイッチと裏側のボタンを押しながら微調整します。各段数でインデックス変速のズレを確認して、各段でチェックして、もっとも音が小さくなるように調整します。
フロント変速機のチェーンケージの取り付け角度や高さの調整。チェーンケージの内外のストロークの調整。リヤ変速機の上プーリーの歯先とローギヤスプロケットの歯先の間隔が6mmになるように、リヤ変速機の取り付け角度調整ボルトでの傾きの設定。リヤ変速機のプーリーの内外のストロークボルトによる調整など、eタップの変速機の調整は色々な項目があります。とにかく電気屋さんになった気分で取り組みました。電動メカのパフォーマンスは凄いと思います。一度使ったらもうメカニカルへ戻れない感じはひしひしと感じます。
そのパフォーマンスを生かすために、要は、何かトラブルが起こってもあわてないために、ペアリングの方法。電池の充電時期の見極め。エンドブラケット曲がりなどに対応する0、25mmずつの微調整の方法。ストローク調整の方法などを頭に入れておけばいんですね。さらに、eタップレバーは、ハイドロリック(油圧)ディスクブレーキモデルがラインナップされているので、1年に1度のフールドの交換、ブレーキパッドの交換時期の見極め、ブレーキパッドのならし、その他、ローター無しの状態でブレーキレバーを引かないことや、引いてしまった時の解消方法などの紹介も必要になります。1日に数百カットの撮影はまだまだ続くことになります。ケンタくん、メーカーのディラー向けの取り付けマニュアルをプリントアウトして、正しい作業手順を読み上げてくれるかな。もっと分かりやすい方法がないか試行錯誤しながら進行しています。ではでは。