クマさんのバイク専科

まんま置き換えるとスチールの55%か!

走りにはあまり関係ないけど、できれば1gでもバイクを軽くしたいというのは、ほとんど自転車乗りの永遠のテーマです。ボルト1本で数gという地道なチューニングですけどやっています。ボトルに水を詰めて1つボトルケージにセットするだけで500gから550g増えたり、サドルバッグに予備のチューブラータイヤと携帯工具、リムテープを入れて取り付けるだけで、500gも増えます。だから、ネジの置き換えによる軽量化は、気が付いちゃうとかなり空しい感じですけどやっています。

 

バイク全体の軽量化のことを考えると100gを越える可能性もあります。でも、スモールパーツの置き換えの軽量化では100g前後までですね。現在のコンポーネントパーツの最高峰モデルやミドルクラスのモデルは、パーツの素材はスチール、アルミ合金、チタン合金、カーボンなどが採用され、素材の置き換えだけでなく、素材の特性に合わせたデザインの変更などで、レーシングレスポンスや必要な強度を確保しています。

 

シマノやカンパニョーロやスラムで、軽量化に対する多少の方向性や軽量素材際用のスタンスは違いますが、パーツメーカーとして、やれるところは、かなりの贅肉の削ぎ落としが行われていて、これ以上の軽量化は難しくなっていることも事実です。ブレーキキャリパーなんか360度あっちこっちから見ると涙ぐましい肉抜きや、チタンシャフトなどの採用が見られます。特にシマノは新素材のカーボンやチタン合金製の採用に、強度の低下や価格への反映などにシビアな判断をして、適材適所の採用に踏み切るようです。

 

ハンガーシャフトの24mm径のクロモリ中空化や、アルミ合金製の中空ホローテッククランクなど、剛性や強度と軽量化と、価格の抑制がバランスした設計と言えるでしょう。ビンディングペダルにしても、カーボン強化ボディのデュラエースなんか、チタン合金製のシャフトに置き換えても良いように思うのですが、シャフトの剛性や強度と価格を考えたり、特殊なロープロファイルを実現できるベアリング形式の変更も考えると、やはり中空のスチールシャフトになるんでしょうね。

 

しかし、2016年末にリリースされたシマノの最高峰のレーシングコンポのデュラエース、軽量化と剛性を確保するために4アームのホローテッククランクが新設計され、アームやクランクがアンシンメトリックデザインで、アルミ合金製の中空の太いクランクはインパクトが有ります。今まで好評だったクランクの剛性感やチェーンの移りのスムーズさも継承されていますが、デザインは好みの別れるところです。それ以下のモデルにも将来反映されるんでしょうね。

 

スチール製からアルミ合金製へとか、スチール製からカーボン製へ、スチール製からチタン合金製など、軽量パーツへの置き換えチューニングは、もっとも古いやり方の1つですけど、今だに誰でもできる軽量化の方法です。でも軽量化チューニングは、クロムモリブデン鋼、ニバクローム鋼、ハイテンション鋼、炭素鋼など、スチール製パーツは重いけど強度が一般的に高いので、強度の低下や締め付けトルクの管理など、取り扱いのデリケートさなどのリスクがともなうことがあります。

 

スチール製からアルミ合金製のネジへの交換は置き換えなら4分の1になります。スチール製からカーボン製へは置き換えなら8分の1です。スチール製からチタン合金製の場合は置き換えなら55%になるので約2分の1です。やはり気にかかるのはいずれの軽量化チューニングの場合も、使用する素材の破断特性や変形量などの強度の特性の違いによる、形状による強度の低下と軽さのバランスでしょう。素材によっては実用的な強度を確保するために、形状を変更してボリュームが増すため、素材の比重差がそのまま軽量化へつながらない可能性があります。

 

チタン合金製パーツへのスチール製パーツからの置き換えは、比較的リスクが少ないチューニングと言われていますが、そこには、チタン素材のグレードの違いがあり、スチール製パーツへ力がかかる場所でのチタン合金製パーツへの交換が考えられるので、耐引っぱり強度や耐衝撃性など、パーツとしての強度低下が考えられる、汎用チタン素材のパーツという落とし穴があるそうです。

 

純チタンのボルトは同じ形状のスチールのボルトに、約55%の重量で置き換えできます。強度的にはスチール製、それもクロームモリブデン鋼、ハイテンションスチール製がもっとも信頼できるようです。航空機用のネジなどに使用されている合金製の転造やCNC切削のチタン合金製のボルトやパーツは、それに次ぐ強度を確保できます。以外だったのは、引っぱり強度が高まると思っていたステンレス製のボルトですが、サビには強くなりますが、スチール製ボルトほどの粘りがなく、破断特性、つまりボルトの強度低下につながる可能性があるそうです。

 

チタンボルトの素材には、破断強度を強化する添加物が配合されたチタン合金と、日本が得意とする純チタン、それも、日本のチタン素材メーカーが得意とするのは抗張力を発揮する酸素添加チタンがあります。チタンボルトの加工には鍛造とCNC切削が採用されています。ネジ部分の成型には加工硬化による強度アップを期待できる転造加工も、精度の高いネジ山ができるCNC切削も採用されています。

 

アメリカの航空機産業用のチタン合金製のネジを作るメーカーが暇になると、シマノやカンパニョーロ対応の、自転車パーツ用の置き換えチタン合金製パーツがその世界からスピンオフしました。今は、台湾製のチタン合金製のボルトやパーツが増えていますが、合金のチタン素材で作った製品の強度に達しないボルトやパーツも増えているそうなので、引っぱり強度や対衝撃性など、強度や安全を確保するために、合金チタンのものを選ぶ必要があるそうです。

 

強度の必要な航空機用のチタンボルトやパーツは、合金チタン製です。64と呼ばれるチタン合金ボルトは、6AL4Vというパーセンテージでチタンへ配合した合金チタンです。6%のALとはアルミ、4%のVとはバナジウムのことです。3AL2.5Vチタン合金というのもあります。当然強度の必要なパーツにはグレードの高いチタン合金が採用されていないと、軽量化はできても、必要な強度を確保できない場合があります。

 

今週から採用した、チタン合金製のクイックレリーズは、1本が20g台とい軽さで、ハウジングが省かれて、エキセントリックカムレリーズがむき出しになっているシンプルな構造です。まるで回して締めるだけのスキュワーのようなルックスです。クイックレバーの根元にエキセントリックカムが付き、クイックナットを回して遊び料を調整して、180度クイックレバーを締め込むとエンドにホイールを固定できます。今のところ異音も発生しないし使えそうです。ではでは。