クマさんのバイク専科

洗車をバイクの手入れに利用しよう:パート1

プロサイクリングチームのロードバイクの洗車方法を、マイバイクのコンディションをキープするのに利用しよう。洗車はレースやルーフキャリヤに乗せての移動で汚れた、大量のロードバイクを素早くきれいにして、次のレースに備えて整備するために行われています。ステージレースに9人が走っていれば、電動メカ装備のバイクは、本番用のマスドスタートモデルが9台、スペアバイクが最低9台、エースやアシスト用の予備車が2台、タイムトライアルモデルが9台、スペアが2台とすれば、1チームで合計33台です。

 

これはエースやアシストのスペシャルバイクを用意している、一流チームと比べると少ない方です。洗車や調整をするスタッフはチームによって違い、2人から5人くらいです。電動メカが決戦バイクへ搭載されるようなって、電気的な故障も発生する可能性もあり、変速メカやレバースイッチや電池やコントロールチップは、簡単に分解して修理できないブラックボックス化されていて、現場で修理の手が付けられない場合もあります。

 

バイクはコンポーネントの電動化や、インターナルケーブルルーティーン(フレーム内へのケーブル内蔵)で現場での修理が変わりましたが、素早く多くのロードバイクをピカピカにできる洗車は、プロサイクリングチームで現在も行われています。バケツ、スポンジ、中性洗剤、バイオディグリーザー、オイル(ルブリカント)、グリス、ウエス、ブラシ、高圧洗浄機、整備台などを用意してやっていますね。

 

コンポーネントが電動化でブラックボックス化しているし、ケーブル類のフレームへの内蔵化によって、トラブルの起こったその場でメカニックが簡単に修理というわけには行かない場合があります。レースでは落車による1000gを大きく切る、超軽量のカーボンフレームの折損のメカトラブルや、電動メカのトラブルによるロスタイムを短縮するために、バイクの丸ごと交換が増えているし、修理もアッセンブル交換で解決するようになっています。

 

もちろんメカニックが外観の目視や操作チェックで、電動メカならではのトラブルシューティングを行って、故障、またはコード切れの発見やプラグ抜けや接触不良、充電式電池の不良や接点のリーク、緊急モードの解除などで復帰できることもあります。故障診断ソフトをインストールしたパソコンと、コンポーネントとの接続で、故障個所の特定ができますが、この辺りがおかしい状況ですという診断で、故障コード番号が出て、「ここです」、というパーツの特定ができるものではないので、レースの現場でメカニックが即解決できるものではありません。再度の故障の発生も心配なのでアッセンブル交換での対応になりがちです。

 

しかも、最新モデルのバイクになるほど、ケーブル類はフレームに内蔵となっているので、エレクトリックコードの断線やリーク、フレームの中でのコネクタープラグ抜けなどは発見しにくいし、発見できても内蔵されているのでワイヤーケーブルにしてもエレクトリックコードの交換には、時間とノウハウが必要なので、現場ではレース終了後の対応になります。

 

プロチームの場合、前の年の10月から春先にかけて、マスドスタートとタイムトライアル用のバイクや、バイクウエアの引き渡しがあり、ポジションの調整や、コンポーネントの操作に慣れる時間が設定されます。バイクはフレームの中にケーブルが通されて組み立てられています。年間の最大の走行距離が2万kmから3万km、1台だけではないけど、その間にフレームの内側とエレクトリックケーブルが摩擦したり、ケーブルの出入り口で折れ曲がりのストレスを受けます。

 

ワイヤーケーブルなら曲がったり折れたり、インナーケーブルとの抵抗が増えて、ブレーキや変速のレスポンスが低下したり、インナーケーブルが破断したりしますから、1年に1回か2回張り替えます。エレクトリックケーブルなら、1年から2年で表面の樹脂が削られて断線したり、落車などの時に引っ張られて、ラインが切れてリークしたり通電しなくなったりが起こる可能性があります。Di2の場合は、車輪の着脱の時に引っ張られて、リヤメカのコネクティングプラグ抜けも時々見かけます。

 

その上、カンパニョーロの電動メカのEPSは、原則的に洗車を避けるようにマニュアルに書かれています、シマノはレバースイッチも変速メカにも、電池の接点やコネクティングプラグも、フィッシングタックルの電動リールの経験などのノウハウがあって、防水性に自信があるので洗車OKです。スラムレッドのeタップはどうだったかな。電池の取り付け部分にはOリングが付いていたけど心もとないな。水の浸入をふせぐために、ワコーズの防水性を機体で切るシリコングリスでも、取り付ける部分や接点に塗ってから電池をパチンとセットした方が良さそうです。

 

電動メカのインデックス変速のズレの発生は、基本的には起こりません。でも現実には転倒したり、輸送中に押されたりして、リヤエンドが内側に曲がりトラブルが発生することがあります。現場対応ではカンパニョーロ、シマノ、スラムでやり方は違いますが、モードを切り替えて、プーリー位置の微調整をして、さらにストロークの調整で対応できます。

 

しかし、根本はリヤエンドのブラケットの曲がりの修正で対応します。リヤメカをブラケットから外してエンド修正工具で直すので、どうしても時間がかかるので、緊急対応はプーリー位置の微調整での対応でしょう。乱暴でもいいからすぐに直せという選手の要望がある場合は、リヤメカの上ブラケットのピボットボルトへ5mmアーレンキーやT25のトルクスレンチを差し込んで、内側へわずかに曲がったブラケットを経験とカンで、微妙に引き起こして、選手に魚籠を持ち上げさせて、インデックス変速がばしばし動くのを確認して、走らせてしまうこともあります。パート2へ続く。