クマさんのバイク専科

マヴィックのクイックレリーズ

フランスのマヴィックはアルミリムのメーカーでしたが、シールドベアリング採用の軽量ハブ、ワイヤレスの変速システム、ブレーキキャリパーやギヤクランクのコンポーネントをリリースしたり、色々動きのあるブランドですが、最近は完組みホイールが主要な製品で、バイクウエアやバイクシューズメーカーとしても活動しつつ、ビンディングペダル製造にも参入しました。オリジナルデザインのボリュームのあるビンディングペダルを生産しました。ペダルシャフトもスチール製の中空モデルや、チタン合金製のハイグレードのものもリリースされましたが、市場シェアの獲得は今ひとつで、3年前よりタイムスポーツ社のビンディングペダルをマヴィックブランドで発売していました。

 

日本には従来からタイムスポーツ社のペダルやフレームやハンドルやステムなどを輸入していたボディウム(旧名ダイナソア)のタイムペダルと、マヴィックを輸入するアメアスポーツのラインでマヴィックブランドのタイムペダルの、ここ数年間は、2系統で流通していました。マヴィックの方が価格設定が安かったので、店頭での実売数はマヴィックが圧倒していました。ところが、お互いの会社の出資元の意向が働き、タイムスポーツ社との提携があっさり解除されマヴィックブランドのタイムはショップから姿を消しました。

 

フランスの中央部のディジョンの工業地帯には、泥よけや変速機やギヤクランクなど、自転車パーツメーカーが点在していました。そんな中に変速機やギヤクランク、チェーンガード、シートポスト、クイックレリーズなどを製造していた、サンプレックスというメーカーがありました。リヤ変速機は金属製のスライドシャフトの究極のモデルと言われたJUY543やレコード60を作ったり、ダブルテンションの縦型パンタグラフの樹脂ボディへ変遷して、アルミ合金製のダブルテンションの縦型、そして最終型はアルミ合金製のダブルテンションの横型パンタグラフになり、コンポーネントブランドへ転進する体力がなく、ブランドの終焉を迎えます。

 

サンプレックスにもクイックレリーズがありましたがユニークな形状でした。クイックレリーズの元祖のカンパニョーロは、クイックシャフトのヘッド部分に円い穴を開けて、そこへハウジングをかぶせて、90度に曲がったクイックレバーに付いた、径の大きいエキセントリックカムをヘッド部分に貫通させて、開閉機構にする構造でした。サンプレックスのクイックレリーズの構造は縦型のエキセントリックカムを採用して形状が違っていまいた。初期のカンパニョーロのクイックレリーズには、エキセントリックカムの反対側の、クイックナットをクイックシャフトへねじ込んで、クイックレバーの締まり具合を調整できます。そのクイックナットには2本のネジが付いていて、それを締めることで最適な締まり具合の位置にクイックナットをクイックシャフトへ固定することができます。

 

フレームやフロントフォークのエンドの厚さに合わせて、クイックナットの位置を締めたり緩めたり調整して、クイックレバーを180度開閉するだけで、ホイールの固定や解除を素早くできるようになっています。カンパニョーロの後期モデルは、クイックナットのネジは、Cの字型のカンが付き、クイックナットの中にネジと接触する砲金製の小物が埋め込まれ、Cの字型のカンが小物を押してクイックシャフトとの摩擦が増してクイックナットの動きを重くして、固定している位置から動きにくい構造になりました。

 

スチール製のフレームの時代は、供給フレームと同じエンド素材のフロントフォークとチェーンステーの治具が作られていて、前後のホイールをその治具にセットしてクイックレリーズの締まり具合を、クイックナットの位置を動かして調整して、レース中のホイール交換のスピードアップに役立てていました。クイックナットの動きが重くなる構造にはそういう意味がありました。カーボンフレームの時代になってもクイックレリーズ仕様なら、同じような治具をメカニックが用意していますが、スルーアクスルになると無くなりますね。

 

サンプレックスのクイックレリーズは開閉部に、もちろんエキセントリックカムを採用していますが、クイックシャフトのヘッド部分に縦方向のスリットを入れて、金属製のハウジングを取り付けて、そこへ真っ直ぐなクイックレバーの先端に小さなエキセントリックカムが付いたモノを組み込んで開閉機構にしています。クイックレバーのストロークは180度で、エキセントリックカムの反対側に付いているクイックナットを回して、クイックレバーの動きの重さを調整してホイールを固定します。カンパニョーロもサンプレックスも90度くらいまでクイックレバーを締め込んだときに、動きが少し重くなるくらいで180度締めると適度なトルクでホイールを固定できます。

 

この時代のクイックレリーズの素材はほとんどがスチール製でした。締まり始めからエンドへの固定までの抵抗感などがはっきりしていて、しっかり締まったなという安心感が手に伝わってきましたが、今それを持ってみると何とも重い感じでした。中空ハブシャフトも細い径のスチール製でした。ハブの左右のフランジをつなぐ胴も細いデザインでした。現在のハブはアルミ合金製の中空ハブシャフトが上級モデルに採用されて、強度と軽さが追求されてハブの胴も径が大きくなっています。

 

さてマヴィックのクイックレリーズは、サンプレックスの縦方向のエキセントリックカムを彷彿とさせるデザインですが、クイックレバーの動く範囲は90度です。締め込む段階から少しクイックレバーに抵抗感があって、90度締め込む寸前に乗り越し間がはっきりあってエンドへホイールを固定できます。エキセントリックカムの反対側のクイックナットは、本体が金属製でプラスチックのカバー付きで、クイックシャフトとの摩擦を増す構造になっています。クイックレバーはエキセントリックカムの部分だけがステンレス製で、レバーの部分もハウジングもプラスチック製で軽量化されています。

 

現行モデルのマヴィックのクイックレリーズは、クイックシャフトがスチール製ですが、少し前までは軽量な上級モデルの完組みホイールには、チタン合金製のクイックシャフトの軽量モデルがセットされていました。これを手に入れたいのですが車輪とセットの店頭デッドストックしかありません。マヴィックのクイックレバーの締まり具合は分かりやすいし、デザインは好みが分かれるところだけど、ユニークなデザインを気に入っています。

 ■マヴィックのクイックレリーズ

しかし、クイックレバーを締め込む時、プラスチック製のハウジングがわずかにズレて、ステンレス製のカムの部分でハウジングをつぶさないように注意する必要があります。よくやっちゃうんだよな。マヴィックのクイックレリーズは、センターにカムレバーがある構造なので、三角スタンドや、固定式のローラー台のクイックレリーズを止める台座に、この形状では収まらない、バイクをしっかり固定できない場合があります。三角スタンドの場合は、最新型のカンパニョーロのクイックレバーが止められるモデルなら問題なく固定できます。ではでは。しk 

フランスのマヴィックはアルミリムのメーカーでしたが、シールドベアリング採用の軽量ハブ、ワイヤレスの変速システム、ブレーキキャリパーやギヤクランクのコンポーネントをリリースしたり、色々動きのあるブランドですが、最近は完組みホイールが主要な製品で、バイクウエアやバイクシューズメーカーとしても活動しつつ、ビンディングペダル製造にも参入しました。オリジナルデザインのボリュームのあるビンディングペダルを生産しました。ペダルシャフトもスチール製の中空モデルや、チタン合金製のハイグレードのものもリリースされましたが、市場シェアの獲得は今ひとつで、3年前よりタイムスポーツ社のビンディングペダルをマヴィックブランドで発売していました。

 

日本には従来からタイムスポーツ社のペダルやフレームやハンドルやステムなどを輸入していたボディウム(旧名ダイナソア)のタイムペダルと、マヴィックを輸入するアメアスポーツのラインでマヴィックブランドのタイムペダルの、ここ数年間は、2系統で流通していました。マヴィックの方が価格設定が安かったので、店頭での実売数はマヴィックが圧倒していました。ところが、お互いの会社の出資元の意向が働き、タイムスポーツ社との提携があっさり解除されマヴィックブランドのタイムはショップから姿を消しました。

 

フランスの中央部のディジョンの工業地帯には、泥よけや変速機やギヤクランクなど、自転車パーツメーカーが点在していました。そんな中に変速機やギヤクランク、チェーンガード、シートポスト、クイックレリーズなどを製造していた、サンプレックスというメーカーがありました。リヤ変速機は金属製のスライドシャフトの究極のモデルと言われたJUY543やレコード60を作ったり、ダブルテンションの縦型パンタグラフの樹脂ボディへ変遷して、アルミ合金製のダブルテンションの縦型、そして最終型はアルミ合金製のダブルテンションの横型パンタグラフになり、コンポーネントブランドへ転進する体力がなく、ブランドの終焉を迎えます。

 

サンプレックスにもクイックレリーズがありましたがユニークな形状でした。クイックレリーズの元祖のカンパニョーロは、クイックシャフトのヘッド部分に円い穴を開けて、そこへハウジングをかぶせて、90度に曲がったクイックレバーに付いた、径の大きいエキセントリックカムをヘッド部分に貫通させて、開閉機構にする構造でした。サンプレックスのクイックレリーズの構造は縦型のエキセントリックカムを採用して形状が違っていまいた。初期のカンパニョーロのクイックレリーズには、エキセントリックカムの反対側の、クイックナットをクイックシャフトへねじ込んで、クイックレバーの締まり具合を調整できます。そのクイックナットには2本のネジが付いていて、それを締めることで最適な締まり具合の位置にクイックナットをクイックシャフトへ固定することができます。

 

フレームやフロントフォークのエンドの厚さに合わせて、クイックナットの位置を締めたり緩めたり調整して、クイックレバーを180度開閉するだけで、ホイールの固定や解除を素早くできるようになっています。カンパニョーロの後期モデルは、クイックナットのネジは、Cの字型のカンが付き、クイックナットの中にネジと接触する砲金製の小物が埋め込まれ、Cの字型のカンが小物を押してクイックシャフトとの摩擦が増してクイックナットの動きを重くして、固定している位置から動きにくい構造になりました。

 

スチール製のフレームの時代は、供給フレームと同じエンド素材のフロントフォークとチェーンステーの治具が作られていて、前後のホイールをその治具にセットしてクイックレリーズの締まり具合を、クイックナットの位置を動かして調整して、レース中のホイール交換のスピードアップに役立てていました。クイックナットの動きが重くなる構造にはそういう意味がありました。カーボンフレームの時代になってもクイックレリーズ仕様なら、同じような治具をメカニックが用意していますが、スルーアクスルになると無くなりますね。

 

サンプレックスのクイックレリーズは開閉部に、もちろんエキセントリックカムを採用していますが、クイックシャフトのヘッド部分に縦方向のスリットを入れて、金属製のハウジングを取り付けて、そこへ真っ直ぐなクイックレバーの先端に小さなエキセントリックカムが付いたモノを組み込んで開閉機構にしています。クイックレバーのストロークは180度で、エキセントリックカムの反対側に付いているクイックナットを回して、クイックレバーの動きの重さを調整してホイールを固定します。カンパニョーロもサンプレックスも90度くらいまでクイックレバーを締め込んだときに、動きが少し重くなるくらいで180度締めると適度なトルクでホイールを固定できます。

 

この時代のクイックレリーズの素材はほとんどがスチール製でした。締まり始めからエンドへの固定までの抵抗感などがはっきりしていて、しっかり締まったなという安心感が手に伝わってきましたが、今それを持ってみると何とも重い感じでした。中空ハブシャフトも細い径のスチール製でした。ハブの左右のフランジをつなぐ胴も細いデザインでした。現在のハブはアルミ合金製の中空ハブシャフトが上級モデルに採用されて、強度と軽さが追求されてハブの胴も径が大きくなっています。

 

さてマヴィックのクイックレリーズは、サンプレックスの縦方向のエキセントリックカムを彷彿とさせるデザインですが、クイックレバーの動く範囲は90度です。締め込む段階から少しクイックレバーに抵抗感があって、90度締め込む寸前に乗り越し間がはっきりあってエンドへホイールを固定できます。エキセントリックカムの反対側のクイックナットは、本体が金属製でプラスチックのカバー付きで、クイックシャフトとの摩擦を増す構造になっています。クイックレバーはエキセントリックカムの部分だけがステンレス製で、レバーの部分もハウジングもプラスチック製で軽量化されています。

 

現行モデルのマヴィックのクイックレリーズは、クイックシャフトがスチール製ですが、少し前までは軽量な上級モデルの完組みホイールには、チタン合金製のクイックシャフトの軽量モデルがセットされていました。これを手に入れたいのですが車輪とセットの店頭デッドストックしかありません。マヴィックのクイックレバーの締まり具合は分かりやすいし、デザインは好みが分かれるところだけど、ユニークなデザインを気に入っています。

 

しかし、クイックレバーを締め込む時、プラスチック製のハウジングがわずかにズレて、ステンレス製のカムの部分でハウジングをつぶさないように注意する必要があります。よくやっちゃうんだよな。マヴィックのクイックレリーズは、センターにカムレバーがある構造なので、三角スタンドや、固定式のローラー台のクイックレリーズを止める台座に、この形状では収まらない、バイクをしっかり固定できない場合があります。三角スタンドの場合は、最新型のカンパニョーロのクイックレバーが止められるモデルなら問題なく固定できます。ではでは。