スペインブランドのローターのQリングという楕円ギヤと、CNC 削り出しのアルミクランクに、２４mm径や３０mm径ハンガーの軽量クランクが人気です。効果を体験するために取り付けてしばらく走りました。もう１つアブソリュートブラックの４アームクランク対応の楕円ギヤもアウターギヤとインナーギヤも試してみました。両メーカーとも、５０Tのアウターギヤも、３４Tのインナーギヤも、踏み味の軽さは明らかで、とても魅力的でした。そのまま使いたいと思って、しばらく使っていましたが、シマノのデュラエースのチェーンリングと比較すると、ガリガリッとチェーンが移り、フロントの変速のスムーズさがはっきり低下しました。
変速のスムーズさか、踏み味の軽さをとるか悩みどころです。斜めがけのチェーンの状態でアウターギヤからインナーギヤへ変速すると、チェーンがポロリと落下するトラブルが時々発生します。楕円ギヤは歯先の高いところと低いところがあるので、チェーンケージの下端との間隔が大きく変化します。フロント変速機のチェーンケージの下端と，アウターチェンリングの歯先との間隔は、１mmから３mmくらいがメーカーに指定されています。
楕円ギヤの歯先は高い位置と低い位置とで１０mm以上違うので、フロント変速性能の低下や、内側や外側へのチェーン落ちは、楕円ギヤを採用時の重要な課題です。楕円ギヤの踏み味の軽さは確かに魅力的です。後ろ髪を引かれるような思いで楕円ギヤを取り外して、デュラエースの真円チェーンリングへ戻し、フロント変速のスムーズさが復活しました。それでも人気の楕円ギヤですから、何とかシマノの真円チェーンリングとの変速性能のギャップを埋めることができないか、再度、楕円ギヤを取り付けて、フロント変速機の取り付ける高さやチェーンケージの向きの微調整をしてみました。
外側チェーンケージの下端と、楕円ギヤのアウターギヤの歯先との間隔をぎりぎりに詰めるための固定位置の高さを調整しました。チェーンケージの取り付け角度を調整する、フレームの直付け台座とフロント変速機との間へ入れるテーパー状のシムを採用してみました。取り付け位置の調整や、内外へのストローク調整も試し、チェーン落下防止の小物の採用にもチャレンジしました。楕円ギヤのもっとも歯先の高いところと、外側チェーンケージの先端から３分の１の部分の下端との間隔を、１mmの狭い設定にしました。さらに、外側チェーンケージの面を、アウターギヤの面を同一の面になるように、フロント変速機の向きを調整して固定しました。
チェーンケージの内外のストロークを調整して、フロントを変速してみると、アウターギヤからインナーギヤへの変速はスムーズになりましたが、インナーギヤからアウターギヤへチェーンをスパイクピンが引き上げる変速の瞬間に、斜めに引き上げる状態のチェーンが、チェーンケージの下端と、アウターギヤの歯先に挟まってガリガリッとなることがありました。１mmでは間隔が少し狭いようです。アターギヤのもっとも高い歯先と、チェーンケージの下端との間隔を１、５mmに変更しました。チェーンケージの向きも再び面を揃えて変速してみました。インナーギヤへの変速は問題なく、アウターギヤへの変速もチェーンが挟まらなくなりました。
次はテーパー状のシムを直付け台座とフロント変速機の間にセットして、外側チェーンケージの傾きを変えて、チェーンケージの後ろの下端と、楕円ギヤのもっとも高い歯先との間隔を１、５mmに狭く設定してみました。チェーンケージの下端とチェーンリングの歯先との間隔が狭くなって、チェーン落下を防いでくれると思いましたが、これは、見た目の安心感は増しましたが、あまり変速性能に関係ないようです。チェーンケージの先端から３分の２くらいまでの向きや歯先との間隔が重要みたいです。
チェーン落ち防止のアルミ製の棒のような小物を取り付けてみました。チェーンが落ちそうになってガリッとなったとき、チェーンをはじき返してくれますが、クランクを踏み込んでしまうと、かなり変形して中にチェーンが落ち込むことがありました。効果も有りますが、はまってしまった時が面倒です。２時間くらいかけて、チェーンケージの向きや高さを調整しては走ってみて、上り坂などのトルクのかかるところでも変速して、シマノの真円チェーンリングほどではありませんが、かなりスムーズに変速して、チェーン落ちしないように設定できました。
アウターギヤを真円チェーンリング、インナーギヤに楕円ギヤの組み合せは、チェーンが移るときにチェーンのリンクピンの位置のズレが発生して、チェーンが斜めになって移動する時に、チェーンが移ろうとする側の歯先へチェーンが収まるのに時間がかかったり、歯先を一旦滑ってガリガリと異音が発生して変速が遅れたりします。アウターギヤもインナーギヤも、楕円ギヤどうしの組み合せがチェーンの移りが良さそうです。ではでは。
