クマさんのバイク専科

サドルの高さが30年で20mm低くなった!

頭の中に675mmというサドルの高さの数値がきっちり刻まれています。ハンガーの中心からサドルの上の面に長さの2分の1のポイントに印を付けて、その距離を計った数値が焼き付いています。何百台と試乗したバイクに乗る時に、メジャーでサドルの高さを計って675mmぴったりに合わせてスタートしました。走りながら、形状が違うサドルの前後位置を探し、座骨や尿道への圧迫感を解消するために取り付け角度も調整して、微調整でずれたサドルの高さをまた調整して、踏めて回せる位置が出て、走りに集中できるようにしてから本格的な試乗になります。

 

撮影用の走りは日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットを広報を通じて営業が休みの日に借りて撮影していました。よくCGTVと一緒の日にぶつかりましたね。1台を3周くらいで撮影を終わると、試乗車が5台とか10台あるので、少ない時で15周、多い時は1日に30周走りました。午前中には2m間隔でパイロンを立てたスラローム走行や、フルブレーキングのテストもしたのでくたくたです。でも宿までの7kmをその日に試乗した気になるバイクに各テストライダーが乗って帰ります。

 

時間があると、カメラマンには宿へ入ってもらい、テストライダーとアシスタントは宿を通り過ぎて国士峠を上り、下戸へ下ってまた修善寺へ戻るコースを走っていました。みんな腹へらしだったから、途中の小さなコンビニで買った3個のあんぱんを背中のポケットに入れて、先行している2人を追いかけるのが恒例になっていました。もっと時間がある時には、修善寺駅を通り過ぎて、鮎釣りで有名な河を渡って修善寺温泉を通り過ぎて、天城峠を目指して走ります。トンネルに着くと一休みして、今度はダウンヒルで一気に修善寺駅まで下って、宿の夕食までに時間があるので、腹ぺこ3人組みは、途中のグリーンハウスという喫茶店で好きなものを食べてから宿へ入ります。

 

走らせる側の仕事を始めて、走らなくなって5年経過して、バイクライドを再開したとき、シマノのSPD−SLやタイムのインパクトやルックのケオなどのビンディングペダルを使い、ジオスのアルミにカーボンバックのフレームを手に入れて、しばらく乗っていました。バイクシューズもカーボンソールの薄いモデルを選び675mmでは高いと感じ、665mmに落ち着きました。3台のタイムも、サドルがフィジークのアリオネ・クラシックになってパッドが柔らかく、プラスチックベースもしなやかでしたが、このサドルの高さで設定しました。バイクシューズはアディダスのカーボンソールから、マヴィックの薄いカーボンソールになりましたけど、665mmでちょうどいい感じでした。

 

裸足になって股下寸法を計って、係数をかけてサドルの高さを出すフィッティングは、ペダル軸と踏み面の距離、クリートの厚さ、ソールの厚さ、ソックスの厚さ、インソールの厚さ、バイクパンツのパッドの厚さ、脚の筋肉や、股関節・膝関節・足首関節など関節の可動域の違い、クリートの前後位置、サドルの前後位置の違いなどの、サドルの高さに少しずつ関係する要素が配慮されていないので、サドルの高さを初めて決める時のあくまでも参考にする数値で、ジャストではないと思います。フィッターの経験値で、ライダーの特性をペダリングする姿を見て把握して、上下20mmくらいの範囲で微調整する必要があると思います。

 

60歳になってポジションを見直し、体力も筋力も低下しているので、サドルはもっと低くしたいと感じました。655mmに設定すると、大腿四頭筋にも膝関節にもストレスが無くなり、膝裏の靱帯の張りもなくなりました。30年前の元気だった頃より20mmサドルが低くなっています。ビンディングペダルのロープロファイル化、カーボンソールで薄くなった分、筋力が衰えた分などが含まれた数値でしょう。しかし、655mmとは低くなったな〜。ではでは。