クマさんのバイク専科

シマノのブレーキのラインナップは凄過ぎる!

旧型デュラエース、アルテグラ、105、シマノの3支点のデュアルピボットブレーキキャリパー、ダイレクトマウントの旧型と、新型のダイレクトマウントの28mmリム対応のブレーキキャリパー、フラットマウントの油圧のロードディスクブレーキキャリパー、そして、最新のデュラエースとアルテグラの、3支点のデュアルピボット&スタビライザー付きの28mmリム対応モデルがあり。リムと摩擦するタイプもディスクブレーキも、いずれもストッピングパワーとスピードコントロール性能が優れていて信頼がおけます。

 

シマノのブレーキキャリパーがレースでもツーリングでも、ダウンヒルやコーナーリングの走り方を変えていることを感じます。シングルピボットのサイドプルブレーキまでのブレーキなら、早めにスピードコントロールを始めて、長い距離減速することになります。23mmタイヤならそのグリップ力に見合ったストッピングパワーだったかも知れません。スピードコントローラーなんだから、その程度のストッピングパワーでいいんだと言われたこともありました。

 

でも、ニチナオ。シーディー・カンパニョーロの森幸春選手と走ったとき、カンパニョーロのレコードのブレーキキャリパーに純正のブレーキパッドの組み合せで走っていました。森選手と同じ仕様で,ホイールはマヴィックのパリルーベSSCでした。当時最高のストッピングパワーを発揮する組み合せがアッセンブルされていました。低速域での単純なストッピングパワーで言えば当時のシマノのデュラエースだったかも知れません。ところが高速域、ロードレースでは日本CSCの5kmサーキットの2号橋手前の下り坂では90km出ていました。その領域でのスピードの調整では、カンパニョーロの摩擦性能が安定していたのです。

 

ブレーキの特性をテストしてみようとう話になって、カンパニョーロ、サンツアー、シマノのブレーキを、時速20km、30km、40km、50km、60kmでフルブレーキングして制動距離を測りました。シマノのデュラエースは感じていた通り、30kmくらいまでの低速域では、抜群のストッピングパワーで最短距離で止まれました。まるでライダーを前に放り出すほどの利きを示しました。レコードもシュパーブプロも十分に利きましたがデュラエースより制動距離は少し長くなりました。

 

中速域でもデュラエースの利きが凄くて制動距離は短く、もしかしたら老舗のカンパニョーロもストッピングパワーで負けたのかなと感じさせました。ところが速度域が高速になると,あることに気付きました。カンパニョーロの制動距離の伸びが一定なのです。低速域で利かないなーと思っていたのですが、中速域、高速域になっても同じ減速フィーリングで、止めようと思って強くブレーキレバーを引くと止まるブレーキでした。もしかしたらこういうのがスピードコントロールしやすい要素なのかも。

 

シマノは中速域までは短い距離で泊まれましたが、高速域になると摩擦が低下して急に制動距離が伸びました。あれほど低速域屋中速域でストッピングパワーの大きさを感じたのに、高速域でのブレーキングはずるずると抜けて行く感じで、摩擦のフィーリングがかなり変化しました。サンツアーのシュパーブプロのブレーキパッドも高速域での摩擦が低下する感じでした。カンパニョーロのサイドプルブレーキと純正パッドは、バイクのスピードを低速でも中速でも高速域でも、利きが一定で、コントロールしやすいブレーキでした。

 

シマノのデュアルピボットブレーキキャリパーは、格段にストッピングパワーが大きくなったし、ブレーキパッドのコンパウンドの性能もアップしていきます。時速20kmから30kmの低速域でのストッピングパワーの立ち上がりが強烈な傾向がありました。23mmタイヤにはオーバースペック気味とも感じました。ところが時代はロードレースで24mmや25mmの太いタイヤが採用されるようになっていきます。グリップ力が大きくなって、大きなストッピングパワーを有効に使えるようになりました。シマノの強力なブレーキに機材の方が合わせてきた感じにも思えました。

 

リムのサイドを左右のブレーキパッドではさんで,ブレーキキャリパーの力ででリムへ押し付ける構造のブレーキは、アルミリムとカーボンリムの時代になって、専用のブレーキパッドを採用するようになります。雨の日の走行では、リムとブレーキパッドの摩擦の低下がスピードコントロールに大きく影響します。リムサイドへブレーキパッドを当て利きさせて水を切るプレブレーキングをしてから、本格的なブレーキングを開始するというテクニックを使う必要があります。アルミリムでも雨による摩擦低下があるのですが、カーボンリムではドライとウエットコンディションでの、ブレーキの利きの差が大きいことで知られています。昔よりだいぶ改善していますが今だに差は存在します。

 

最新のデュラエースやアルテグラの、3支点のスタビライザー付きのブレーキキャリパーは、ブリッジやフロントフォークにボルトで固定されて、左右に支点がありセンタープルブレーキのような構造で、しかも左右のアーチのシンクロ製を高めるローラー機構付きです。裏側には左右の支点にかかる力でアーチが開くのを抑えるスタビライザーが付いています。これは利きます。

 

フレームやフロントフォークに台座が埋め込まれたダイレクトマウントブレーキキャリパーも、1つの支点を省略して、左右に支点があるセンタープルのような構造で、アーチの剛性があってパワーの逃げどころがなくて利きます。油圧ディスクブレーキ時代の前にはこのモデルがもっとも強力なブレーキということになります。シマノもカンパニョーロにも設定されています。左右2つの台座は互換性があります。

 

ロードバイクのブレーキの性能って、一般道を走るので、時速20kmくらいから40kmくらいでのブレーキ性能で語られることが多いですね。では実際のロードレースではどうなるのか、長いダウンヒルでは時速70kmから100kmに到達することもあります。一般ライダーが走る時速20kmから40kmの領域でのコントロール性能も重要ですが、日常的ではない、レーシングの速度域でのスピードコントロール性能がレーシングパーツには問われることになります。

 

ブレーキキャリパーの剛性、ブレーキパッドの摩擦性能などのバランスは、低速域から高速域までで問われることになります。ブレーキキャリパーとブレーキパッドの性能をフルブレーキングして試乗チェックすると、明らかにメーカーやグレードによってストッピングパワーやスピードコントロール性能に差があります。シマノは2世代前のデュアルピボットのキャリパーから強力なブレーキでした。

 

リム幅が20mm前後から、カンパニョーロが24、2mmへワイド化。シマノも28mm幅リムの採用になって、リムをブレーキパッドではさんでブレーキングするブレーキキャリパーは、28mmリム対応のブレーキキャリパーに設計変更されています。もちろん20mmリムにも対応しています。ブレーキの性能にはフレームの剛性やフロントフォークの剛性も関係します。いくらブレーキキャリパーの剛性が高くなったり、リムを挟み込む力が増しても、フレームやフォークの剛性が低ければ力を発揮できません。さらに重要な要素としてタイヤのグリップ力が関係します。

 

ロードバイクのタイヤは、23mm、24mm、25mmと太いモデルへ移行してグリップ力も高まり、ストッピングパワーの大きいブレーキが性能を発揮しやすい状況になっています。タイヤのワイド化に対応したフレームが採用され、パリールーベなどを走る時に使われる28mmタイヤも搭載されるようになっています。ロードバイクのブレーキは、ブレーキレバーを強く引いたとき、タイヤのグリップ力をストッピングパワーが上廻ってしまえば、ホイールがロックしてタイヤがスリップしてバイクをコントロールできなくなります。

 

2世代前のシマノのデュアルピボットブレーキからストッピングパワーは強力になっています。アルテグラグレードやデュラエースグレードはリアルレーシング対応で強烈なパワーを発揮します。前輪と後輪のタイヤのグリップ力を感じ取りながら、左右のブレーキレバーを引く力をコントロールする必要があります。しかもブレーキパッドはシマノ純正でも,カンパニョーロのシマノシュー対応モデルを採用してもスピードコンとロール性能に優れ,しかも止まろうと思えばしっかり利きます。

 

むしろ注意しなければいけないのは、カーボンリムホイールのストッピングパワーを重視するブレーキパッドのチューニングです。スイスストップやマヴィックのイエローのモデルのような摩擦係数が大きい、ストッピングパワーの立ち上がりが急激なモデルを使うと、フロントは慣性の力でタイヤが路面へ押し付けられるので、スリップしにくいですが、後輪は荷重が抜け気味になるので簡単にスリップしてしまいます。フロントスイスストップのイエロー、リヤはシマノという組み合せも検討する必要があります。組み合せをショップのスタッフに相談してみてください。ではでは。