クマさんのバイク専科

シマノのパワー測定クランクがリリースされました!

ついにシマノの、ライダーの発揮するワット数を測定できるチェーンホイールが発売されました。1ロット目の170mmクランクがショップに届き始めています。もう手に入れている人もいるのではないかな。172、5mmや175mmは順次追加されるようです。シマノの最高峰ロードコンポーネントのデュラエース、ホローテック2のアルミ合金製の中空クランクは、右側のPCD110mmの4アーム付きのクランクに、強度や軽さ、もっともコストパフォーマンスの優れた24mm径の中空スチール製ハンガーが勘合されています。フレームのハンガー規格に合わせ、カップとベアリングをねじ込んだり圧入します。

 

シマノが対応していないハンガー規格でも、サードパーティーがハンガーシャフト径30mmのクランク用と、シマノやカンパニョーロの24mm径のハンガー用のカップやベアリングを用意していますから、ほとんどのフレームへ問題なくこのクランクをセットできます。セラミックボールベアリング採用などで回転抵抗を軽減したり、カップが左右でセパレーツではなく、ハンガーの中央で締め合わせる構造が採用されて、異音の発生しにくいモデルもあるようです。

 

ホローテック2クランクは、ハンガー小物に右側からハンガーシャフトを通して、左側に飛び出したハンガーシャフトに、左側のクランクを通してから、クランクを締め付ける小物をねじ込んで内側へ押し込み、横方向に圧力をかけて回転部のガタを発生させないのがホローテック2クランクの構造です。左クランクの根元の5mmアーレンキー締めの2本のボルトをしっかり締めて、ハンガーシャフトへ固定します。

 

パワー測定クランクを組み付ける時は、ワイヤレスシステムのコードを断線させないよう、慎重な組み立て作業が必要なようです。左右クランクに組み込まれている、歪みセンサーの0設定、キャリブレーション作業も精密なパワー測定には必要になると思います。ホローテック2の中空のアルミ合金製の左右のクランクには、ストレンゲージという歪みセンサーが装着され、中空ハンガーのスペースやクランクの裏側には、ハンガー内に充電式の小型の電池と、データを送信するシステムが組み込まれています。Di2オーナーの場合は電池残量と、パワーのデータを送信するシステムの電池残量の管理が必要になります。

 

シマノからのインフォメーションによれば、ペダリングで発生したパワーをワット数として測定するだけでなく、左右のクランクを踏み込むパワーの大きさや、踏み込んだ方向を測定できる機能も盛り込まれているそうです。ただし、現段階ではその機能に対応するサイクルコンピュータは存在しません。シマノは専用のサイクルコンピュータの開発に言及していません。フライトデッキ的な専用モデルは現在のところ幻のようです。

 

クランクで測定したデータの、サイクルコンピュータへの送信形式はアントプラスで、ガーミンの5000番や8000番系、レザインのサイクルコンピュータが対応する機種で、スマホとリンクしてデータのやり取りも可能です。以前からDi2の電池残量の数字での表示とか、変速回数の履歴とかにも対応していたので、パワーの大きさや方向を矢印で表示する機能を追加したモデルの設定も期待してしまいます。少し時間が経過すればきっと出るでしょう。

 

測定機能的に、もっとも近いと感じるのはパイオニアのシステムです。既製品のクランクをパイオニアのラボへ送って、歪みセンサーと測定データの送信装置を取り付ける、パワー測定システムと専用の大きな液晶画面のサイクルコンピュータでしょう。もろに競合するライバルです。ペダル軸が描く円に対して、踏み込んだ方向とパワーの大きさを示す矢印が表示される、カラー液晶とモノクロの液晶表示の、2機種の専用のサイクルコンピュータのラインナップです。でも、今のところ互換性はないようです。ではでは。