クマさんのバイク専科

カンパニョーロの旧型デュアルピボットブレーキ

カンパニョーロの、まだスケルトン(肉抜き構造)になっていないブレーキキャリパーだったころのデュアルピボットブレーキ。当時の最高峰モデルだったレコードのデュアルピボットブレーキだけ、サイドピボットが前側アームの中に埋め込まれていて見えないデザインなのだ。ピボットボルトが見えない構造のデザインを採用するために、ピボットの裏側にアーチとアーチの摺動部、もちろん抵抗を減らすためにベアリングが埋め込まれていて、そのアーチの動きの重さや、摺動部のガタを調整する、ちょっと複雑なメカニズムが取り付けられている。

 

レコードのブレーキキャリパーでも、ピボットボルトやケーブル固定ボルト、ブレーキパッドホルダーの固定ボルトはスチール製で、アルミ合金製のアーチも肉厚十分でずっしりと重いブレーキでした。スケルトン構造のデュアルピボットブレーキになってからの、レコードやスーパーレコードのモデルは、肉抜きのない先代のブレーキキャリパーとは違って、スチール製部品の素材の見直しなど、高価になることをかえり見ず、かなりライバルを意識して軽量化が計られている。

 

メーカーでは剛性を確保しながらの軽量化という。アルミ合金鍛造のスケルトン構造の採用や、チタン合金製のブレーキ固定ボルトやピボットボルトやブレーキパッドのホルダー固定ボルトの採用、アルミ合金製のフレームやフォークへのブレーキ固定ナットなどが採用されて、驚くほど軽くなっている。シマノのデュアルピボットブレーキは最高峰のデュラエースでも、サイドピボットは外に出ていて、サイドピボットにガタが発生しても、工具で調整しやすい構造を採用している。実用性、整備性ではどちらがいいのかは明白で、しかもシマノはデュラエースもアルテグラもよく利きくブレーキだ。

 

最新のシマノのデュアルピボットブレーキは、センターピボット、左右にサイドピボットになった28mmワイドリムホイール対応のブレーキだ。左右のアーチが均等にブレーキパッドをリムサイドへ強力に押し付けて、それでも左右のアーチの支点が開かないように、スタビライザーが付いてさらにストッピングパワーが増している。

 

最高峰のカンパニョーロのスケルトンブレーキは、サイドピボットが見えないようになっているデザインを採用しているところが、カンパニョーロのポリシーを受け継いでいるってことなんだろうね。そこがなんとも可愛い感じです。と言うわけで、そんなに進化しているデュアルピボットブレーキなのに、デザインはカンパニョーロの旧モデルがいいと、わざわざ探してきて、ユーズドなのにほとんど傷のない美品を手に入れて、それを最新のタイムのアイゾンに使いたいというライダーがいます。

 

すでにアルテグラのブレーキを使っているのに交換したいのだそうです。旧型のカンパニョーロのデュアルピボット、それって重いから止めた方がいいんじゃないの、ストッピングパワーだってシマノのアルテグラにかなわないよ、と言ったのですけど、サイドピボットの見えない、ツルっとしたスマートなフォルムに惚れ込んじゃっているので聞いてくれません。

 

いざフレームへ取り付けてみようとして、数々のハードルがあることが分かってきました。ブレーキのストッピングパワー不足の原因を探りました。肉厚十分のブレーキアーチは最新のスケルトンタイプと違って剛性があります。だからアーチの長さと支点の設計、つまり、リムをはさむ力が弱いのは、テコの原理のせいなので、それはどうしようもないことなので、ブレーキパッドをストッピングパワーの大きいものに交換することにしました。スイスストップのイエローのカーボンリムモデルです。

 

初期型のカンパニョーロのデュアルピボットブレーキのブレーキパッドのホルダーは、現在のモデルとまるで違っています。スイスストップのカンパニョーロ対応のブレーキパッドを旧型のホルダーの溝に入れると、ブレーキパッドが細くてポロリと外れてしまいます。そこで、シルバーアルマイト仕上げのアテネのブレーキパッドホルダーのスモールパーツを探すことにしました。シルバーアルマイト仕上げと言えば思いついたのはアテネです。すでにカタログ落ちしたアテネですけどまだあるはず。

 

カンパニョーロジャパンに問い合わせてもらうと、すでにカタログ落ちしたアテネは在庫切れでしたが手に入りそうです。でも、ふとカンパニョーロのカタログを見ると、ポテンザにシルバーアルマイト仕上げのホルダーがありました。しかも、ポテンザはシマノのブレーキパッドやホルダーのように、ブレーキパッドの抜け落ち防止のボルトが設定されています。これでいいんじゃないのと発注をお願いしました。それが今週末に届いていました。シルバーアルマイト仕上げでパッドの2mmアーレンキーで動かす固定ボルトが付いています。しかも、カンパニョーロ純正のアルミリム用のブレーキパッドも付いていました。

 

ホルダーを固定するボルトはスチール製で5mmアレンキーで固定します。その内側にはスチール製の薄いワッシャー、さらにトーイン調整できるウス状のアルミ製の薄いワッシャーがセットされていました。カンパニョーロの旧型デュアルピボットブレーキから、旧型のブレーキパッドホルダーを取り外し、新型のホルダーを取り付けようとしてびっくり、トーイン調整するウス状のアルミ合金製のワッシャーの厚さが足りず、固定ボルトの長さが余って締まりませんでした。

 

旧型のホルダーからアルミワッシャーを取り外して移植して、固定ボルトでセットする事ができました。新型ホルダーのパッド固定ねじを緩めて、スイスストップのブレーキパッドをホルダーの溝にスライドさせて収めようとして気が付きました。スイスストップのカンパニョーロ仕様のブレーキパッドの裏側に、パッド固定ねじの入る穴が開いていませんでした。ホルダーにブレーキアッドを並べて、穴の位置にあわせて、細いマイナスドライバーの先で穴を開けました。

 

ブレーキパッドの左右と、進行方向に注意してホルダーの溝へブレーキパッドを押し込み、プラスチックハンマーで軽く叩いて奥まで押し込むと、少し後端がはみ出していますが、パッドの固定ねじを締め込むことができました。これを、後はアイゾンのフロントフォークとシートステーの台座へ取り付けて、ブレーキパッドの高さをリムのふちから1mm下になるように合わせて、左右のパッドの進行方向が後端より0.5mmずつ狭くなる、トーイン調整をしてブレーキケーブルの張りを調整すれば使えますよ。ではでは。