クマさんのバイク専科

グレートジャーニーあなどれません!

完成車が大柄な段ボール箱に入っています。
ブランドは世界最大規模の自転車メーカーのジャイアントで、車種は「グレートジャーニー」という昔からラインナップされているツーリングバイクです。
昔で言うと大きなサイドバッグを取り付けたキャンピング車ですね。
フランスタイプのバイクとしてはもっとも荷物を積んで、キャンプ道具まで持って移動するというイメージでしょうか。
今では絶滅危惧車種と言えるでしょう。
でも、サイクリングというとこういうスタイルのバイクを連想する人も今だにいるみたいです。
 
ジャイアントって懐が深い完成車メーカーですね。
最先端のエアロカーボンバイクから、こうしたツーリングモデルまでカバーしているのはやっぱり凄いです。
アルミフレームに前後パイプ製キャリヤやサイドバッグ4個付き、11万円台でこの装備と言うのはちょっと感動ものです。
絶対的なお買い得感で昔から気になっていたモデルです。
 
ジャイアントはキャンピング車をフランス風のキャンピング仕様ではなく、
マウンテンバイクで採用しているオーバーサイズのアルミチューブヤ車輪を採用、
フレームはティグ溶接で組み上げてハードに走れる丈夫なフレームを作っています。
前後のパイプキャリアヤにはサイドバッグが付いて、
40kg以上の荷物を積む事、オンロードだけでなくオフロード走行が想定されています。
 
フランス車のランドナーが全盛時代だった頃、
何でも感でも積めそうなパイプ製のサイドキャリヤ付きのキャンピングモデルはツーリング車の最高峰モデルでした。
剛性の高いロードが肉厚0、7mmと0、9mmのダブルバテッド管のクロモリチューブで組まれていたのに、
1、2mm肉厚のプレーン管のスタンダードゲージのクロモリチューブで組まれたフランス風のキャンピング車は、
前後左右に40kgの荷物を積んで未舗装道路を走ると、トップチューブがグニャグニャ動いて、
まるでタンデム車の後ろに乗っている感じでした。
でもグレートジャーニーは、これだけ太くてがっしり組まれていれば安心でしょうね。
 
ショップの2階のストックヤードから段ボールを運ぼうとして持ち上げようとして呆然としました。
ロードバイクが2台入っているかのごとき重さです。
しかたがないので床をずるずると押して、階段まで来て、あまりの重さに重力と戦うのが大変でした。
1歩1歩足を下ろして慎重に下りて、やっと後数段というところでマツナガ店長が飛んで来て助けてくれました。
「それ2回へ上げるのも大変だったんですよ」かなりの重さです。
 
もうこの段ボール箱を整備の場所への移動だけで、全身の筋力を使い果たしました。
グレートジャーニーに乗って走る人は、この重さのバイクを前進させるのだから、それだけでタフな人だなと思いました。
どう見てもバイクの重量は13kgくらいあります。
+バッグと中身ですから、今時の軽量ロードなら完成車で7kg以下です。
丈夫な戦車が中に入っているのかと思いました。
 
段ボール箱はさすがに大きめで、中にはフロントフォークから車輪が外されて泥よけが乗せられています。
後輪だけがセットされたバイク本体、その横にはサイドバッグが4つ入っていました。
さらに小さな小物入れの段ボールに、パイプ製のフロントキャリヤがバラバラで収納されていました。
これを組み上げるのは大変だと感じました。
だいたい、バラバラのキャリヤをどう組めばいいのか、手順もネジを通す方向も分かりません。
 
小さな段ボール箱の中にフレームにキャンピングキャリヤを固定するボルトやナットヤアダプター、
そして、グレートジャーニーのフロントキャリヤ周辺の組み立て用のマニュアル
というよりペラペラな紙が入っていました。
ジャイアントさん、もう少し鮮明な印刷にしてもらわないと重なりなどが見えにくいです。
しかも、どう見てもフロントのカンティレバーブレーキ台座のボルトの入れ替えのパンフレットは、
フロントフォークのカンティブレーキの直付け台座へ固定する、
フロントキャリヤのアダプターの取り付け方向が間違っていますよ!
組んでいるメカニックは、みんな困っていると思います。
 
パンフレットのアダプターの写真を参考にすると、絶対にフロントキャリアヤを固定することができないので、
その事だけで、アダプターの裏表や左右を入れ変えたり、アダプターの上下を変えたりして、
どうすればフロントキャリヤを固定できるのか、20分間くらい考え込んでしまいました。
まったく困ったもんだ。どうやらキャリヤや泥よけを取り付けて、ブレーキや変速の調整に入りました。
インデックス変速の調整はリヤは問題なく、
フロントも順調にシフトケーブルを張って切れ味良くトリプルギヤが変速するようになりました。
 
最後に気になったのがブレーキです。カンティレバーブレーキで、
まず太いタイヤは空気を抜かないとブレーキの本体に引っかかって着脱できません。
しかもカンティブレーキ本体のセンター出しの難しさです。
リターンスプリングの調整ネジを回せば
リムからブレーキパッドまでの左右の間隔を調整できる構造になっていますが、
ネジを調整するだけではセンターがでませんでした。
分解して、リターンスプリングの曲げ直しをして再調整しました。
これがシマノのブレーキなら問題なく調整できるでしょう。
 
コストの削減の問題なんでしょうが、実はこういうパーツの精度とか取り扱いのしやすさは重要ですよね。
そんな細かい最終段階の調整をしていて、レンチフォースの整備台の固定の限界に近い重さだった事を感じました。
整備台から下ろしてタイヤを接地させて、ハンドルやサドルの取り付け角度を微調整しました。
キャリヤと泥よけ付きのツーリング車は久々に組みました。
ネジの本数も半端じゃなくて、しかもスパナやボックスレンチで締めるナットも久々でした。
一旦組み上がったバイクですが、全てのネジの締め付けを確認して作業終了です。
ロードバイクの2倍ぐらいの労力がかかりましたけど新鮮でした。ではでは。