クマさんのバイク専科

箱組み作業のルーティーンワーク

段ボール箱に納まったスポーツバイクを組む事を業界用語で「箱組み」と言います。
完成車の入っている段ボール箱のサイドを見て、組み立てるべきモデルとサイズとカラーかを確認して、フタを開けるところから組み立て作業は始まります。
フタがのりで張られているだけならマイナスドライバーを差し込んで持ち上げるだけで開きます。
もし大きいホチキスと、のりや粘着テープの併用のパッキングなら、ホチキスはニッパーで挟んで取り除き段ボール回収屋さんへ渡します。


テープならカッターナイフで切ってフタを開けます。
マイナスドライバーで切っちゃう場合もあります。
分解されてタイラップで固定されたバイクを引き上げて、サドルや小物の入った箱を取り出し、入っている小物やパーツを取り出して、ステンレス製の大きなトレーに箱の中身を広げて数が揃っているか確認します。
シートポストにグリスを塗ってシートポストへ差し込み、シートピンを締めて固定、お気に入りのレンチフォースの整備台にシートポストを固定します。


整備台に固定した、段ボールから出した状態の7分組みと言われるスポーツバイクは、フレームの保護材料や車輪がタイラップで固定されています。
よく切れるニッパーでタイラップを切って分解します。
ビニール袋でカバーされている部分もはさみなどで切って取り外し、紙のゴミとスチロールやビニール系のゴミを分別してゴミ袋へ収納します。
はるばる送られて来たバイクの梱包を解いてまずやるのがフレームの傷のチェックです。
塗装の傷や、中にはフレームチューブのへこんでいることもあります。


これでやっと組み立て調整の工程が始まります。
前輪のクイックレリーズをシマノの防水性の高いグリスを塗って通し、ハンドルをステムに固定したり、ハンドルにデュアルコントロールレバーを取り付ける場合もあります。
ハンドルのセンターを出して固定します。バイクを平らな場所へ置いて、ハンドルの取り付け角度とブラケットを握りやすい位置へ固定します。
サドルの前後位置や取り付け角度を調整します。


シフトケーブルやブレーキケーブルが張ってあるもの、張ってないものがあります。
ケーブルを張っていないモデルは、ハンドルを切った状態で、わずかにアウターケぶるにゆとりがある長さに切ってから、切り口を平に、中を通っているライナーチューブの切り口を丸に戻し、インナーケーブルを通します。ブレーキと変速機を調整、そんなルーティンワークを思い出します。
メーカーやモデルによってちょっとずつ違います。
ほぼ8割組み上がっている物もあれば、チェーンやケーブルが張ってないものもあります。


モデルによって、当然使う工具も違いますし、組み上げる手順もかなり違います。
カーボンフレームやカーボンシートポストなら、カーボンパーツ用の滑り止めの入っているファイバーグリップを塗ります。次にシートピンやクイックシートピンを緩めます。
エアロ系バイクのウスタイプのシートポストの固定金具にはネジにグリスを塗ります。
整備台はレンチフォースの三脚タイプを使う事が多いですね。
フレームチューブを避けてシートポストをクランプしてセットします。
三脚が広がって足元のじゃまになると嫌うメカニックもいますが、この整備台は180度バイクを動かして調整できるのでお気に入りです。


内蔵タイプのフレームでケーブルを通す時などにもフレームの位置を変えて、LEDライトで中を照らしながら作業できるので便利です。
その他の整備台では、パークツールのハンガーを支え、フォークエンドかリヤエンドでバイクを固定する、プロチームが使っているスチール製の整備台も使いやすいし。
イタリアのビチスポルトのハンガーを支えて、フロントフォークやリヤエンドをクイックで止める整備台も、ハンガーなど、力を入れて締められるので使いやすいです。


メーカーやモデルによって仮組みの状況が違います。
ビアンキのフラットバーのクロスバイクの組みの手順はこう、トリプルギヤだから、注意すべき組み立てのポイントは、あそことここ、ハンドルバーをステムに固定するときは、シフトケーブルやブレーキケーブルの流れに無理がかからない位置を通るように注意します。
デュアルコントロールレバーへの、シフトケーブルに曲がりが発生しているケースが目立つ、仮組みしてこない方がいいというメーカーもあります。
というふうにメーカーやモデルごとのチエックポイントや組み立て手順を覚えているものです。


スコットのカーボンフレームのケーブル内蔵の通し方のポイントはここ、アウターケーブルがヘッドチューブからダイレクトに通されるので、ハンドルを大きく切ったときのアウターキャップやアウターケーブルへ無理のかからない長さに設定する事など、モデルによってもかなり注意すべきポイントが変わります。
パーツのグレードや精度とか、製品によって調整しにくい物もあります。
それでも何とか左右のバネの調整などもして、ブレーキのセンターを出して修正します。
メカニック泣かせです、完成するとホッとしますね。ではでは。