クマさんのバイク専科

土曜マジカルはノリクライマーのヒルクラトレ

ヒルクライムで力を発揮するには、心肺機能を向上させるトレーニングを7割、乳酸除去能力を向上させるミドルレベルのレペティショントレーニング1割。耐乳酸性を高める高負荷のレペティショントレーニング1割。リコンディショニングトレーニング1割。このバランスでトレーニングすると効果的です。上り坂の走りは、バイクの慣性を生かして走れる平坦コースとは違います。登坂抵抗に対抗してスピードを維持して走るには、1踏み1踏みのペダリングのトルクが平坦コースの8倍近くになるからです。

 

上り坂のペダリングで大きな力を発揮するには、平坦コースでスピードをキープしている時のケイデンスが毎分90回転から120回転以上です。しかし、上り坂では登坂抵抗に打ち勝って前へ進むために、1踏みのトルクが大きくなって、毎分60回転とか90回転とかに低下しがちですから、シッティングでパワーを発揮できる腰の位置の見直しが必要になります。

 

耐乳酸性や乳酸除去能力を高めるトレーニング計画に、プラスしたいのは、登坂抵抗に対抗する、上り坂での効率のいいペダリングを身に付けるためのメソッドを盛り込むことが重要です。だけどプロライダーじゃないんだから、毎日トレーニングできる環境のライダーはほとんどいません、フルタイムワーカーのウイークエンドライダーの走れる時間も、トレーニングできる時間も、体を休める時間も十分ではないので、効率良くトレーニングしないと、パワーアップしてスピードも速くならないし、耐乳酸性や乳酸除去能力が高まって、平地も上りも強くなれません。

 

耐乳酸性と乳酸除去能力を高めるトレーニングは、体の順応が比較的早く、トレーニング効果が早く表れます。毎週取り組んでいれば3週間から4週間で、高いレベルの有酸素と無酸素運動で、爆発的に発生する乳酸に耐えて、脚を動かせる能力が向上します。乳酸を除去する能力も高まりますから、高負荷のペダリングをより長くできるようになり、スピードも持続できるようになります。乗鞍のマウンテンヒルクライムにエントリーしたライダーから、「どんなトレーニングをすれば効果的ですか」という質問を受けました。

 

日頃は時速25kmから30kmのスピードでライドしているライダーです。ちょうどミドルレベルのトレーニングに相当して、有酸素運動と無酸素運動の能力を高める効果があります。それでも、上り坂が苦手で、もう少し速く上れるようになりたいのだそうです。それには耐乳酸性、乳酸が爆発的に発生して、血中乳酸値が上昇しても、筋肉を収縮させて脚を動かせる能力を高めることと、乳酸を除去する能力を高めるトレーニングに取り組むことで走りが向上します。

 

というわけで、4%から5%の2kmの上り坂で、いまキープできる最高速度で走り、下り坂を走って乳酸除去能力で脚を回復させて、また上るのを5本から10本繰り返すトレーニングをアドバイスすることにしました。土曜日のマジカルミステリーツアーは、風土記の丘から試験牧場まで上って、反対側のぶどう園まで下って、引き返してくるレペティショントレーニングを体験してもらいました。

 

速く走るためのトレーニングというのは、ただワンウェイのコースを高速で走るだけでなく、トレーニングの効果を考えて、ターゲットを絞った、こうした単純な刺激を繰り返すことも重要です。ヒルクライムを速くなりたいとか、平地も速くなりたいなど、モチベーションが高くないとなかなか実行できません。筋力的な負荷が大きいし、活性酸素の発生も考えられるので、トレーニング後はヘロヘロになります。

 

走った後はLSD レベル以下の回復走を30分から1時間行って心拍を平常心拍の2倍以上を保って、血流量をキープして、毛細血管の奥深くに残留している乳酸を肝臓へ運び出して、脚の筋肉を回復させます。ストレッチング、アイシング、マッサージなどで乳酸が残らないようにして回復を早めます。大量に酸素を消費するので、活性酸素の発生に備えて、事前にビタミンCとEのサプリメントを飲んでおいたり、抗酸化ビタミンを含む食べ物を食事に取り入れておきます。これは耐乳酸トレーニングのダメージを抑えるために必須です。

 

筋力的な負荷も大きくなるので、プロテインをサプリメントで摂ったり、タンパク質を含んだ食材を使った食事で、ダメージを受けている筋肉繊維の回復を促進させることも心がけます。ちなみに体重1kg当たり3gのタンパク質をとることがハードにトレーニングするアスリートの食事のポイントです。お肉を100g食べても含まれているタンパク質は足りていても、人それぞれの吸収率が違いますから、自分はどういう体質かを認識して量をコントロールして食べる必要があります。お肉や野菜を食べる時に注意したいのは、脂肪の量がどうかというポイントです。お肉に付いてくる脂肪を取り除いて食べたり、フライものは衣に油が含まれているので外して食べるとか、ドレッシングをノンオイルンするとか、ヒルクライムで重りになりがちな食事は避けることです。

 

土曜日のマジカルミステリーツアーは10時に集合して、ヒルクライムのペダリングの体験と、耐乳酸性の向上や、乳酸除去の体験で能力を高めるトレーニングをヴェジタリアンSさん、オリーブさん、オリーブ旦那さん、ブルベンさんと走りました。風土記の丘でのヒルクライムとレーニングの体験は、けっこう時間がかかりましたが、ハンドルを引いたり押したりしないでのペダリングで、効率のいい腰の位置や、上死点近くや下死点近くでトルクがなるべく低下しない、スピードの上げ下げが少なくなるペダリングを体感できみたいです。ではでは。