クマさんのバイク専科

プロボクシングの世界は勝ち負けだけじゃない!

前回の試合は疑惑のジャッジで負けたというオリンピックの金メダリストだった。注目されていた選手の因縁試合として再戦が5ヶ月で実現した。前回は確かにダウンを取ってふらふらに追い込み、それでもジャによる判定で負けた村田だった。手数で負けていたと言うのだが、ダウンをとっても勝てないのだ。ボクシング団体のWBAの会長が、再戦を要請するということで実現した異例の試合でした。

 

結果は村田がリスクを犯すプロらしい決着をつけようと言う戦い方で、7ラウンド目には動きの止まった相手をボコボコにして、8ラウンド目に入ろうという寸前にギブアップを表明、7ラウンドのテクニカルノックアウト勝ちでした。勝って涙を浮かべた村田でした。決着がついて確かにおめでたい。でもプロボクシングの世界は、まず、世界チャンピオンのタイトルに挑戦することがまず大変です。

 

対戦相手に支払うファイトマネーを作り出すために、試合のスポンサーを捜し、テレビ放映権を販売してなど、ジムや広告代理店やテレビ局、契約内容を交渉して締結する事務所が動き回る分けです。その契約の中には、そのタイトルマッチだけではなく、チャンピオンになっても、その後の試合のプロモート権を誰が持つか、誰がチャンピオンの対戦相手を選んで、どこで試合をするか、放送権料などの配分など、厄介なオプション契約が設定されていたりします。

 

だから、タイトルマッチで世界王者になっただけでは、チャンピオン防衛の道を前へ進めません。ましてや、因縁の再試合で世界タイトルマッチともなればその契約内容は複雑になることは想像できます。今回の試合の契約内容はどうなっているんでしょう。WBAとしてはチャンピオンを作れば、その後の数試合は現役でタイトルマッチをして、団体やプロモーターとしては集客できるわけです。村田はどうだったか、日本をマーケットとして重視するなら貴重なタレントです。でも、年齢的には厳しいところに差しかかっています。

 

しかも、ウエイトで言えば日本人としてはチャンピオンの排出が難しいカテゴリーで、過去に1人、竹原選手がいるだけです。しかも、ボクシング4団体の内3団体の世界チャンピオンを握っている最強王者がいるクラスです。今回の試合でWBA の世界タイトル獲得した村田選手は、ここがゴールではなく、まるで世界デビューのスタートのように見えるのです。金メダリストが果たしてラスベガスの大舞台などで、今後ビックファイトマネーをかけて戦えるのか。前の試合も今回の試合にも海外の大物プロモーターが駆け付けて挨拶に来ていたそうです。

 

村田選手の中に、オリンピックの金メダルを獲得してから数年かけて獲得した、WBCの世界チャンピオンが、達成感をもたらし過ぎて、ハングリーさを失わないといいのだけど。31歳の彼は、どこにボクシングのゴールを設定しているのだろう。所属ジム、後援会、広告代理店、テレビ局などが動く、世界タイトルマッチのメイキングの大変さを彼自身がよく知っているだけに、戦う以外のところでプレシャーにならないといいのだが。ではでは。