クマさんのバイク専科

ウィッシュボーンの386ネジ付きハンガーの取り付け

カーボンフレームのハンガーの規格がゴロゴロ変わっています。一世風靡したけど、どうやら先駆けとなったBB30は、ハンガーからの異音の発生、対応するクランクに恵まれなかったことなどで、そろそろ淘汰される傾向になっています。それまでは、ハンガー幅が68mmのBSC やJIS 規格のねじ切りハンガー、右側逆ネジ、左側正ネジ。ハンガー幅70mmの左右正ねじのイタリアンなどが主流でしたが、パーツメーカーやフレームメーカーが、既存の主要パーツメーカーの製品生産スケジュールに、完成車生産のスケジュールをコントロールされることを嫌い、ハンガーの規格を変えて、ギヤクランクの生産に着手したのが、ISIS とかBB30でした。

 

BB86も、BB386もその延長線上にあるハンガーの規格ですが、基本的にはハンガー幅を広げたり、ハンガーの径を大きくして、フレームの剛性の強化や軽量化の追求に貢献しています。ハンガーの径を大きくすることで、ハンガーシャフトの径も30mmに太くして、クランクそのものの剛性も高めることができます。ところが、シマノとカンパニョーロは、スチールやチタン合金製の24mm径のハンガーシャフトで、ライダーのパワーを伝えるには十分と判断しているようで、ハンガーシャフトのオーバーサイズ化にはシマノは踏み切りませんでした。24mm径のままです。カンパニョーロは一時期30mmのオーバーサイズを発売しましたが、現在は廃盤にして24mmになっています。

 

BB86やBB386は、本来30mm径のハンガーシャフト対応の規格で、カーボンフレームのハンガーに採用されるようになっています。ちなみに最新のタイムもBB30から撤退して、現行モデルはBB 386 になっています。この規格のフレームが多くなっています。フレームのねじ山がないツルツルのハンガーに、BB386 規格の樹脂製や金属製のハンガーカップ&ベアリングを、専用工具で圧入する構造です。そのハンガーカップへクランクやシャフトをセットする構造です。ハンガーの回転部の寿命は5000kmから15000km走行が目安となっています。ガタが出たり異音が発生したら交換となりますし、寿命でなくても、一旦圧入したハンガー小物は取り外したら再度使わないのが原則です。

 

シマノのねじ込み式カップのハンガー小物で寿命は5000kmだそうです。スギノのBB386のセラミックボールベアリングのハンガー小物で15000kmで交換を推奨しています。大王K さんのタイムはハンガー規格がBB386で、ちょうど黒姫高原るんるん合宿で、走行距離が14000kmを越えたそうで、きりきりとハンガーから異音がし始めて、デュラエースのギヤクランクを分解組み立てしてみましたが、異音は収まりません。スギノのハンガーの寿命が来たようです。

 

そこで、交換するパーツを黒姫高原から電話して手配しました。BB386規格で24mmシャフト対応で定評があるハンガー小物を探しました。スギノは在庫されていましたが、坂間メカニックのお薦めの、ウィッシュボーンの左右カップのスリーブがねじ込み式で、ハンガーカップのロックリングを専用スパナで締め込んで、左右から圧力をかけて固定できるハンガー小物が気になりました。輸入元の在庫がなく8月上旬入荷になりましたが、待つことにしました。

 

8月6日のつくばのSRM & マジカルミステリーツアー、朝8時半集合です。7時に起きて、8時にはショップ前へクルマを止めて、ハンガー交換の準備をしておきました。ドライバー、5mmアーレンキー、左のクランクの締め付けキャップ専用レンチ、モトフレックスのグリス、ウエス、ウィッシュボーンのハンガー小物などです。頭の中で左クランクの取り外し、ハンガーの取り外し、ウィッシュボーンのハンガーのねじ込みの作業、クランクの組み戻しの交換作業をシミュレーションしておきました。分解組み付けは最短で15分くらいでしょう。

 

K さんが輪行して、ハンガー小物交換とライドへ参加するために、つくばのショップへ少し早めに来たので、予定では、きりきり音が発生するまま走って、帰りに交換というスケジュールだったのですが、出発時間までに交換作業が終了できると思い、クランクを外して、圧入されているスギノのハンガー小物を打ち出して、ウィッシュボーンのハンガーカップの左右を確かめて、ねじ山にはモトフレックスの圧力がかかると固着するグリスを塗って、タイムのハンガーへ組み込みました。

 

専用のスパナ2本で左右の薄いロックリングを締め合わせしました。なんと45ニュートンの指定です、専用スパナのストロークは短いは、ロックリングと工具のかみ込みは浅いはで、果たしてそんな力で締め込めるのか不安になります。フレームを固定して、思い切りスパナを締め合わせて、クランクをセットしました。上り坂でクランクを踏み込んでも、まったく異音がしないそうです。ウィッシュボーンのハンガー小物良さそうです。ただし、スパナをスリップさせないで強く締め込むには、ロックリングにスパナを仮固定する、ハンガーを貫通するシャフトの両側に大きなワッシャーをねじ込んで、ロックリングにかけたスパナを外れないようにするサポート工具を作った方がよさそうです。ではでは。