クマさんのバイク専科

ボブタロスさんのフィッティング!、パート1

連休中の5月4日、神奈川のグループがつくばへ来て、フィッティング&ライドしました。ボブタロスさんは黒姫高原るんるん合宿に参加していただいて、フィッティングを経験しているので、そのフィッティングしたバイクのポジションの設定を、新しいバイクに反映させているそうなので、交換したというシマノの黄色いクリートの位置以外の変更はないはずです。まず、20分間固定のローラー台でペダリングしてもらい、足の動きを正面と真横からチェックしました。ウオーミングアップ中のペダリングを見ると右脚の足の動きが踏む向きを探していました。

 

クリートの取り付け位置を確かめると、踏み込んだ時に脚の筋肉のどの位置に負荷がかかるかを左右する、前後位置がずれていて、ペダル軸の中心がつま先よりに設定された、爪先立ちのようなペダリングになっていて、足首の動きをペダルを踏み込む方向へ反映させやすいけど、膝から下の筋肉郡への負担が大きくなる設定でした。時計の文字盤に例えると2時から3時の踏み込むフェーズでの足の角度を確認して、その足の角度の状態で母指球と小指球を結ぶ線より、2mmペダル軸の中心の位置が後ろになるように、爪先よりに設定されていたクリートを後ろへ移動して、膝から下の筋肉郡への負担を減らし、踏み込む足の安定化を優先させました。

 

クランクの回しやすさに関係する、内外のクリートの位置も、やや内よりに固定されていて、左右の脚の開き、Qファクターが広くなる踏み込み重視の設定になっていました。クリートの位置を2mmほど外側へ移動して、クランクを回しても足の内側がぎりぎり接触しない状態に狭くして、回しやすい設定に変更しました。クリートの取り付け角度は、右脚が最適な位置からずれていました。足踏みしてもらい、制約のない状態で、自然な左右の足の向きを、2時から3時の位置の踏み込む位置と着地の位置の脚の向きを確認しました。

 

ウオーミングアップ段階のペダリングで出ていた、踏み込む時に右足のカカトが、わずかに外に出る内股の傾向は足踏みでも表れていました。クリートの取り付け角度は左足が自然な足の向きとずれているので、膝関節周辺にストレスがかかっています。ビンディングペダルは足をセットしても動かせるから、クリートの取り付け角度はだいたいでいいという人もいますが、それはよくありません、1mm単位での設定が必要です。

 

1mmくらいのわずかなクリートの位置のズレと思いがちですが、クマフィットのクリートの位置の最適化を体験したライダーなら、すぐに重要性を理解できると思います。取り付け角度の場合は、そのわずかなズレにより、ライダーは無意識に自然な足の向きにしたいと、ルックやシマノやタイムのビンディングペダルは、キャッチメカにズムのバネの力により、足をペダルのセンターへ戻そうとする力がわずかに働きます。脚の自然な向きのセンターとペダルのセンターの位置がずれて設定されていると、小さいけれど常に足をひねって足の向きを調整する動きをしながらのペダリングになるので、何時間も走るとその繰り返しで、関節や靱帯や筋肉にストレスとなります。

 

左足の母指球の位置とカカトの位置の内側の出っ張りを結ぶラインは、カカトがわずかに内側へ入っています。いわゆるガニ股の傾向です。左はガニ股、右はわずかに内股で、左右で足の向きが違うペダリングです。膝関節の通過位置は右脚がトップチューブ近く、左脚はトップチューブから少し離れた位置を上下しています。左右の股関節の位置、左右の膝関節の位置、そして左右の脚の母指球のあたりが一直線になってペダルを踏み下ろすことを想像して、クリートの内外の調整をしてQファクターを調整しました。最後に足の自然な向きを配慮してクリートの取り付け角度を調整します。

 

足の自然な向きにクリートの取り付け角度を合わせることができると、膝関節周辺の痛みやストレスが発生しにくくなります。ビンディングペダルのキャッチがスムーズになるし、足の固定を解除しようと、意識的にカカトを外側へひねると、軽く足をリリースできるようになります。クリートの設定の最適化でキャッチ&リリースがスムーズにできるようになったし、クランクを踏み込む時の足の安定化を実現できました。これでライダーのパワーをバイクに伝えるインターフェースの設定を終わり、回しやすく、そして踏み込めてパワーを継続的に発揮できる腰の位置の設定に入れます。

 

毎分80回転できる少し重い感じの負荷でペダリングしてもらいました。ドロップバーの上の直線部分を握って、腕にゆとりのある状態でペダリングしてもらい、自然に腰が移動していく位置を見極めます。上死点を越えて脚を踏み下ろすフェーズに入るとき、股関節周辺に詰まりを感じて脚がわずかに停滞しています。この脚の動きの停滞がケイデンスを上げにくい原因になっています。

 

上半身のフォームで腰椎から背骨の微妙に深い曲がりが気になりました。これは座骨のエッジが触れる部分で床ずれ的な痛みが発生して、腰椎や背骨を曲げて支えて、お尻にかかる圧力を逃がしていたり、サドルの前後位置が腰の行きたい位置をサポートできていない可能性示すものです。股関節周辺の詰まり感を解消するために、サドルを4mmほど後ろへ移動して、脚が伸びきっていないか、サドルの高さを確認しました。下死点近くに足を止めて、膝関節を真っ直ぐにしたとき、足の甲がほぼ水平になる高さでした。サドルの高さは黒姫合宿でフィッティングしたバイクのサドルの高さが守られていました。

 

サドルの座骨が触れる部分のクッション性やパッドの下のプラスチックベースの形状を確認して、座骨の触れる部分が水平になるように、サドルの先端を2mmほど上げて取り付け角度を修正しました。前を上げ過ぎると尿道への圧迫が増すので、上げる量は1mm単位と微妙です。これで座骨のエッジ周辺に集中していた圧力を分散することができて、座骨の先端付近の痛みの発生がなくなり快適になったようです。パート2へ続く。