クマさんのバイク専科

21mmで180gのチューブラータイヤの性能

リム周辺重量を軽量化して軽く走れる機材として200gを切るチューブラータイヤに注目しました。
その発想のきっかけになった経験を遡れば、イタリアのクレメンのカンピョニッシモ・セタ・エキストラ230gの
実寸21mmのドライコンディションでの驚異的なグリップ力と、
しなやかなタイヤ全体のしなやかさが、細いタイヤにも関わらず、ショック吸収性が優れ、
トレッドゴムの路面への追従性が生み出す、クラシックな構造の高性能チューブラータイヤの走行体験が原点です。
 
そして、ここ数年のチューブラータイヤの使用経験で印象に残っているのは、
クレメンの天然繊維コードのしなやかないいタイヤが無くなったという、
アマンダスポーツの千葉洋三さんがプロデュースした、
オリジナル設計のソーヨー・シームレスの180gのモデルに乗った経験でしょう。
真円のチューブラータイヤは縫い目がなく、しなやかなタイヤで高いグリップ力とショック吸収性、
そして、転がり抵抗の小ささを体験できました。空気圧は8気圧から6、5気圧に設定しましたが、
7気圧くらいがベストなバランスでした。
 
ヴィットリア、リッチー、ミシュラン、シュワルベ、デュガスト、FMB、
チャレンジャー、ヴェロフレックス、ユッチンソンからチューブラータイヤをピックアップしました。
決戦ホイールとして使うカンパニョーロの旧型20mm幅のボーラウルトラ35にセットするタイヤを探しています。
一般公道を快適に走るなら圧倒的に快適なヴェロフレックスのクリテリウム23mm(実寸21、5mm)か、
ショック吸収性とグリップ力ならルーベの25mm(実寸24mm)でいいと思いますが、
上りセクションだけのヒルクライムに特化したら、軽量チューブラータイヤは魅力的です。
 
ただ、今まで経験している軽量なチューブラータイヤも、クリンチャータイヤも、
パンクなどデリケートな面が必ずつきまといました。
乗鞍のヒルクライムイベントは上りばかりの22km、その決戦タイヤとしてまず走りの軽さ、
それには200gを切るタイヤを条件に設定しました。
ライダーのパワーを路面にロスなく伝える高いグリップ力、
そして、耐パンク性能が安心して走れるレベルかなど、それらの条件をクリアしているか、
ヴィットリアのトライアスロンを、今週のマジカルミステリーツアーから試乗を始めました。
 
まだ300kmくらいの走行ですが、ヴィットリアのトライアスロンという180gの超軽量のチューブラータイヤは、
細いのに3Dコンパウンドのスリックトレッドはグリップ力が抜群で駆動トルクを路面にロスなく伝えます。
7、5気圧から7気圧の設定でショック吸収性はまあまあ、段差乗り越しによるリム打ちや、
ガラス片の貫通などの耐パンク性能も問題なく、けっこう一般道路の走行でも使えています。
 
一般的な決戦モデルの23mmのチューブラータイヤは250g、25mmになると280gくらいあります。
トライアスロンは21mmで180g、タイヤカーカスが高圧に耐える化学繊維をコードに採用して、
チューブは乗り味は固くなりますが空気の抜けが少ない、合成ゴムの軽量なブチルチューブが採用されています。
チューブラータイヤの特性は、タイヤが円い断面で、
トレッドゴムが路面へ接地して離れるときにしなやかにタイヤが変形して転がり抵抗が小さいのですが、
一方でしなやかなタイヤは、トレッドゴムと路面との接地面積を増やせて、
荒れた路面でもグリップ力の変化が少なく安定しています。
 
しかし、しなやかなチューブラータイヤは、
トレッドゴムを路面へ押し付ける力がタイヤサイドの変形で分散されるので、接地面積でグリップを稼げますが、
ハイグリップのコンパウンドを採用したトレッドゴムを路面へ押し付けてグリップ力を最大限に発揮する事はできません。
従来のチューブラータイヤのように、
タイヤ全体がしなやかに変形してトレッドゴムを路面に接地させてグリップ力を発揮するのに対して、
ブチルチューブ採用のトライアスロンはどう路面にグリップしているのか。
 
ブチルゴムチューブ採用でタイヤ全体が固くなって変形しにくく、ハイグリップのトレッドゴムを路面へ押し付ける、
クリンチャータイヤ的なグリップを発揮するタイヤです。
タイヤサイドが固い構造のクリンチャータイヤは、ショック吸収性は低いですが、
ハイグリップのトレッドを路面へ押し付け、スムーズな路面では強烈なグリップ感を得られます。
ブレーキングも制動距離を短くできます。路面との接地面積はタイヤ1本で小指1本分くらいです。
細いタイヤだけに接地面は縦長になり、横幅は細くなります。
ハイグリップのトレッドゴムの変形の範囲は狭いですが、
路面の変化に追従できる範囲ではクリンチャータイヤ的な高いグリップ力を発揮します。
 
固いタイヤはトレッドゴムが変形できる範囲ではグリップ感を発揮しますが、
路面状況が荒れると、とたんにトレッドゴムの変形量を上回ってしまい路面との接触を失い、
あれほどグリップ感があったのに、突然グリップを失うことがあります。
タイヤのしなやかさとライダーの体重などに合わせて、0、2気圧から0、5気圧単位の微妙な調整が重要です。
しなやかなチューブラータイヤは高圧に設定して、タイヤの変形量を抑えると、クリンチャータイヤのように、
ハイグリップのトレッドゴムを路面へ押し付けてグリップ感が増しますが、変形しにくくなるのでショック吸収性は低下します。
今のところヒルクライム用の決戦タイヤとして合格ラインです。ではでは。