クマさんのバイク専科

スプリント採用は日本の女子選手が有利に?

オリンピックの種目がどんどん変化しています。その競技をやっているひとや競技統括団体は大歓迎?、かも知れませんね。テコンドーのような競技団体の混乱など起こらないといいですね。でも、中には、これは本来の競技とかけ離れていると思う人もいるはず。クマジジイはラグビー経験者なのですが、オリンピックで採用している7人制ラグビーには、相手のディフェンスの穴を付いて走る鬼ごっこ的に見えて、力と力の真っ向勝負とか、ぎりぎりの高度なテクニックでコンタクトしても抜け出したり、はじき返して、前へ楕円球を進めるのをイメージしているので、馴染めません。

 

やっぱりラグビーは15人対15人のフルコンタクトポーツで、体力、体格、センス、戦術、自己犠牲、全てを投入するものだと思っています。スクラムも8人対8人で屈強なフォアードがプシュしてプレッシャーをかけて、ダメージを与えつつボールの奪い合いをして、楕円球を味方へ供給するために最前線で戦うところから始めるべきです。アタックディフェンスの展開の早い、短い時間のゲームで、スペースが広く抜けやすいので、パワーやコンタクトやディフェンスのセンスより、ランニング能力が問われる練習ゲームとして始まった7人制ラグビー、フルコンタクトがタックル以外に無い、タッチフットボール的なのをラグビーとは思って欲しく無いなー。

 

ラグビーは相手の陣地のゴールポストの向こうにボールを持ち込んで、地面に付けることでトライになります。ラグビーは点数の取り合いゲームの認識が強くなりました。もちろん1点でも多く取ったチームの勝ちです。15人制の戦術が進化してディフェンス能力が高くなり、トライを取るのが本当に難しくなりました。力の拮抗したテストマッチやワールドカップで、勝つためのチーム戦略として、ペナルティを得ると、キック能力に優れた選手の能力を生かして、自陣からの70mを越える距離でも、ペナルティキックで1点を取るゲーム戦術に変わり、難しくなったトライにチャレンジするチームが少なくなりました。

 

そこで競技団体はゲームの活性化、トライの面白さを引き出すためにトライの点数を増して価値を高めました。引き分け狙いならペナルティキックでもいいところを、勝ちにこだわるなら、相手のゴール前でのディフェンスがいくら強力でも、トライにチャレンジする選択をするゲームが多くなります。前回のワールドカップの南アフリカ戦は、相手がフルメンバーではありませんでしたが、最後のプレーチャンスに、ジャパンの監督は五郎丸のショットの指示を出しましたが、フィールドのキャプテンはトライを狙う、勝つための決断をして、トライを獲得してジャパンは勝ちました。面白かったなー!。

 

ルール変更と言えば、昔、日本の女子がオリンピックで優勝したころのバレーボールって9人制だったのが、いまは6人制になったり、ラリーポイント制ですし、ビーチバレーにいたっては2人制ですよ。競技の形態は時代やルールによって変化するってことですね。スポンサーや視聴率が重要なテレビ放映の都合に合わせて、競技時間や人数やルールが変化しているなんてこと、悲しいことだけどありそうですね。スポーツってルールが自然にそうなったように、それぞれのスポーツでルールには理由があります。スピリットを損なうようなルール変更は困りますね。

 

バスケットボールが5人5人で実施されて、それぞれにバスケットがあって、シュートすれば2点や、エリアによっては3点、ペナルティの場合はワンショット決まれば1点なわけです。ところが唐突に3オン3がオリンピックの競技種目になりました。誰がマジにやっているんでしょ。スケートボードのエクスストリーム系はXゲームでしか見たことがありません。競技としてマジに頑張っている連中は世界で何人いるのでしょう。誰でもやればできるかも知れませんが、これがオリンピック競技なのか?。IOC は何を基準に競技を選んでいるのか疑問に思う人も大勢いると思います。

 

トライアスロンはハワイで開催されていたオープンウオータースイム、バイクライド、マラソンなどの各イベントを、一気に1日でやってみようという、海兵隊員の飲み会での冗談のような話しから始まった、ロングディスタンスのイベントです。「アイアンマン」とネーミングされて、現在でも世界各地でプラクティス大会が継続されていて、アイアンマン・ハワイの出場権を獲得したアスリートが参加します。現在ではハワイのビッグアイランドでアイアンマン・ハワイ・ワールドチャンピオンシップトして、アイアンマン・ロングディスタンス・トライスロンの世界選として開催されています。

 

その伝統で、コースに設定されたエイドステーション以外、誰の力も借りず、スイム、バイク、ランを完走することが基本スピリッツで、バイクのドラフティング走行が禁止されていたわけです。アメリカではUSTSシリーズという51、5kmのトライアスロンが開催されていました。40kmのバイクセクションはドラフティング走行が禁止されていて、コースマーシャルがモーターサイクルでチェックして、何度かの警告後、その場でペナルティストップさせたり、トランジションエリアに入るとチェックされた選手が、ドラフティング走行違反で失格を宣告されることになります。

 

国際トライアスロン連合(ITU)は、当時ワールドカップシリーズや世界選で採用していた、51、5kmのトライアスロンを、2000年のシドニーオリンピックの正式種目への採用を働きかけて、採用が決まると、オリンピックの2年前にドラフティング走行禁止ルールの変更を実施しました。2020年の東京オリンピックではお台場でトライアスロンが開催され、51、5kmの種目と、オーストラリアで始まった、ほぼ半分の距離のスプリントディスタンスで実施されるようです。

 

オーストラリアのシリーズ戦ではスイム、バイク、ランのフォーマットが入れ替えられて実施されていました。日本の女子選手は体型が小さいので、スイムのバトルでのダメージを受けやすく、成績のばらつきを発生させている原因の1つでした。短いスイムの距離はバトルの激しさが増すことも考えられますが、スイム距離の短縮は日本の女子選手のスイムフィニッシュのトップとの差を小さくして、バイクのトップ集団に入れる可能性が増します。

 

51、5kmのスイムで1分差だったとすれば、半分の距離なので30秒差にできて、バイクスタートの出遅れを小さくする可能性もあります。距離が短いので当然バイクのスピードは上がります。バイクが比較的強い日本の女子選手は、トップグループでフィニッシュすれば上位入賞の可能性が高まり、第2グループで追いかけたとしても、バイクフィニッシュ地点での脚へのダメージを小さくできて、10位から20位の可能性が残されます。スプリントディスタンスの採用は日本の女子には有利になるんじゃないかな。

 

見た目は一緒にバイクフィニッシュできていても、日本の男子選手のバイクの強化は絶対に必要で、さらに上位の常連になるには、もう一段のランの強化を行う必要があります。強化をできていない日本の男子選手の場合は、スプリントトライアスロンの距離の短縮でも順位に変動はないでしょう。スイムの距離も短くなって差も小さくなり、平坦の周回のバイクコースで、少人数での逃げは決まりにくいです。ドラフティング走行していても、バイクの力が不足している日本の男子選手は、集団走行で一緒に走ってバイクフィニッシュできても、高速化するバイクのダメージが脚に蓄積して、ランのパフォーマンス低下の可能性が高いのです。スプリントディスタンスの採用は、バイクの力を付けるまで、日本の男子選手の順位アップには影響が少ないはずです。ではでは。