クマさんのバイク専科

プロチームのバイクの洗車システム:パート2

前後輪を取り外したバイクのリヤエンドに、チェーンをプーリーにフックして張れる小物を固定してから、バイクラックへ立てかけて、洗車の準備が始まります。タイヤやホイールのトラブルの修理には時間がかかるので、トラブルが発生していないか確認するために、まずはホイール洗いから始めます。タイヤやリム、スポーク、ハブを中性洗剤を溶かした水を含んだスポンジで洗います。ハブやフリーの回転部に水が入らないように、水のかけ方に注意して素早く洗います。

 

中性洗剤を溶かした水で洗って、水をかけて洗い流したら、地面に軽くホイールをトントンと当ててリムやスポークから水を切ってから、自然に乾かすか、ウエスで水をふき取って、タイヤのトレッドやサイドの傷の確認をして、大きな傷があれば交換になり、プロサイクリングチームは、チューブラータイヤが主流ですからタイヤを輪切りにして、切断面に指を入れてカーボンリムの積層がはがれないよう、慎重に引きはがしてタイヤを交換します。

 

メカニックのトラックには、大量のチューブラータイヤが保管されています。スポンサーから1年間にかなりの本数が供給されているので惜しみなく交換しています。3000kmで1本として、選手の年間走行距離が3万kmとして、1台が前後輪合わせて年に20本消費するとして、チームに所属している選手が20人前後だから、常用するバイクの20台分で400本、年間に約700本くらい消費します。

 

合成ゴム系の接着力の強い、3時間の短時間で実用強度に到達する大きなカン入りのリムセメントを、ボトルを切ったものに入れて、硬いハケで塗っていました。リムと少し空気を入れたチューブラータイヤの接着面へ薄く均一な厚さに塗り、30分くらい放置して半乾きにしてから張り付け常用するて、タイヤがよじれないように5気圧にセットしておいて、最短でも1日から2日間チューブラータイヤをリムに圧着してから使用します。

 

リムが小さく振れていたら振れとり台で振れを修正してセンターを確認して、修正を終わったらバイクへ戻します。レースやトレーニングで段差や穴などでリムが路面などとヒットして変形していたら使用を中止して、スポンサーの供給メーカーへ戻して、リムとスポークを交換するか、時間のある時に現場でスペアリムと交換する作業をします。

 

タイヤに傷がないかトレッドゴムやサイドを確認しながら、りムやスポークやハブも洗います。なるべく水が回転部にかからないようにします。後輪の洗車のポイントは油汚れのあるフリーのスプロケットと回転部です。スプロケットにはディグリーザーか油汚れに強い洗剤をスプレーして、フリー用の専用ブラシを用意してブラッシングします。

 

フリー側を下に向けて、ホイールを斜めにして、なるべくディグリーザーや洗剤がリムやタイヤにかからないようにして作業します。溶け出した油汚れを水で洗い流す時も、フリー側を下に向けて、ホイールを斜めの状態にして、洗い流す水がリムや回転部へかからないようにします。ホイールの洗車は洗剤や飛び散った油汚れがリムに残っていると、雨の日のライドで滑るので、よく洗い流すことが重要です。

 

パークツールやカブトのバイクを正立させて固定する整備台や、アルチメイトやトピークのような、フレームをクランプしてからもバイクを倒立させられる整備台にセットして、高圧洗浄機の水を全体に吹きかけから、大きなスポンジに中性洗剤を溶かしたバケツの水でフレームやパーツを洗います。フレームやパーツやバーテープの、糖質の入ったエナジードリンクによる汚れや、油汚れやホコリなどが中性洗剤や水で落ちます。

 

チェーンはアウターギヤとプーリー付きの小物で張られているので、クランクを回転させるとチェーンをドライブすることができます。チェーンには油汚れを溶かし、水でながせるようになるディグリーザー系のケミカルか、マジックリンやバスマジックリンなどの油汚れに強い洗剤がスプレーされて、チェーンをドライブさせてリンクピンやリンクの中にまで浸透させます。チェーンをもみ洗いすることもあります。

 

油汚れを溶かした状態にして水で洗い流します。昔はディーゼルエンジン用の軽油で洗うチームもありましたが、廃油や脂汚れに強い洗剤を下水に流すとよろしくないので、自然に成分が分解される、生分解性のあるディグリーザーや洗剤が採用されるようになっています。米国や豪州チームのメカニックはけっこう気にしていたけど、ヨーロッパは、けっこう無頓着なチームが多かったから、チームの広報担当者のコメントはホントかな?。生分解性のケミカルをラインナップしているフィニッシュラインやペドロスがスポンサードして、ケミカルを供給されているせいかも。

 

フレームはヨーロッパなどの乾燥している場所では、洗車したバイクはラックで自然乾燥させます。洗い終わった後輪をフレームへ取り付けて整備台へ固定して、インデックス変速やブレーキパッドの残量をチェック、明日のレースに雨が予想される日はブレーキパッド交換が多くなります。リムとのあたりが出ていないと止まりにくくなりますが、消耗が激しくなる傾向があるので交換します。前輪をセットしていないので、リムの切り見本をフロントブレーキのブレーキパッドにはさんで、ブレーキレバーのストローク調整などの作業行程へ進みます。スピードアップのためにウエスでフレームやチェーンをふきます。

 

チェーンやブレーキケーブルやブレーキキャリパーの摺動部経注油して、チェーンは30秒から1分間ドライブさせて馴染ませてから、余分なルブリカントをふき取り、前後のインデックス変速のチェックやブレーキの整備、ボトルケージの緩み、シートクランプやシートポストのヤグラの緩みのチェック、ハンドルやステムのクランプを点検、ヘッド小物の緩みのチェック、大会支給の電子機器などの作動確認をして作業終了です。ではでは。