クマさんのバイク専科

グラベルロードは日本で流行るのかな!

80年代に生まれて大流行したMTBって、ロード流行の日本では本格的なモデルは絶滅危惧種になっていませんか。プランナーのゲーリー・フィッシャー、ロード乗りでフレームビルダーで、パーツのデザイナーでもあるトム・リッチー、魅力的なMTBブランドのサルサの創始者もそうかな、彼らがカリフォルニアのオレンジカウンティで始めた、ビーチバイクを改造したクランカーから始まる、オフロードバイクのムーブメントが、MTB の世界的な流れを作ったことは間違いありません。

 

日本でもっともMTBをプッシュしていたのが、ワイルドキャットの平木さんだったんじゃないかな。サンツアーもシマノもオレンジカウンティで始まった,MTBの創世記にウオッチヤーを派遣して、ロードコンポーネントまたはツーリングコンポーネントを組み込んだ、草創期のMTBのスクラップ&ビルドの状況を見て、ワイドギヤ、トリプルギヤクランク、ブレーキ、ビンディングペダル、ステムやハンドル、ホイールや太いタイヤ、彼らの要望をくんで、ハードに使われるMTBの専用コンポーネントの開発に着手しました。

 

カンパニョーロも当初は参加していましたが、リサーチに失敗して、あまりにトンチンカンなヘビーなコンポーネントを開発して、完全に出遅れてしまい撤退することになり大きな市場を失います。シマノはロードコンポーネントの開発コンセプトに、インデックス変速や、ステアリングから手を放さないで操作できる、手元シフトを視野に入れた開発に着手していました。MTB はオフロードを走るので、まさにステアリングから手を放さないで走ることが重視されました。

 

まだMTB のハンドルバーにはフラットバーとドロップバーという選択肢が残っていました。ほぼフラットバーが主流になるというコンセンサスが固まった段階で、グリップを握りながら操作できる、左右のラピットファイー変速レバーと、2フィンガータイプのブレーキレバーが用意されます。スラムもグリップシフトでMTB コンポに参入します。

 

フレームもスチールのオーバーサイズチューブの、ロー付けやティグ溶接で組み上げたものからスタートします。オーバーサイズアルミのティグ溶接へ移行します。フロントフォークはリジッドだったのが、エラストマ入りやオイル&エアーのサスペンションフォークとなり、フロントの走破性や路面の変化に追従させてグリップ力が向上します。オイル&エアーのリヤサスペンションも組み込まれるようになります。

 

フロントフォークはロングストローク化して、XC用はロック機構付きが用意されました。リヤサスも単純なサスペンションではなく、架空ピボット設定のロングストローク化により追従性を大幅に向上させたり、XC用のバイクに搭載された、クランクを踏み込み、駆動するときだけサスペンションがロックして、パワーロスなく前に進む軽量モデルがリリースされました。

 

日本でもMTB は大流行しましたが、XCモデルもDHモデルも、世界の流れに沿ってフルサスの高価なコンペティションモデルが一世風靡したり、シティコミューターとしてのマウンテンバイクルック、フラットバーのオンロード走りの快適性も追求した、700Cホイール採用のクロスバイクの流行がありました。ところがオフロードを走るMTBは、ダウンヒルやXCのレースだけでなく、山道や里山での未舗装路をフィールドに広がって行きました。でも、環境破壊やハイカーとの共存などのテリトリーの問題が発生して、次々に自由に走れるエリア、フィールドを失って行きます。走れる場所が限られることが、日本の本格的なMTBの普及にブレーキをかけました。

 

欧米でもオフロードタイヤが自然環境へのインパクトが大きいと、締め出しを受けたフィールドもありましたが、MTBやクロスバイクで走る環境がキープされて、日本のような本格的なMTBの販売実績の落ち込みのようなことはありませんでした。世界レベルでは、順調にロードバイクとMTBは共存しています。一時期のようなDH系やXC系のフルサスバイクの開発競争のような派手さはありませんが、MTBの細分化が始まり、ホイールも26インチ、27、5インチ、29インチなどが展開しています。タイヤもクリンチャー、チューブレス、チューブラーがあります。

 

ところで、オンロード流行の日本の市場で、グラベルロードって流行るのかな。リジッドなシクロクロスバイクとどこが違うんでしょ。泥詰まりしにくい32mmの低圧設定のタイヤとのクリアランスのあるフレームやフロントフォーク。MTB 用と同じ台座規格の油圧ディスクブレーキ装備がシクロクロスバイクです。グラベルロードはオンロードからアプローチできて、オフロードを快適に走る

ことができる32mmから42mmクラスのオン&オフ対応の軽量タイヤ装備です。4気圧程度の低圧設定にして、かなりのオフロードの走破性と快適性を発揮します。

 

シクロクロスバイクよりは、オフロードでのグリップやショック吸収性などのキャパシティが大きい乗りやすいバイクです。しかも、カーボンフレーム&リジッドフォークのモデルは軽量です。オンロード用並みに軽量なホイールも用意されています。ブレーキはフラットマウントの油圧のロードディスクブレーキが標準装備となります。オンからオフへ移行できるフィールドを見つけることがポイントになりそうです。日本のフィールドの状況を考えると、メジャーになるとは思えないけど、11段の電動メカ仕様のグラベルロードをシティライドから里山までの走りで試してみたいな。ではでは。