クマさんのバイク専科

カンパのディスクブレーキ対応ハブのメンテナンス

デローザのカーボンフレームに、カンパニョーロの油圧ディスクブレーキが装備されたバイクを輸入元から借りました。八丁堀のスタジオでサイクルスポーツのメンテ本の撮影が進みます。カンパニョーロはMTB の油圧ディスクブレーキで定評があるヘイズと共同開発した、フラットマウント用のロードディスクブレーキのH11をデビューさせました。標準装備のブレーキパッドはメタルタイプがセットされていました。

 

撮影用に届いたのは最高峰モデルで、スーパーレコードグレードに相当します。油圧、ハイドロリックの頭文字のH、そして11段変速だからH11というネーミングされています。カーボンフレームとカーボンフロントフォークには、シマノが提唱したフラットマウントが採用されています。専用のオイル交換用のブリードキットが用意されています。注入器は2本、ブレーキレバー革の短いホースと、キャリパー側の長いホースが用意されて先端はねじ込み式で、圧がかかっても抜けない構造になっています。オイルはシマノと同じくミネラルオイルで、専用が用意されています。ちなみにスラムのオイルはドットタイプです。

 

ブレーキキャリパーをフレームやフォークに固定するボルトは2本で、4mmアーレンキーで固定します。140mmディスクローターまたは、160mmローターと組み合わせるためにアダプターで対応しています。ディスクブレーキ用のホイールはスルーアクスル対応で、アルミ合金製のデローザオリジナルの5mmアーレンキーで回すスキュワータイプでした。カンパニョーロのディスクブレーキ用ホイールのボーラ35、カーボンクリンチャー仕様が組み合わされています。ディスクローターはスチール製のロックリングで、142mm幅の後輪ハブと、100mm幅の前輪ハブにセットされています。

 

デローザにセットされていた最上級モデルの油圧ロードディスクブレーキ。オイルのブリーディングもと思いましたが、この作業はプロメカニックに任せるか、もし自分でやりたい場合は自己責任で、ディラーズマニュアルを見て試みてください。エアー抜きのネジの開閉のタイミング、ブレーキレバーのカッチリしたフィーリングを得るためには重要なポイントです。しっかりブリーディングされたブレーキレバーを握ってみると、シマノよりはスポンジーな感じに仕上がっていました。

 

もちろんカンパニョーロも、しっかりストッピングパワーを発揮しますが、シマノとは違うブレーキフィーリングです。ブレーキレバーには、ブレーキレバーを引くとすぐに利き始めるモードと、少し引いてから聞き始めるモードの2段階に調整ができるネジが設定されています。ブレーキレバーの横にある穴から、ブレーキレバーを引いた状態で、2mmアーレンキーを差し込んで回して、2段階の調整をできるボルトが設定されています。

 

その他に、ブレーキレバーの開きを調整できるボルトが、ブレーキレバーの正面に開けられた穴の奥に設定されています。2mmアーレンキーを差し込んで時計方向へ回すとドロップバーへ近づき、反対に半時計方向へ回すと遠くなります。かなり大幅に調整できます。さて、今日もっとも苦労したのが、ディスクブレーキに対応したカンパニョーロのボーラワンの35mmホイールのメンテンンスでした。最初は回転部にガタが発生した時の、ガタの解消をするつもりでした。

 

ところが、そのガタの調整をしている作業をしていると、従来のホイールのハブと比較すると、スルーアクスルに対応したハブは、かなりハブシャフトが太くなっていることを発見しました。分解してグリスアップするという設定を撮影することにしました。ところが、いざ分解を始めて、初めて遭遇するオーバーロックナットの17mm以上のハブスパナが入るスリットがありました。そして、アルミ合金製の太い中空シャフトには、10mm以上のアーレンキーが入る六角穴があいていました。こんな工具は撮影用に用意していませんでした。

 

分解図を探してもらいましたが、ボーラワンの35mmのディスクブレーキ対応のモデルは、画像は紹介されていましたが、分解図も、分解・組み立て・調整の手順も何も掲載されていませんでした。そこからが試行錯誤です。右ナットのスロットを計測すると、17、5mmありました。ハブシャフトの六角穴の面から面までの長さは12mmでした。ワールドインポーツツールズへ行って、12mmのアーレンキー、自宅で工具箱から17mmと18mmの板スパナを持って翌日スタジオ入りしました。

 

ところが、12mmのアーレンキーはアルミシャフトの六角穴へ入りませんでした。六角の穴の深さは7mmくらい、まったく入りません。六角の穴の角が正確に切削されていないのです。しかたがないので12mmを11、5mmまで削ったところで7mm入りました。でも、11mmなのかというとそこまで細くない感じです。ハブのオーバーロックナットのスリットは、板スパナで回す仕様ですが、18mmではスリップしてしまいます。17mmの板スパナのあたり面を片側0、25mmずつヤスリで削った17、5mm幅に加工して使うとぴったりでした。公式な寸法は何mmなんでしょう。

 

とにかく、撮影用のディスクブレーキ対応のボーラワンの35mmのハブは、何だか良く分かりませんが、メンテナンスは工具を作ってとりあえず撮影を終わりました。作業手順はこれでいいのですが、工具のサイズの公式見解はこれからはっきりすると思います。工具を加工しての撮影で時間がかかりました。さてカンパニョーロの工具サイズの公式見解はいかに?。ではでは。