クマさんのバイク専科

ブルベライダーNさん初乗り600kmは凄すぎです!

 

ジョバン二のアマンダスポーツオリジナルの断面設計の木リムで前輪を組んだブルベライダーのNさん。なんと木リムホイールのシェイクダウンが、いきなりの600kmのブルベだったそうです。土曜日のライドの前に、ぐらぐらに振れが出た前輪を見せられました。スポーツバイクつくばマツナガで組まれたジョバン二の木リムホイールは、組み上がって走り出してもリムの振れが出にくいように、アルミ合金製のリムやカーボンリムの手組のホイールと同じく、独自の慣らし作業が行われて提供されていると思います。それでも振れが出ているのだから相当にハードなブルベだったんでしょう。

 

天然素材の木のリムのホイールの場合は、金属製やカーボン繊維製のリムと違い、リム素材の不確定要素が大きいのです。まず、木リムの素材は弾力性や強度に均一性はありません。天然素材の木を細く長い板にして、3重に丸い型へ巻き付けて接着して、特殊なろくろでリムの形に削り出します。その後でニップル穴やバルブ穴が開けられてリムになります。ニップルの穴のタイヤを張る面には、1段落ち窪んだ浅い穴が開けられて、そこに金属製の丸いワッシャーを押し込んで、そこに専用のロングニップルをセットして、スポークの先端へねじ込んで引っ張ります。スポークのテンションが上がると、ワッシャーは木リムに少しずつ食い込む事になります。

 

手組みのホイールでスポークのテンションに関係する、金属と金属、金属とリムを馴染ませるポイントはいくつもあります。アルミ合金製のハブのスポーク穴とステンレス製のスポークが接触しています。ニップルのねじ山とスポークのねじ山の馴染み。ニップルとワッシャーの接触面の馴染み。スポークが真っ直ぐに引かれる事。スポークにテンションがかかった状態で走リ出すと、もっともスポークテンションの変化に関係する大きい要素は、ワッシャーの木リムへの食い込みでしょう。走るたびにじわじわ食い込んで行くはずです。

 

普通なら木リムホイールの初期段階は、50km、100kmと走っては各部の馴染みが出て、リムが1mmとか2mm左右に振れたり、縦方向に振れが出たりします。ニップルの回転数にして、2分の1回転ずつ回して、10分の2mmくらいまで微妙にスポークのテンションを調整します。エアロスポークのよじれを解消してまた走って調整します。それが普通なんですけど、N さんの場合は、いきなり600kmのブルベを走ってきて、前輪が左右に3mmくらい振れが出ていました。600km走って転がったストレスで一気にワッシャーが木リムに食い込んだのでしょう。さらに、段差も沢山乗り越えたのでしょう。

 

リムが段差を乗り越える時に、しなやかな木リムが変形して、その瞬間にスポークのテンションが緩んだり、張ったりを繰り返し、ニップルやワッシャーが食い込んだり、馴染みが出て、木リムの大きな振れになったのでしょう。とにかく長く走って疲れが違ったそうです。土曜日のライドを終わって振れ取りとセンター出しをしましたが、またリムが振れ出たら直しますので言ってください。煮詰めていきましょう。ではでは。