クマさんのバイク専科

デュラエースの油圧ディスクブレーキを体験

フロントとリヤ140mmディスクローターのデュラエースのハイドロリック(油圧)ディスクブレーキ装備の試乗バイクに乗りました。フラットマウントのハイドロリックロードディスクブレーキの最高峰のデュラエースの販売モデルです。デュアルコントロールレバーはDi2と油圧ディスクブレーキ対応モデルで、電動メカなのでブラケット内にシフトケーブルの巻き取り機構がないので、ブレーキレバーと連動するフールドを送り出すシリンダーと、オイル溜まりが設定されています。

 

油圧ブレーキ用のメカニカルのデュアルコントロールレバーは、先端に油圧システムがまとめられて、大きめのデザインのデュアルコントロールレバーと違い、電動メカなだけにブラケット内のスペースはゆとりがあるので、思ったよりコンパクトにデザインされています。女性ライダーにも握りやすい形状です。デュラエースの油圧のブレーキレバーのタッチは、前後ブレーキとも引きが軽く、油圧とは思えないほど利き始めはカチッとしています。シマノ純正のミネラルオイル(鉱物油)のフールドを注入する時に、ブレーキレバーやオイルラインやブレーキキャリパーの中に注入されたフールドから、エアーを徹底的に追い出して組み上げるとこうなるんですね。

 

注入したフールドからエアーを抜く時は、キャリパー、ブレーキレバー、オイルラインをドライバーの柄などで軽く叩いたり、超音波振動の電動の歯ブラシなどを各部にあてて、振動を与えてエアーを素早く移動させました。とにかく徹底的にエアーを抜いて仕上げます。ブレーキレバーを数回引いて、引く瞬間にブレーキキャリパー側の開閉ナットを7mmスパナで開いて、ブラケットに取り付けたじょうごのフールドを下へ送り出し、キャリパー側からフールドとエアーを送り出します。ブレーキレバーを引くたびに、レバータッチがカチッと硬くなります。

 

まったくエアーがなくなったらナットを締めてフールドのエアー抜き作業を終わります。ブレーキレバーの引きはフルブレーキングでも軽く引けます。ワンフィンガーでもバイクを確実に止められます。長い下りで手が痛くなってしまう女性ライダーにもこの引きの軽さなら最適ですね。ブレーキレバーの開きの調整も、利き始めの1も調整できます。デュラエースのディスクブレーキのブレーキキャリパーは、前後ブレーキキャリパーは同形で小型にまとめられています。前後で異なる140mm&160mmの切り替えのアダプターを介して、フレームやフロントフォークのフラットマウントに2本のネジで固定します。リヤのキャリパーはチェーンステーを貫通する穴に2本のボルトで固定されます。リヤの140mmローターの場合はアダプター無しの場合もあります。

 

レジンまたはメタルのブレーキパッドが用意され、試乗バイクのブレーキパッドには冷却フィンが付き、1本のネジでキャリパーにセットされます。ディスクローターも放熱効果が高いアルミとステンレスのハイブリッドで、シマノのホイールのハブにロックリングで固定されていました。ロードレースやスポーツサイクリングで想定される、長い下り坂でのフェード対策は万全です。体重80kmのライダーが、最大斜度10%、平均で6%くらいの、4kmの長い下り坂でのブレーキングでローターが熱くなっても、スピードコントロールも、フルブレーキングも、ブレーキレバーの引きにたいしてリニアに反応して、フィーリングは変化しませんでした。まったく問題無しです。

 

ドライコンディションでしたが、中間的なスピードコントロール性能が思い通りに行えて、前後140mmローターでも十分に安心できるブレーキの性能でした。3支点のスタビライザー付きのデュアルピボットの最新のデュラエースの、ブレーキキャリパー以上のストッピングパワーが確保されています。油圧式のディスクブレーキの基本的な知識はもちろん、シマノのフールドのブリードキットの取り扱い、オイルラインのカットや接続、フールドのブリードの手順、徹底したエアー抜き、ブレーキパッドの消耗の見極めや着脱、トラブルシューティング、キャリパーの着脱、ドラッグの解消など、取り扱いのマニュアルを頭に入れなくては。

 

スラムのドットオイルは1年に1回の交換を推奨しています。シマノやカンパニョーロのミネラルオイルは1年に1回から、2年に1回交換という想定だと思います。フールドの交換にかかる時間は、慣れていれば、約15分から20分です。前後交換するとしたら30分から40分で、オイルラインも劣化しますから、フレームやフォークブレードへ内蔵の場合は、オイルラインの長さ調整や接続などの作業も含まれるので、かなり手間がかかると思います。

 

今日はスポーツバイクつくばマツナガでメンテ本のDi2デュラエースのトラブルシューティングの撮影でした。Di2デュラエース&ロードディスクブレーキのバイクを持ち込み、坂間メカニックに起こりがちなメカトラブルの解消方法を紹介してもらいました。油圧ロードディスクブレーキのフールドの交換作業は、ディラーズマニュアルを見ながら自分できないことはないけど、どういう状態が正しいかを把握できていればいいですが、自信のない人は、命に関わる部分なので、油圧のブレーキシステムの取り扱いに慣れたプロメカニックに任せるべき作業です。ではでは。