クマさんのバイク専科

ケミカルでロードバイクをクリーニングしよう

 

朝の気温が10度を切る季節になると、さすがにバイクを水で洗車する気になりません。住んでいる場所によっては水洗いできない場合もあります。クルマの洗車場に行けば洗えますけどね。水洗いなしで素早くバイクのコンディションを保ちたい。そうなると、ちょっと贅沢かも知れないけどケミカルによるメンテンンスがあります。特に変速や駆動に関係するチェーンはしっかりクリーニングしたいですね。

 

バイクのあの真っ黒になってウエアに付くとべったり付いて通常の洗濯では落ちにくい油汚れ、バイクからの洗浄の主役は、ワコーズのブレーキパーツクリーナーとウエスです。ブレーキパーツクリーナーはスプレー式で、スーパージャンボやBC8などの油汚れを溶かし、すぐに乾く溶剤です。バイクの油汚れの正体はアルミ粉、鉄粉、砂、土、ほこり、オイルが混ざったもので、アルミ合金製のチェーンリングや、スチール製のスプロケットの歯先やチェーンの摺動部などに付着して、そのままにして走ると、硬い金属も削る研磨剤のような状態になります。

 

バイクをまず整備台へセットして、後輪と前輪を取り外します。V 字型のスタンドにセットする場合は、油汚れが飛び散らないように、タイヤやリムをウエスでカバーする必要があります。用意するのはブレーキパーツクリーナー、ウエス、エンドに止めるプーリータイプのチェーンフックでチェーンをドライブできるタイプです。チェーンをプーリーにかけた状態で、チェーンフックをリヤエンドに固定して、チェーンを張った状態で洗浄します。スプレーするので後ろをウエスでカバーして、汚れが飛び散らないようにして、ブレーキパーツクリーナーをたっぷりスプレーします。クランクを10回くらい回してチェーンの中にまで馴染ませます。

 

表面の油汚れをウエスでふき取るだけでは洗浄の効果がありません。チェーンリングとチェーンのリンクやリンクピンの中の油汚れを溶かし出して、さらにブレーキパーツクリーナーをたっぷりスプレーして洗い流します。この作業でもウエスで汚れが飛び散らないようにします。チェーンの中の油汚れはこれで8割くらい落とせます。8割では納得できないという人は、チェーンをケミカルで洗浄する器具があります。チェーンクリーナーのような洗浄液を入れて、チェーンをドライブさせて、ブラシと洗浄液で油汚れを洗い出します。これだとほぼパーフェクトに洗浄することができます。

 

チェーンの中もピカピカになっていますが、そこで安心してはいけません。アウターやインナーのチェーンリングの歯先の裏表の汚れもウエスで落とします。油汚れと一緒にチェーンの中の油がすっかり脱脂されてしまうので、洗浄後は必ず注油することが必要です。油汚れのままの状態に注油するひともいますが、それでは研磨剤のペーストを作っているようなもので、アウターリンクとインナーリンク、リンクピンとリンクなどのこすれあう部分(摺動部)を動かすたびに研磨することになり、チェーンの伸びの原因を作っているようなものです。洗浄して注油が原則です。注油するオイルはワコーズの水置換性のあるラスペネやメンテルーブ。ホルメンコーレのルーベエクストリームなどがいいですね。

 

リヤ変速機の上下のプーリーの歯先や回転部もブレーキパーツクリーナーで洗浄すると、回転部がグリス切れやオイル切れになることがあります。シールドベアリングタイプはシールドを通過して、中のグリスを洗い流してしまう可能性があります。ブレーキパーツクリーナーをウエスに染み込ませて油汚れをふき取るなど、ダイレクトなスプレーを避けるか、プーリーを取り外して分解してグリスを注入します。ブッシュタイプのプーリーの場合も通常の洗浄ではなるべく回転部へのダイレクトなスプレーを避けて、定期的に分解してグリスを塗って戻します。

 

フリーのスプロケットは11段と多段化して、スペースがタイトになってプーリーケージの厚さは薄くなっています。ねじ山が少ないのでプーリー固定ボルトは、いったん緩めてしまうと緩みやすくなる傾向があります。強く締め過ぎればねじ山を傷めやすいのです。プーリー固定ボルトの先端には弱強度のネジロック剤を塗ってから組み付けます。フリーのスプロケットのローギヤの内側にウエスをセット、ブレーキパーツクリーナーをスプレーして油汚れを洗浄します。スプロケットの間にウエスを通しピカピカに仕上げます。

 

きれいなウエスにブレーキパーツクリーナーを染み込ませて、ブレーキパッドのリムへの当たり面をふきます。リムのサイドもふいて油汚れを解消します。フレームの油汚れ、ブレーキキャリパーの摺動部、ケーブルのストッパー周辺やケーブルリードの油汚れも落として注油しておきます。フレームの表面をブレーキパーツクリーナーで汚れをふき取ったら、ワコーズのバリアスコートなどでつや出し保護コーティングして、汚れの付きにくい状態にするとベストです。ケミカルによる洗車にチャレンジしてみてください。ワコーズの他にもフィニッシュラインのケミカルがあるので、坂間メカニックに相談してみてください。ではでは。