クマさんのバイク専科

昔のポジションへのこだわりを捨てられました!

昔の元気だった頃のポジションとか、何かに捕われていて思考いていると、当たり前のことが分からなくなっていたり、柔軟に色々な方向から見ることができなくなっていることがあるんですね。そんな既成概念にとらわれている自分にまったく気付かず、ピナレロのプリンスのポジションを最適化しようと、サドルやステムやハンドルなど、交換したり、取り付け角度や固定する位置など、色々いじってウイークエンドライドで試していました。

 

今思うと、確かに昔のポジションへのこだわりが強くありました。毎週木曜日の夜、葛西臨海公園の近くに集って、JCRCのトップカテゴリーのライダー達と元気にクリテリウムを走っていたころの、30年以上前に乗っていた3台のキヨ・ミヤザワ、丹下ナンバー2やナンバー1で組んだマトゥリータというロードモデルに、当時のカンパニョーロ・レコード仕様のバイクのポジションをそのまま残してあります。

 

ピストでは当時、1000mTTは1分10秒から12秒を、冬夏のコンディションに関係なく、コンスタントに出せていました。クリテリウムに使っていたバイクのポジションは、サドルの中央(サドルの長さの2分の1の位置)が73度に相当、トップチューブが535mm、チネリの1Aステムの110mmに、チネリのシャローデザインのジロデイタリアの400mm幅をセットして、ヘッド小物の上ナットにぎりぎりまでステムを沈めて、サドルの上の面とステムの突き出し部との落差は83mmでした。

 

それでもピストのドロップバーの下のグリップ位置からすると、サドルとグリップ位置との落差も小さく、しかも10mm以上近いドロップ下の握り位置でした。ブラケットの遠い位置が高速走行していてちょうどいい遠さと感じていました。トップコンディションの時に合わせて、ステムの突き出し寸法やアングルをオーダーするチャンスがあって、突き出し寸法115mm、73度ヘッドアングル相当のチタンステムをアイビスにオーダーしました。1年後に受け取って、それでさらにグリップ位置を5mm遠くにして使っていました。

 

ブラケットを握って腕を真っ直ぐにすると、腕と上半身が作る肩の部分の角度が115度くらいに開く遠さになっていました。両腕の脇を軽く締めて、肘の角度が80度から90度に曲げてハンドルを引くと、上半身が深く曲がって、上半身の重さを利用して脚を踏み出せました。50kmも走ると腕や肩や背筋にストレスが発生しましたが、スプリントとか高速巡行の時に、ハンドルを引ける範囲が大きくなると、低く遠くにブラケットやドロップバーの下のグリップ位置を設定していました。当時背筋力は210kg、握力は75kgくらいありました。

 

上半身が深く曲がると腹部に負担がかかって呼吸を楽にできないとか、姿勢を低くして空気抵抗を減らしてなんてことは、まったく気にして走っていませんでした。ペダリングの1踏みのパワーを発生させることを重視したグリップポジション作りです。今でも新しいフレームを手に入れると、キヨ・ミヤザワのポジションを参考にして考えてしまうクセがあります。現在はタイムを3台と、1年くらい前にピナレロの旧型のパリを加えて、4台がいつでも使えるモデルとして用意してあります。サドルとステムとの落差は45mmから55mmに設定しています。

 

タイムのエッジはカンパニョーロのレコードメカニカルでダウンチューブのフリクション変速レバー装備で昔を忘れないようにするためのバイク。シマノのアルテグラとレコードのエルゴパワーシフターのミックスコンポのRXインスティンクト。カンパニョーロのスーパーレコードメカニカルで組まれているVXRSです。パリは、カンパニョーロのレコードにスラムレッドのe タップ装備のリハビリバイクです。もちろん3台のタイムのポジションも、それなりに今の体力に合わせて煮詰めているので、パリのポジション作りの参考にしています。

 

ところが、快適なサドル選びにはまだ迷っているし、ハンドルバーも同じシャローデザインとは言え、ドロップ形状が違うイーストンのEC90のSLX3と、EC90 のエキッププロで、エルゴパワーシフターも新旧モデルでブラケットの形状が違うので、eタップレバー装備のパリのポジションにダイレクトには参考になりません。先週末のライドではサドルをフィジークのトライ2カーボンレールに交換して、上面の取り付け角度、前後位置、そしてサドルの高さの煮詰めをして、ダンシングしていて腰を落としたとき、スポッと腰が収まりサドルの上を移動しなくても踏み込んで行ける、クランクを踏み込みやすく回しやすい、パワーを引き出せる腰の位置をサポートするサドルの位置が見つかり、ほぼここかなという段階になりました。

 

サドルの位置が決まったら、次はハンドルバーのグリップ位置探しです。バーの上の直線部分、ブラケット、バーの下の全てが握りやすい位置を探します。ステムは73度ヘッドアングル対応の、付き出し寸法120mm、110mm、100mmのステムを用意して、違和感を感じたらステムを交換して試乗しました。ところが、ドロップバーのリーチが17mm短かったことが迷う原因になりました。トップチューブの長さが10mmパリの方が長いことから、数値上は7mm近くなっているはずですが、乗ってみるとブラケットの握りの位置を遠く感じました。

 

eタップレバーを気持ち良く握れるブラケットの上の面の角度にして、しかも、ドロップバーの上の部と分が作るスロープを、手の平へ部分的にストレスが集中することなく、長く乗っても快適に握って走れる設定にして、ブラケットを固定すると、グリップ位置は遠くなっていました。パーツメーカーの言うリーチの数値なら、ブラケットを握る位置が遠くなるのはおかしいなと思いながら、実際に70km走ってみて、ライド中にもっとも長く握る、ブラケットのグリップ位置では、首や肩や腕に張りが発生して、やはり遠いと感じました。

 

それでもキヨ・ミヤザワのポジションや、タイムのポジションにもこだわりがあって、ドロップバーをリーチの短いものに交換したので、110mmのステムでいいのでは、「この組み合わせで遠すぎるの」と思いました。なかなか現実に目を向けて、短いステムへの交換に踏み切れませんでした。でも、ミクシィでステムの長さに関してメッセージをいただき、それがヒントになりました。つくばのライドを走って感じたままに、110mmステムへのこだわりがありましたが、ステムの付き出し寸法を10mm短くしようと思いました。

 

110mmから100mmのリッチーのWCSの73度ヘッドアングル対応のステムに交換しました。ドロップバーの取り付け角度も入念に調整しました。まだどうなるか分かりませんが、トップコンディションの時代のポジションへのこだわりを捨てることができました。自分のポジションでもどうすればいいのか、迷うことはあります。素直に、今の体格や筋力や心肺機能で、快適に感じる設定に調整できる気持ち、昔のポジションに対するこだわりを捨てることで、フリーハンドを取り戻した感じです。ではでは。